第13話 第三回戦?
私が控え室に戻ると、二人が私を迎え入れた。
大翔「おめでとう優美!」
舞花「やったね優美!」
優美「うん!勝てたよ!」
そんな他愛もない会話が盛り上がりながら、私達はワープ装置によってホテルへ向かう。部屋に着くと、昨日と同じように私と舞花はベッドへ倒れこみ、大翔は飲み物を用意する。大翔が出来上がった飲み物を持ってきてみんなで飲んでいる時に、私はふと気になった事を大翔に聞いた。
優美「大翔~。」
大翔「ん?優美どうした?」
優美「今日の朝フィーシーがここに来たでしょ?」
大翔「うん。」
優美「その時に大翔フィーシーに対して紅茶を振る舞ったでしょ?その時大翔はフィーシーの好きな種類の紅茶を選んだって言ってたけど、どうしてフィーシーの好きな紅茶が分かったの?」
大翔「あーあれね。意外と紅茶とかを人に振る舞って要るとその人の雰囲気とかでこの種類の紅茶が好きなんだろうなーってことが分かるようになってくるよ。」
優美「へーそんなもんなんだ~。」
大翔「そんなもんだよ。」
優美「それとあの時フィーシーが来ると分かってて準備してたみたいだけど、やっぱりそれは察し良すぎない?」
そんなことを少し笑いながら話す。
大翔「んーまああれに関しては普通に来るなって察しただけだしなー……俺神様の心読めたりして。」
大翔がいたずらっ子のような笑みを浮かべて冗談を言う。そう言えば、入学してから大翔がより元気になったような気がする。私達は楽しい談笑をして時間を潰し、明日の大会に向けて眠りに着いた。
次の日の朝目が覚める。時計に目をやると午前7時を指している。私はベッドから起きてリビング向かう。そこには朝食の準備を終えた大翔が調理器具を洗っていた。
優美「おはよ~う。」
間延びした声で大翔に起床した事を伝えると、大翔も
大翔「優美おはよう。」
と返してくる。私は舞花を起こし、着替えてテーブルに着く。今日の朝食はポトフのようだ。美味しいし温かい。私達は準備を整え控え室に向かう。控え室でアップをしていると、午前10時になった瞬間に控え室のテレビに司会者の様子が写し出された。
キング「さあ!ここまで様々な熱きバトルが繰り広げられて来ました。大会もここから後半戦。皆様!最後まで高校生達の勇姿を見届けて下さい!第二回戦を勝ち残ったのは…このチーム達だ!
チームA!
チームO!
チームN!
チームG!
ここまで勝ち残った四チーム。さあここからいったいどのチームが優勝するのか!それではここから対戦する組み合わせを決め手いきます。スタッフカモン!」
声が響くと、スタッフらしき人ががらがらと台車を押して登場する。台車の上には箱が置いてあり、そして昨日と同じくそれがキングの前へと行くと、昨日と同じやり方でキングは組み合わせを決めていった。
キング「さあ!第三回戦の組み合わせは~…これだ!」
その声と共に、画面には第三回戦の組み合わせが写し出される。
チームA対チームG
チームN対チームO
舞花「あー。次勝ったらいよいよ決勝戦か~。絶対勝つぞ!」
優美「おー!」
そう言って、私と舞花は気合いを入れる。
大翔「まあ龍騎達も残ってるからもしかしたら決勝戦は龍騎達と戦うことになるかもな。」
優美「そうだね!」
龍騎達はチームNである。もしかしたら決勝戦では龍騎達と戦うことになるかも知れない。
舞花「そういえば昨日みたいに相手の情報って集めてる感じ?」
舞花がそう言うと、大翔は途端に暗い表情になる。
大翔「その事何だけど……勿論調べた。調べたんだけど…全く情報が出なかった。」
優美「…え?」
衝撃の事実を聞いて私は固まった。"情報がない"この大会に出てる以上。その生徒については少しくらいは情報が出回っているはずだ。この大会に出ると言うことはつまり、自身の学校の代表として出ることになると言うことである。そのような生徒は通常何かしらの功績を残していることが多いため、情報が一切出ないと言うのは不自然な話である。
舞花「情報がないって…いったい…。」
舞花も気づいたようだ。私と舞花は途端に不安に襲われた。
大翔「…まあ、情報がないって言っても二人とも強い!絶対に勝てるよ!だから自身を持って!」
そう言って大翔は私達に飲み物を差し出す。それを飲むと、ふわっと茶葉の香りが広がる。どうやら緑茶のようだ。一口飲むと、私の緊張は次第にほぐれていく。私達は得体の知れない相手に挑む決意をした。
舞花「それじゃあ行ってくる!」
舞花はしっかりとした足取りでバトル会場へと向かった。
キング「さあ!この大会もいよいよ後半戦!皆さん楽しんでいますか~!」
その掛け声と共に歓声が上がる。
キング「それではいよいよ第三回戦第一試合先方戦!開幕です!まずはチームA!ここまでの戦いでは全て相手を一撃で沈めてきた期待の新星!平泉舞花~!」
その掛け声と共に舞花がバトル会場へと現れる。
キング「お次はチームG……ん?…え?……嘘ぉ!?」
チームGの説明をキングがしようとしたところで、スタッフからキングは何かを聞いた。
キング「え…えー。都合によりチームNは…」
キングが何か言おうとした時、相手のワープ装置から誰かが出てくる。皆その事に気づいたようで、スタジアムも、私達がいる控え室も静かになる。その人物はバトル会場へと上がると、私達に聞こえるように、大きな声で話し始めた。
寿美鈴「こんにちは皆さん。チームGの大将、平山寿美鈴でございます。今回私達のチームは諸事情により、この大会を棄権させていただきます。」
一瞬の静寂の後、彼女に対してブーイングが巻き起こる。しかし彼女はそれを全く気にしていないように、ゆっくりとした足取りで控え室に戻って行った。
大翔「なんだったんだろうね。あれ。」
私達はその後、ホテルに戻っていた。あの後第三回戦は不戦勝となり、私達は不完全燃焼だったがどうにもならず戻っていた。
優美「まっ、まあさ、次の試合では龍騎達と戦うことになるだろうから、今からしっかりと休んで明日に備えよう。」
そう私が言った後、スマホの画面を見ていた大翔の顔が驚愕の色で塗りつぶされる。
舞花「…どっ、どうした?」
舞花もそれに気づいたようで、大翔に理由を聞く。
大翔「龍騎達が……負けた…。」
その瞬間、全員の顔が驚愕の色で塗りつぶされた。
寿美鈴「…ふう。」
私は今海岸でゆっくりと沈んでいく太陽を見ていた。一定のリズムで聞こえてくる。波の音を聴きながら、空を真っ赤に染める夕陽を見ていると、今日あった事が次第に遠退いていく。
寿美鈴「…情報はあった?」
自身の背後に現れた男に言う。彼は例の大会を共に勝ち上がっていった仲間である。
???「ああ、ここ三日間調べ続けて分かった。事がある。」
寿美鈴「何?」
男は一拍置いて話す。
???「例の殺人犯はおそらく人間じゃない。あれは到底人に出せる狂喜じゃないんだ。だが俺たちの目的への手がかりもあった。こいつだ。」
そうやって男は一枚の神を渡してくる。
寿美鈴「これは?」
???「あいつが持っていた爆弾を設置した位置が書かれた物だ。だがそこに確認に行っても一つの爆弾もなかった……おそらく全てに気づいて対処したものがいる。」
寿美鈴「!」
???「それに爆弾の位置も不自然だ。人を殺すなら、もっと効率のいい位置がある。この配置は目立ちはするが、人を殺すとするならば意味がない。それに爆弾の種類も書かれている。これを見るにとても常人が買えるような物じゃない。おそらく…裏にはあいつがいる。」
男がそう言うと、私は音が出るほど歯を食い縛る。
寿美鈴「…また一つ近付いた……もう少し…絶対…仮を返してやる。」
こんにちは!作者の柳川歩城です!いやー投稿遅れてすみません。何せシナリオ作りながらだと結構時間がかかってしまって。でも少しずつシナリオも完成に近付いていますので、応援よろしくお願いします!さて、今回優美達はまさかの不戦勝。不完全燃焼でホテルに戻っていましたねぇ~。決勝戦も龍騎達とは違うチームとの対戦。いったいここからどうなっていくのか、是非楽しみにしていてください!最後にこの小説の評価とブックマーク。コメントよろしくお願いします!それではまた次の機会に。