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その作家は数え切れないほどの小説を残した

作者: 小雨川蛙

 

 名前を聞けば誰でも知っているほどの作家が居た。

 一般人にも知られている作品は国語の授業で教科書に乗っているようなものさえある。


「稀代の文筆家でした」


 学者の一人はそう語る。


「千年以上も前に生きた作家であるのに、その文章はまるで今を生きているかのように瑞々しい」


 事実だ。

 その人は千年以上も昔に生まれ、死んだ作家であり、それが故にとある特徴があった。


「噂では星の数ほどの物語を作ったのだと聞きます。千でも、万でも、億でも足りない……とさえ言われています」


 千や万ならばともかく、流石に億などありえない。

 人々はそう理解しているにも関わらず、この事を否定する者は誰一人としていなかった。

 ――なにせ。


「この人の作品は未だに見つかり続けていますから」


 事実だ。

 その人が残した作品は未だに様々な場所から見つかり続けている。


「とはいえ、それ故に駄作も星の数ほどあるのですけれどね」



 ***



 その作家の熱狂的なファンがこっそりと自作をその作家のモノとして『発見』することは意外なほど誰にも知られていない。

 ――あるいはもう誰もが『真実を口にした途端に』その作家そのものが消えることを理解しているだけかもしれない。


 いずれにせよ、尊敬すべきその作家の作品は今日もまた『新作』が『発見』されている。

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