第10話 判断
朝、私は自然に目覚めた。リビングの方から良い匂いが漂ってくる。時刻は午前6時、大会が始まるのが10時からなのでかなり余裕がある。まだぐっすり眠っている舞花を起こさないよう慎重にベッドをおり、リビングに向かう。寝室の扉を開けるとそこには朝食の準備をしている大翔の姿があった。
大翔「あっ優美おはよう。」
優美「おはよう。」
大翔「もうすぐ朝食出来るから待っててね。」
優美「分かった~。」
ホテルには食事が出来る場所があるにはあるが、そこの料理の評判はあまり良くない。大翔は料理が得意で私達の好みも知っているため、朝食などの準備は大翔がやることになっている。まだ少し眠気の残る顔を洗い、席に着く。するとすぐに朝食が運ばれてきた。
優美「わ~!何これ美味しそう!」
大翔「ガレットって言う料理だよ。簡単に言うと薄く伸ばしたそば粉の生地に好みの具材を乗せて食べる物だね。」
優美「へ~。それじゃあいただきま~す。」
用意されているナイフとフォークで一口切って口に運ぶ。口に入れるとその瞬間に柑橘類の爽やかな香りが口に広がる。一噛みするごとにカリカリベーコンとチーズの味わいが広がるが、柑橘類の香りと相まって全くしつこくなく、パクパク食べられる。生地はサクサクしていてとても美味しい。
優美「これ美味しい!」
私が驚きから結構な声量でそう言うと大翔はにっこりしながら、
大翔「良かった。」
と言った。
優美「これも大翔の考えた料理?」
大翔「まあ…そんなところ。」
しばらくすると舞花も起きてきて、私と同じくガレットの味に目を見開いていた。
舞花「そー言えばさー。」
この後始まる第二回戦のアップをしている時に舞花が言う。
舞花「あの時突然現れたあの人の事覚えてる?」
優美「まあ覚えてるけど…私達以外誰も覚えてなかった人でしょう?」
イクセスリィを救ったあの日、確かにいたあの人物。だけどあの人物を覚えているのは私達だけであり、あろうことかその人物が写っていたであろうテレビにすらその姿はなかった。
舞花「それでさっき思ったんだけどさ、もしかしたらフィーシーなら何か知ってたりしないかな。」
優美「あっ!確かに知ってそう!」
あの場に居たものは、私達以外全員あの人物の存在を覚えていなかった。だけど神であるフィーシーなら何か知って居るかも知れない。
優美「でもどうやって聞くの?フィーシーさんは今スタジアムに居るし、時間的にも聞きに行けないよ?」
舞花「呼んだりしたら来ないかな?ほらフィーシー瞬間移動とか前みたいなやつとか出来るんだし。」
優美「いやー流石に厳しいんじゃない?」
舞花「まあまあとにかくやってみようよ…フィーシー!」
フィーシー「はぁい何ですか?」
優美·舞花「わぁ!」
ほんとに来た。私達はびっくりして飛び上がる。
フィーシー「何ですか?呼んでおいてそれはないでしょう?」
優美「な…何で分かったんですか?」
フィーシー「私は生命の神ですよ?植物があるところであれば誰が何の話をしているのかくらい分かります。」
優美「へ、へ~。」
やっぱり神様なんだな~、と私が思っていると、大翔が飲み物を運んできた。
大翔「ほい、言ってたコーラとミルクティー。フィーシー様は紅茶でよろしかったですか?」
フィーシー「ええ。いただきます。」
優美·舞花「???」
大翔「どうしたの二人とも?飲まないの?」
舞花「いや、あの、どうして大翔は驚かないの?」
大翔「いやまあ…会話の流れ的にあっ多分これ来るな~って思ったからついでに追加で飲み物準備してたから。」
優美·舞花「……」
優美「(察し良すぎない?)」
私がそんな事を思っていると、紅茶を一口飲んだフィーシーの表情が柔らかくなる。
フィーシー「美味しいですねこの紅茶。味も私好みですし、あなたが淹れたんですか?」
質問を投げ掛けられた大翔が答える。
大翔「はい。少し紅茶などに対して嗜みがあって、料理にも使えるので何種類か茶葉を持って来たんですよ。今回はその中からフィーシー様が好きそうな物を感で選んで淹れました。」
フィーシーはその説明を聞いて驚いた顔をした。
フィーシー「それは凄いですね。この紅茶私の側近が淹れる物と対して差がないです。」
大翔「少し嗜みがある程度ですよ。おかわりもあるので遠慮せずどうぞ。」
大翔はそう言って微笑む。フィーシーは淹れられている紅茶を味わって飲み、おかわりを頼んでいた。
フィーシー「それはそうと私を呼んだ理由は何ですか?私、呼ばれた気がして来ただけなので何を聞きたいのか分からないのです。」
大翔が朝食の洗い物に戻り、少し飲み物を楽しんだ後、フィーシーが質問してきた。
優美「はい、今回呼んだのはあることを聞きたくて呼んだんです。」
フィーシー「はい。」
優美「あの日、私達がイクセスリィで戦った日に現れたあの人物について教えて欲しいのです。」
そう言ったとたん、フィーシーの表情が固いものとなる。
優美「フィーシーさん?」
フィーシー「そうですか…あなた達は覚えているのですか…」
そう呟くと、フィーシーは私達をしっかりと見据え言った。
フィーシー「その事について知りたいのであれば、今回の大会に優勝し、その力を私に示しなさい。このことについて知る権利があるかどうか、私がしっかりと判断します。」
その言葉には、先ほどまでの優しい雰囲気はなかった。代わりにその言葉に宿っていたのは、神としての気迫だった。突然のことに私達は言葉に詰まる。するとフィーシーはすぐに先ほどのような優しい雰囲気に戻り、私達に話しかけてきた。
フィーシー「突然すみませんね。この後ある大会、頑張って下さい。」
そう言ってフィーシーは一滴の紅茶を残して行ってしまった。あの人物はいったいどういう物なのか謎は深まるばかりだが、一つ絶対に負けられない理由が出来た。私達は大会が始まるまでアップを行い、会場へと向かった。
壊れたスマホの音声データ「やっ…やめろ!誰なんだお前!がっあああああああ!腕が…!あああ!分かった爆弾の場所を言うだからもうやめてく……れ……その爆弾
……どうやって……見つけた?おい…やめろ!近付くな…やめろーーーーー!かはぁっ!……あっ……!お…前…は…いったい……何者………なんだよ……………たの………………む……………………か……………………ら………………………教えて………………………くれ…よ……………………………す………………………………ま………………………………な……………………………い……………………………………か………………………あ……………………………さ……………ん。
ブチッ」
ここで音声は途絶えた。
こんにちわ皆さん!作者の柳川歩城です!まずは一つ、申し訳ございませんでした!アルファポリスの方をメインでやってたら、小説家になろうの方での投稿が出来ていませんでした。本当に申し訳ございませんでした。これからはこっちの方でもしっかりと投稿していくので、皆様応援よろしくお願いいたします。まあ今回では、なんか優美達神から結構言われましたねー。と言うか大翔あんな多彩なんやな。ここからいったいどうなっていくのか、よろしければこの小説のブックマークと評価をよろしくお願いいたします!実はアルファポリスの方で新しい小説とかクトゥルフ神話trpg のシナリオとか作っているので、コメントでの反応を見て、希望があったら小説家になろうにも載せるか考えようと思います。アルファポリスの方でも同じ名前で活動しているので気になった方がいたらそっちの方も見てみて下さい。それではまた、次の機会に。




