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おやすみ前の宝石箱  作者: さくらるる
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おきゃくさまはどなたさま?


 ここは森のパン屋さん。

 パパとママとひまりちゃんの3人できりもりしています。


 今日はひまりちゃんがお店番の日。

 厨房でパパとママがパンを焼いているときは、ひまりちゃんがお店のお手伝いをしているのです。


 コンコンコン。


 誰かがお店のドアをたたいています。


「はーい!どなたさま?」


 ひまりちゃんは元気良く返事をしました。


「こんにちは。パンをおひとつくださいな」


 ひまりちゃんがドアを開けると、そこにはフードをかぶった小さな小さなリスさんが立っていました。


「あらっ!」


 ひまりちゃんはびっくりして声をあげます。


「小さいけれど、フードをかぶっているわたしは人間なの。だから、パンを売ってくださいますか?」


 どうやらこのリスさんは、パンがほしくて、人間のフリをしてお店にきたようです。


 こんなにかわいいお客様は、はじめてだったので、ひまりちゃんはうれしくなって、


「どうぞ、お入りください」


 と、笑顔で言いました。


 お店の中に入ったリスさんは、パンを見ようとぴょんぴょん、とはねますが、小さすぎて、パンの棚に手が届きません。


「なにをお探しですか?」


 ひまりちゃんはパパとママがいつもやっているように、お客様に声をかけます。


「くるみパンを探しているの。くるみパンはあるかしら?」


 ひまりちゃんは棚にあったくるみパンをひとつ取って、リスさんに渡しました。


「ありがとう!こんなに大きいくるみパン、こどもたちがすごく喜ぶわ!」


 リスはよろこんで、お店から出て行きました。



 コンコンコン。


 しばらくすると、またドアをたたく音がしました。


「はーい!どなたさま?」


 ひまりちゃんが元気よくドアをあけると、こんどはお洋服をきたネコさんが、お店の前に立っています。


「こんにちは。おいしいパンを買いにきました。ごらんのとおり、お洋服きているあたしは人間よ。だから、中に入れてもらえるかしら?」


「どうぞ、お入りください」


 ひまりちゃんは人間のフリをしているネコさんにやさしくほほえみ、お店の中に案内します。


「おさかなパンを探しているの。このお店にあるかしら?」


「おさかなパンはないけれど、おさかなの形をしたパンならありますよ」


 ひまりちゃんはおさかながたのパンをネコさんに渡しました。


「ありがとう!すごくおいしそうね!お家に帰ってゆっくり食べるね!」


 ネコさんはよろこんで、お店からでていきました。



 コンコンコン!


 しばらくすると、ドアをたたく大きな音が、お店の中にひびきわたりました。


「はーい!どなたさま?」


 ひまりちゃんがドアをあけると、みあげるくらいの大きなクマさんが大きな大きな帽子をかぶって、お店の前に立っています。


「こんにちは。パンを買いにきました。ボクは大きいけれど、せのたかぁい人間です。だから、中に入れてくれませんか?」


「どうぞ、お入りください」


 ひまりちゃんはクマだと気づいていないフリをして、お店に案内します。


「ここの棚から、ここの棚まで、ぜーんぶください!」


 クマさんはお店のはじからはじまで指をさし、お店にあるほとんどのパンを大きな手でかかえこんでしまいました。


「すごい!たくさん食べるのね!」


 クマさんはにこりとほほえんで、


「ボクはからだが大きいからね。それにここのパンやさんのパンはおいしいって森で人気なんだ!」


 と、幸せそうにいい、クマさんは喜んで、お店から出ていきました。



「あっ!」


 ひまりちゃんは大きな声をだしました。

 お金をもらうのを忘れていたのです。


「どうしましょう。パンをうったら、お金をもらわないといけないのに…」


 ひまりちゃんは落ち込みます。


 と、そこへ、コンコンコン!とまたドアをたたく音が聞こえます。


「はーい!どなたさま?」


 ドアをあけると、そこにはリスさんとネコさんとクマさんが、たくさんのきのみやはちみつをかかえて立っていました!


「これはパンのおれいだよ。おいしいパンをありがとう!」




「パパ、ママ、わたしもちゃんとお店ばんできたよ!」


 ひまりちゃんは両手いっぱいにきのみをかかえて、得意顔。


「あらあら。すてきなお客様がたくさんきたのね。今日のお夕飯はきのみパンにしましょう」


 パパとママもにこにこ笑顔です。




 ここは、森のパン屋さん。

 今日もさまざまなお客様が、おいしいパンをも求めやってきています。



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