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幻想入り

東方×クトゥルフが少なかったのでやった。

後悔はしていなし反省もしていない。

黒歴史になるのが確定済みなのは秘密。

 気が付くと私はどこか鬱蒼とした森の中に倒れていた。

そこは暗くジメジメとしていてその場に立っているだけで強い不快感に襲われた。

どうしてこんなところにいるのかを思い出そうとしても、うまい具合に思い出せない。それどころか私自身のことも思い出せないでいた。

どうにも記憶喪失らしい。

あーだこーだと考えていて獣に喰われたのでは元も子もないので、私はこの気味の悪い森を出るために歩くことにした。


 しばらく歩いて気がついたのだがどうやらこの森は人の手が一切加わっていないらしい。現代社会においてこんな原生林が残っているのは結構なことだが、未開の土地には何がいるか分かったものではない。せめて日が暮れるまでには抜け出さなくては狼か何かに喰われるだろう。

左手首につけた腕時計を見る限り、日没まではまだ時間がありそうだ。

 そうこうしているうちに無事森を抜け出せた。

抜け出した先は平原になっているらしかった。

開けた場所へ出たせいか、今までの強い不快感がどこかへ行って今では清々しささえ感じられた。

私は人家がないか辺りを見渡したが、それらしいものは見当たらず、仕方なしにまた歩くことにした。

 

 それからやっと集落らしき場所に到着した頃にはもう日が暮れかけていた。

長いあいだ歩き回っていたのと、近くに人がいる安心感から強烈な疲れが出た私は今夜の宿を確保すべく近くにいた女性に宿の場所を聞くことにした。

が、私が声をかけた途端に女性は何か狂気じみた暗黒の怪物でも見るような目で私を見てくる。

 私は自分の体に目を落としてみた、白いコートを着ていて、袖から覗く肌の色は白く、客観的に見ても醜いとは思えない。

周りの物と比較してみると私の身長は平均よりもだいぶ高いことが分かったが、それだけで目の前の彼女がここまで驚くことは考えられない。

 ちなみに彼女は腰まで届くぐらいの長い銀髪で、多角形を組み合わせてその頂点に赤いリボンをつけた奇天烈な帽子をかぶっており、上下が一体となり短く白い袖の有る、スカート部分の裾に幾重にも重なったフリルのついた青いワンピースのような服を身にまとっている。

・・・私は彼女よりも奇抜な格好をしているのだろうか。


 考えても仕方がないので再度声をかけることにした。

「どうかしましたか?ひどく驚いているようですが」

「あ・・・あぁ、すまない少しぼーっとしていたようだ」

彼女はそう答えた。私の顔が見るに堪えないくらい醜いものではないと分かり安堵する。

「ところで、君はどこから来たんだ?服装からするとこのへんに住んでいるようではないようだが」

今度は彼女の方から質問される。

「それが私にもよくわからないのです、気がついたら森の中に倒れていたもので」

彼女はふむと言ってちらと空を見る。もう日が暮れてしまい2~30分もすれば真っ暗になるだろう。

「君とは色々と話しておく必要がありそうだが、もう暗くなってしまった。今日は宿を取って休むといい、話の続きは明日にしよう」

彼女はそう言って宿へ案内してくれた。私は彼女に礼を言った後宿に入った。


私は適当に一泊分部屋を取った後、従業員に案内された部屋で運ばれた和食を食べ、あることの確認ついでに浴場に行くことにした。

 目当ての物はすぐに見つかった。それは私の全身を映し出せるくらいの大型の鏡であった。

そこに映し出された私の姿は少なくとも絶句してしまうほど醜悪なものではなかった。

 鏡に映ったのは色白で目鼻立ちのいい、金髪の西洋系の若い男であった。2m前後の体に相当鍛えられた筋肉が付いており、さながら映画俳優のようであった。


 自分の姿を確認できた私は適当に体を洗った後、貸し出されていた浴衣を着て部屋へ戻った。

元々来ていた服は従業員が洗って明日に返すと言われたのでポケットの中のものをすべて出した後で従業員に渡した。

その時まではいちいち自分の持ち物を確認していなかったのでわからなかったが、私は20cm程度のナイフと日本円や英語で書かれた名刺等の入った財布、そして45口径リボルバーとその弾を持っていた。


私はひどく困惑したが、物騒なものについては名刺をみた後に考えることにした。

名刺によると、私はコーディ・ヴァレンタインと言うらしく、マサチューセッツのアーカムという所に住んでいるらしかった。

職業は作家らしいが、この体格で、しかもあんな物騒なものを持ち歩く作家などいるのだろうか。

そもそも、ここへ案内してくれた女性やここの従業員は日本語で会話していたが、何故私が日本語を理解できるのだろうか。


色々考えていると急に眠気が差してきたので、私は敷かれてあった布団に横になった。

間もなく私は眠りに落ちていった。


その夜、私は夢を見た。

真っ暗な筈なのに不思議と身の回りのものが見えてくる。

その中に一体の怪物がいた。

細部のよく見えないそれは地面に積まれてある人間だとかの生き物を手当たり次第に口に放り込んで、時々悲しそうな目でこちらを見つめてくる。

本来ならばおぞましい光景なのだろうが、私にはそれがとても神々しく思えた。

やがて怪物は手を止め、こちらへ向き直った後、なにかを口に出したが何か透明な壁に阻まれているようでなにも聞こえなかった。

怪物はそれを見てまた悲しそうな目をした後、食事を再開した。

私はそれを見て泣きそうになった、何故かと考えようとしたがもうその頃には意識が薄れつつあった。







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