22 探索魔法?
「はい。」
クレバー先生だった。
「入っても良いかしら?」
先生に言われてダメなんて言えませんよ。
「あ。はい。どうぞ。」
椅子を勧めた。華奢な可愛い椅子だ。ティガーノさんが持たせてくれたこちらも華奢なテーブルとのセット。クレバー先生に似合ってる。
「あら。ありがとう。」
「え?」
クレバー先生は私をじっと見た。そして
「さっき探索魔法を使ってたわね。」
って言いだした。
「探索魔法?」
「あちこち見て回ってたでしょ。」
・・ばれてるんだ。でも
「あれが探索魔法なんですか?」
「知らないで使ってたの?」
はあ・・・
・・・
「あのう。・・・さっき気が付いたんです。」
ここはクレバー先生に言っておいた方がよさそうかな。
「何に?」
クレバー先生。私をじっと見てる。
「お風呂が,いつも自分の好みの湯加減で・・香りで入ってることにです。」
クレバー先生は笑って
「なに?今頃,自分のしてたことに気が付いたの?」
って言う。
「やっぱり,私が自分で用意してたんですか・・・」
確認しよう。
「片付けは,どうだったの?」
そういえば・・・お風呂掃除してないのに綺麗だった・・・
「管理人さんがしてくれてると思ってました。」
「無意識にしてたってことね。部屋もいつも掃除されってたんじゃないの?」
「分かるんですか?すごいですねえ。そうなんです。まさかこれも管理人さんじゃなくて・・・?」
どうやら,誰かがやってくれていると思っていたことは全て,自分がこうなったら良いなって思って・・・無意識にしていたらしい。
「そんなこともあるのねえ・・・」
はあ・・・
「でも,探索魔法はちょっとやめておいてね。あなたのは今は周りに使ってるってすぐ分かっちゃうし・・・訓練してからにしましょうよ。」
「分かるとまずいですよね。」
「そうよ。誰かが自分を探ってるって分かったら,ユウミさんも嫌でしょう?」
・・・
「別の言い方をしたら,こっそりなら探れるってことですか?」
「まあ・・・嫌な言い方になるとそうなるわよねえ。」
世の中いい人ばかりじゃないからねえ・・・なんてクレバー先生はつぶやいた。
「今日はとにかく,使えるって分かっただけで良いことにします。来週から,しっかり勉強していきます。」
そう言ったらクレバー先生は安心したようだった。
クレバー先生が帰った後,ティガーノさんへの報告の時間を過ぎていることに気が付いた。まあ。いいか・・・別に毎晩でなくて良いって言ってたし・・・端末を確かめたら着信があった。ジルからだ・・・
ティガーノさんの端末でなく,ジルにかける・・・
「どうしたの?」
「連絡がなかったからさ。」
「大丈夫よ。今まで寮の監督の先生がいらっしゃっていたの。」
「そうか・・・僕も学園に行きたいなあ。」
「年が足りないんでしょ。」
「うん。」
他愛もない話だけで
「またね。」
と切った後・・・世の中いい人ばかりじゃないからねえと言う言葉を思い出した。
ティガーノさんとジルはいい人なのかなあ?もし悪い人でだまされてるとしたら?どうやったら分かるのかなあ・・・と考えちゃった。これも魔法で分かるんだろうか?人の心も分かっちゃうって・・でも。・・・怖いよね。




