EP6: 挫折からの立ち直り
前の作品の改訂版を書き始めました。
読んでいただけるとありがたいです。
風スライムから逃げて数日――僕はダンジョンに向かうことができなかった。
いざ行こうとすると、足が止まる。
あのとき感じた“死”の気配が、脳裏にこびりついて離れないのだ。
「はぁ……ダンジョン探索、行かないといけないんだけどな……」
行けない間も、何もしていなかったわけじゃない。
情報収集は続けていたし、風スライムへの対抗策も考えた。
準備はできている。
あとは――恐怖を乗り越えるだけだ。
……それが一番、難しいのだけれど。
情けないと思う。けれど、怖いものは怖い。
それでも――今日、僕は一歩を踏み出すことを決めた。
装備を身につけ、風スライム用の“秘密兵器”を握りしめる。
そして、ダンジョンへ向かった。
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代々木ダンジョンに到着した。
まずはリハビリだ。
通常スライムを相手に、感覚を取り戻す。
「おりゃっ!」
棒を振り下ろし、核を正確に叩く。
数日ぶりの戦闘で身体は重かったが、それでもなんとか撃破に成功した。
「……よし」
小さく息を吐く。少しだけ、恐怖が薄れた気がした。
次は三階層。
何体かの属性スライムと遭遇したが、まだ風スライムは現れない。
――そして、角を曲がった瞬間、そいつはいた。
「……っ、風スライム」
心臓が跳ねる。
また死にかけるんじゃないか――そんな考えが頭を支配しそうになる。
だが、僕は首を振った。逃げない。今回は、逃げない。
「……大丈夫。今回は、対策してきたんだ」
震える手で、ポケットから取り出す。
「テッテレー……パチンコ〜」
小さく呟きながら、自分を落ち着かせる。
風スライムは空気を操り、周囲を感知する。近接戦闘はほぼ不可能。
だが――索敵範囲は約二メートルと狭い。
つまり、距離を取れば一方的に攻撃できる。
「いける……!」
狙いを定め、弾く。
――パチン!弾は核に命中。
しかし、まだ壊れない。
「もう一発!」
続けて放つ。――パチン!
今度は、確かな手応え。核が砕け、風スライムは霧のように消えた。
「……やった」
数秒遅れて実感が押し寄せる。
「やったーー!!倒せた!!」
思わず声が出た。前回のリベンジ。そして――トラウマの克服。
胸の奥に溜まっていた重たいものが、一気に軽くなる。
「……いける」
自信を取り戻した僕は、その後も属性スライムを狩り続けた。
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三時間後。さすがに疲労が限界に近づき、探索を切り上げることにした。
「さて……今回の報酬はっと」
少し期待しながら、買取カウンターへ向かう。
「……一万円か」
初心者ダンジョンのモンスター。
やはり報酬はそれなりだ。
それでも――「ま、いっか」
今日は特別な日だ。
恐怖に打ち勝った日、一歩、前に進めた日。
「……ご褒美、食べに行くか」
僕は少し奮発して、寿司屋へ向かうことにした。
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次回は明日12時更新となります。




