12 杖なき魔法使い?
学園生活2日目の夜・・・
夕食を摂りに3人で食堂に向かった。
明日は午後から体育だって。獣人の皆さんと一緒に体育かあ・・・身体能力が高そうな皆さんと一緒だからねえ・・・お茶の効き目が出てきているって言ってもねえ・・・ちょっと心配かな。
私のことは,クレバー・アフェ先生と同じ種族だと思ってるみたいだね。私と同じように耳が目の横の方にあるもんね。クレバー先生は何の獣人なのかなあ・・・知らないや。
「あれ。」
目玉だ。また目玉が食卓に載っている・・・
「ここでも出たね。」
「うん。出ると思ってた。」
「そうなの?」
「この実はね,昼も言ったけど,一つだけ特別な実が入ってるの。」
「それに誰かが当たると良いな。」
「私だったらなお良いな。」
「へえ・・・」
食卓の実をみんなでつまむ。
「美味しいね。」
「うん。美味しい。」
ぱんぱん・・・手をたたく音。クレバー先生だ。
「皆さん。ヴーハイト山の木の実は美味しいですか?」
「はい。」
「それは残念です。」
「「「「「「なぜですか.先生」」」」」」
「1個だけ入っている魔力を高める実は,とてもまずいのです。その実にあたった者は,直ちに申し出ること。」
「なぜですか?」
「魔力が急速に上がって,もてあまし,大変なことになるからですよ。」
「「「「「「分かりました。先生」」」」」
・・・・・え・・・・・あの・・・お昼の実?!まさか・・・
私は慌てて立ち上がった。
「先生!!!」
クレバー先生の所に行く・・・
「どうしましたか?ユウミさん」
少し声を潜めて,言ったんだけど。
「私お昼に食べちゃいました!!!ちょーまずい奴。」
一気にみんながざわつく・・・・・静かだからみんなに聞こえちゃったみたい。
「食べた?」
「はい。定食で出たんですけど・・・最初の1個がすっごくまずかったんです。」
・・・・・
向こうからタップとフローが話をしている声が聞こえてきた・・・
「それで最初変な顔をしてたんだね。」
「あ~あユウミが食べちゃったのかあ。」
「残念。」
・・・・・
クレバー先生に連れられて,監督室に・・・。
「座って。」
促されるままに座った・・・
クレバー先生は私をじっと見た。
「特に何も変わっていないようですね。」
「はあ・・・」
・・・・・
「おや・・・腕に何か付けていますね?」
「分かるんですか?」
「かすかにですけどね・・・ふうん。それが吸収してますね。
・・・うん。大丈夫です。暴走しませんよ。」
「暴走?」
クレバー先生は私に立つように促しながら,
「器が小さいと暴走しちゃうんですよ。
昔のことですけど,それで命を落とす人もいたんです。」
・・・え・・・危ないのでは?
「腕に付けている物が吸収しているみたいだから大丈夫。多分,それは杖ですね。杖なき・・杖の魔法使いか・・・ふふふ。それはまだあなたの物じゃないんでしょう?だから人から見えないようにしているんだと見ますが・・どうですか?」
私は驚いた。
「凄いです。クレバー先生。でも,誰にも言うな,見せるな,と言われていますので。」
クレバー先生と一緒に食堂に戻ると,もうほとんどの生徒は食べ終わって部屋に帰っていたけど,タップとフローは心配して待っていてくれた。
私は残りの食事を済ませ,きっちりデザートも食べた。その間、ほとんど誰もいなくなった部屋で,いろいろ聞かれて困ってしまった。
私にも何がなんだかよく分かっていないのに・・・
「明日,クレバー先生と学長室に行くことになった。」
と言ったら,二人とももっと心配してくれた。たかだか2日しか一緒にいないのに,なんて親切で優しい二人なんだろう。




