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むかつくあいつは・・・・・  作者:
第2章 歩く
11/100

11 目玉?

翌朝・・学園生活二日目・・


 3人で連れ立って学園に向かう・・今度は私にも一緒にいろんな子が声を掛けてくれる。少しうれしい。挨拶は基本だね。気が付いたら6~7人で歩いていた。


 退屈な午前中の授業。眠くなる。寝てしまいそう・・・実際少し寝ていたに違いない・・・講義だけだなんて・・・嫌だな。午後から薬草学だって言うけど・・・まさか講義だけじゃないでしょうね。


お昼時。3人で食堂に行く。

 本日の定食は・・・何だろう。これ・・・みんなが取ってるけど・・・美味しいのかな?見た目がちょっとなあ・・・目玉みたいなのがぎょろぎょろといくつか乗っている・・・その下は,多分パスタみたいな感じ。

「うわあ,これって。」

そうそう。絶対目玉だよね?

「うんうん。これって噂のヴーハイト山の木の実だわ。すごい。ヴーハイト様が入ったから,また食べられるようになったのね。」


・・・・・木の実・・・これが?目玉の間違いじゃないの?

ヴーハイト山にヴーハイト様が入った?だからまた食べれる?

二人が取るので,私も取ってみる・・・

 

どうやって食べるんだろう。どう見ても・・・目玉にしか見えない。

 二人は席に座るなり,指で目玉をつまんで口に入れた。

「う~!!!美味しい!!」

「うん。初めてだね。」


・・・・・私は,ちょっと躊躇しちゃった。それで先に,下のパスタみたいなのをつつきだしたら・・・


「あれ?食べないの?」

「最後に食べようと思って取ってあるの?」

「私,美味しい物は最初と最後に食べるんだけど,ユウミは最後派なんだね。」

 二人に見られて私は困っちゃった。

「いや・・そういうわけじゃあないんだけど。」


 仕方がない。一つつまんで思い切って口に入れる。

 噛む・・・う・・・なんだろ・・この味・・・ま・・まずい・・・出しちゃいたい・・・

 うえ~・・・でも・・表面上はにこやかに・・もぐもぐ・・・。

 え~ん・・取らなければ良かったよぉ。

・・・ようやく咀嚼して飲み込む。側にある水差しの水をコップについで飲む。ふう。胃の中で目玉が踊っている気がする。


「これを食べると,魔力が上がるって話は本当なのかな。」

とタップが言うんだけど。気分悪くなる・・の間違いじゃないの?

「そうそう。でも,全部じゃないんだってさ。」

フローが言うと,

「え?違うの?」

とタップが驚いていたよ。へえ。こっちの人でも,分かんないこともあるんだね。

「うん。偶に大当たりに実があってね。それに当たると食べた人の魔力が上がるんだよ。1シーズンに1個位しか出ないって言う話だけどね。

どっちにしろ,15年間だれも食べてないってことは確かなんだから,その実の話がホントかどうかは分かんないんだろうけどねえ。」

フローが続けて言うと,タップが言ったよ。

「なるほどねえ・・・学園側ももしかしたら,その1個に期待して,仕入れを薦めてるのかなあ?

大当たりなら優秀な魔法使いが増えるってことだもんね。」

「そうかもねえ。」

「魔力ない人が食べても駄目なんだって聞いたけどね。」


・・・大当たりの実ねぇ。よっぽど美味しい実なのかなあ。こんなにまずいのをよく我慢して食べてるよねえ。あれ・・・味覚が違うのかなあ・・


「そうなの?」

「あれ。ユウミ,知らないの?」

「ええ。よくこの辺りの物もことも知らないもんだから。いろいろ教えてくれる?」

「私たちも,この実を実際に食べるのも見るのも初めてなんだよ。」


 この実がなる木はヴーハイト山にしか生えていないんだって。昨年までは,山に入ることが出来なかったけど,今年は入れるようになったから,実(じつ)に15年ぶりくらいで出回っているらしい。 そんな話をしながらも,二人はどんどん食べ進めている・・・仕方がない。あきらめて食べることにしたんだけど。


「あれ?!美味しい。」

思い切って口に入れた2個目はジューシーで,ふんわり口の中でとろけていったんだよ。

「何言ってんの?さっき食べたじゃないの。」

「え?これって1個ずつ味が違うの?」

「訳ないよぉ。」

3個目。2個目と同じ味だ。じゃああの1個目は何だったんだろう。未熟な実だったのかな。下のパスタもなかなか面白い味だよ。ちょっと酸っぱい。レモンみたいな味もかすかにするよ。こっちの食事って・・・言わないけどさ。




 薬草学の教室は,理科の実験室みたいな感じだったよ。

 2つのテーブルに4~5人が座っている。私はフローと同じ班に呼ばれたんだ。同じ寮の子が一人いる。エレって言ったかな。耳は私と同じで,目の横に付いてる子だね。何の獣人なのかなあ。後の子はまだ名前を知らないな。

「やあ。ユウミさん。一緒にがんばろうね。」

 やたら親切そうな男の子。狐耳だね。フォクシー君だって。

「俺もよろしく。」

 猫耳だね。耳から見るに・・・分かんないや。耳だけで猫の種類を判断出来るほど知ってるわけじゃない。スコティッシュは別だけどね。ミラー君ね。



 ナイフと・・・まな板かな?この薄いやつ。細長い溝の付いた枠に・・・あれ・・・これ時代劇で見たすりつぶし用の道具に似てるなぁ・・・

 え?これは葉っぱをすりつぶすのに使うの?へえ。

 こっちは普通のすり鉢とすり棒だよね。


 今日は,学園の花壇に咲いている花を根っこから掘ってきた物を使うんだって。あれって観賞用じゃないんだね。

小さな花がたくさん付いてるよ・茎・葉っぱ・太い根っこ・大根みたいだけどそれよりずっと細いね・・・う~ん。何をするのかな・・・


 今回は根っこをメインに使うんだって。葉っぱからは油を採るんだけど,根っこが今日のメイン,咳止めを作るって言うんだけど・・・

・・まず良く洗った根っこを細かく切るべし,切るべし・・。はいはい・・・とんとんとん・・・道理でナイフとまな板みたいなのが出てたわけだね。


 すりつぶすべしすりつぶすべし・・・・葉っぱも入れるらしいので,両方のすり鉢を使うよ。ごりごりごり・・・・・・しばらくすりつぶす音だけになったよ。すり鉢の中が徐々に汁っぽい物で一杯になってくよ。どうなってんの?葉っぱのほうもだよ。水気なんてないように見える葉っぱだったのに・・・不思議・・


・・この先生はちょっと怖いらしい。誰もおしゃべりしないね。

 すりつぶしたところに,蜂蜜を入れるんだって。

 ビーカーみたいな入れ物にガーゼみたいな布をふわっとかぶせて,すりつぶした水っぽい物を入れて絞ったよ。沢山の汁が出てきたね。

 うん。ついでに蜂蜜を味見。甘くて美味しいな。お汁の量を根っこ3,葉っぱ1になるように調節した後,おさじで慎重に蜂蜜をはかって入れて・・・混ぜるべし混ぜるべし・・・かちゃかちゃかちゃ・・・・・かき回しながら,

「良い咳止めになあれ」

小さい声でつぶやいちゃった。


 時間になって,それぞれ出来た薬を先生に見てもらったよ。そしたらさ・・・驚いたことに,私たちの班の作った物がずば抜けて素晴らしいって。

 へえ。ちょうど良い植物が来たんだね。のんきに思ってたら,先生に班の全員が呼ばれたよ。


「だれか魔法を掛けましたね?」

「え?」

「だれが?」

「いつ?」

ざわざわ・・・

「先生。だれも呪文を唱えていませんよ。」

「みんな静かに作ってました。」


・・・あ・・・


そこであたしは気が付いたよ。

「あ・・・あの。私、作ってるとき,良い咳止めになれって言っちゃったんですけど・・呪文じゃないし・・・かまわなかったんですよね?」

「ほう?」

先生はめがね越しに私をじっと見たよ・・・何だろう。


「分かりました。今日はここまで。」


先生の一言で,授業は終わったんだけど。何だったんだろうね。

目玉・・・木の実です。


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