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おやすみ前の宝石箱  作者: さくらるる
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雪国の少女とドラゴン



 雪のよくふるある国にとてもかわいらしい小さな女の子がいました。女の子の名前はシュネ。


 シュネはお母さんの編んでくれた手ぶくろとマフラーをいつもつけてお出かけします。


 寒い風がピューピューとふく、ある日のこと。シュネはお買いものをするために、一人でお出かけすることになりました。


 たくさんの品物が並ぶお店やさんをテコテコとあるいているとき、シュネはステキなおもちゃ屋さんを見つけました。


「わぁ、ステキ!」


 ショーウィンドウにかざられているクマの大きいぬいぐるみに、シュネは大興奮。


「あっ!」


 そのときです。勢いのある強い風が、ピューッと手ぶくろをさらっていってしまったのです。クマのぬいぐるみにふれようと手ぶくろをとったのが間違えでした。ですが、落ち込んでいる暇はありません。


「まって!」


 シュネは赤い手ぶくろを追いかけます。


 町をはしり、門をくぐり、高い高い山を登ります。


「やった!」


 とうとうシュネは手ぶくろを、風から取り戻すことができました。


 しかし、どうしたことでしょう。まったく知らない場所まできてしまったのです。どこを見てもつもった雪と木ばかり。町への道もわかりません。


 シュネは来た道を思い出しながら、歩きます。けれども、町にはつきません。


 そうして歩いているうちに、雪のかげに大きな大きな洞窟を見つけました。


「あの中はあたたかそうだわ」


 冷たい風のせいで、シュネは寒さでカチカチになっていたものですから、風が当たらない洞窟は、ステキな場所のように思えました。


 シュネは洞窟に走って近づきます。


 すると、どうでしょう。中から大きなイビキが聞こえるではありませんか!


 洞窟の中をそっと覗くと…。


 そこには大きな大きな緑色のドラゴンがいたのです!

 シュネはびっくりして、思わず叫んでしまいました!


「キャーーー!」


 シュネの声におどろいたドラゴンは、たちまち目を覚まし、


「ウワーーー!」


 と、大きな大きな声をあげました。


「はぁはぁはぁ……」


 どれくらい一人と一匹でさけびあっていたことでしょう。シュネとドラゴンはつかれて、へたりこんでしまいました。


 シュネは用心しながら、ドラゴンを見つめます。見つめ返すドラゴンもまた、用心しているようです。


 二人はじっとにらめっこ。それがだんだん面白くなってきて、


「あは、あははははは!」


 シュネとドラゴンは笑いあいます。


「あーぁ。びっくり。キミって人間なのにぼくをこわがらないんだね」


「わたしもびっくり! ドラゴンなのにこわがりなのね」


 こうして、シュネとドラゴンはお友だちになりました。


 シュネとドラゴンはあそびます。


 ドラゴンに包まれて暖をとったり……。ドラゴンが秋の間に集めていたきのみを二人で分け合ったり……。ドラゴンの炎のマホウを見たり……。


 仲良しの友だちとすごす時間はとくべつで、それはそれは幸せなひとときでした。


「あーぁ。もうまっくら! シュネちゃん、そろそろお家に帰らなくて平気?」


「あっ、いけない! そういえば、わたし、迷子だったんだわ!」


 シュネは町までの道がわからなかったことを思い出しました。


「よぉし! それなら、ボクのせなかにのって!町までひとっとびだ!」


 ドラゴンはシュネをのせて、高く、高く、たかーく、飛んでいきます


「ほら、町が見えてきたよ!」


「わぁ……!」


 シュネは声をあげました。雪と町の光がぼんやりとまざりあい、その景色があまりにも美しかったからです。


「あれが、わたしのお家!」


 シュネは赤いやねの大きなお家を指差します。そして、シュネは心優しいドラゴンのおかげでお家へ帰ることができたのです。


「お部屋まで送ってくれて、ありがとう。……また、会える?」


「もちろん! ボクたちは友だち! いつでも会えるさ! だから、今日はゆっくりおやすみ」


 ふわり。シュネの体が軽くなります。ねむくてねむくてたまらなくなったのです。そうして、シュネは暖かな布団の中で眠りにつきました。


 次の日。シュネはとびおき、辺りを見わたします。昨日の出来事は、夢だったのでしょうか?


 シュネがしょんぼりしていると、シュネはドラゴンのぬいぐるみが枕元においてあることに気がつきました。ぬいぐるみを手にとると、そこには一通のお手紙がありました。


『シュネちゃんへ。これはボクからのプレゼント。また一緒に遊ぼう!』


 シュネはドラゴンの優しさにうれしくなりました。


 そして、また会える日を願って、ドラゴンのぬいぐるみをギュッと優しく抱きしめたのでした。



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