贈物
三題噺もどき―ごひゃくきゅうじゅうろく。
聞き慣れた音楽が流れている。
この時期になると、どこに店に行ってもこの曲が流れている。
聞き慣れていると言うか、もう聞き飽きたところがある。
クリスマスソングを聞いてテンションが上がるような歳でもないのだ。むしろ下がりかねない。
「……」
いやまぁ、そんなことはないんだけど。
この浮ついたような空気は少し苦手ではある。
んーまー……何のイベントごとでもそうだけど、すこしこう……場違い感があるような気がしてならないのだ。
「……」
今日はそのイベント当日ではないからそうでもないのだけど。
これが当日になると、いろんなものがあふれかえって少々気まずい。そんなつもりはないのに巻き込まれたりすることがあるから嫌だ。気にしないようにしていても視界に入ってくるものはどうやったら気にしないでいられるんだろうな。
「……」
嫌でも今日はそのイベントの為に買い物に来ているので、気にしないようにしているとか言えない。めちゃくちゃ気にしているし、渦中に入ろうとしている。
私のではないのだけど、両親のプレゼントでも買おうかと思って。
「……」
軽く妹二人とも話したりはしたのだけど、父のはほぼ一択だった。あの人は酒を飲むのでウィスキーにしようと言う話になって。銘柄はまぁ、何でもいいだろうとなった。行った先であるものを買えばいいかと思って、まだ買っていない。
とりあえず、面倒な母の方のプレゼントを探しに来ていた。
「……」
家の近くにある雑貨屋さんである。
この辺りには、ここしか雑貨屋はない。可愛いものから大人っぽいものまである。時期的なものもあってプレゼントセットみたいなのもあるが……中身がなぁ。あと単純に値が張る。そこまで高いのは買えない。
「……」
マフラーや手袋なんかを頻繁に使う人だったら良かったんだけど、全く使わないのでそういう定番のは買えない。使わないものをあげる趣味はないのだ残念ながら。
ひざ掛けとかも使うかもしれないが……使ってるの見たことないから分からない。
「……」
確実なのは靴下とかジャージとか、あとはエプロン。
エプロンは確実に使うが、この雑貨屋にはない。どちらかというと猫型ロボットがデザインされているのがいい。単純に猫の柄というのはあまり使わない。
「……」
時季外れだからか、日傘兼雨傘みたいなのが安売りであったりしたんだけど。
……あれもいいが、使わないんだよな確実に。あとプレゼントを安売りで済ますのは気が引ける。さすがに申し訳ないと思ってしまう。
「……」
ダラダラと、あれこれ考えながら店内を回る。
……冬用の靴下にしようかな……考えるのがめんどくさくなってきた。
三足セットで買えるのがあるから、それにしよう。それと、何かハンドクリームでも買えば丁度いい値段になるだろう。これ以上迷っても仕方あるまい。
「……」
猫の柄が入ったやつと、チェックっぽいやつと。
なぜか学校にあるものが描かれているシリーズみたいのがあったので、その中の黒板がワンポイントになってるやつを買った。ランドセルとかも可愛いけど、意味わかんない黒板の方が面白みがあっていい気がする。
「……」
後はこれを入れる袋を適当に……百円ショップのでいいか。
ここでラッピングもしているようだが、料金が発生するし、どちらにせよ父のも買いに行かないといけないので。
「……」
レジに持っていき、料金を支払う。
父のウィスキーは、同じくらいの値段のを見繕うことにしよう。
自分自身が飲まないので、味は分からないが……過去に美味しくないちと言っていたやつは覚えているので、それ以外なら何でもいいだろう。個人的にボトルの形が気に入っている奴があるのでそれでもいいかもしれない。もらうのは私じゃないが。
「……」
とりあえず、何でもそろっている大きなお店に行くとしよう。
その後に百円ショップに行って、袋を買って、家に帰って適当にラッピングなりなんなりして……これで喜ばれるとは思わないが。自己満なので何でもいいのだ。
「……」
妹二人はまぁ、何かあれば買えばいいか。
年末の財布の緩さというのは恐ろしいな。
余裕なんてないはずなのにな。
お題:黒板・猫・日傘




