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神頼まれる身にも成ってみろッ!  作者: 藤次郎


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第六話「虫」

<――慈愛の心を越えた何らかの感情を

“爆発”させていた全知全能の彼は……今日も今日とて

悩める“願い人”達の願いを聞き届ける為

その優しき心をもって人々の願いに耳を傾けていた――>

………


……



「神様お願いです……この世から、虫と言う虫を全て消し去ってくださいッ!! 」


………


……



「……いやいや。


“一寸の虫にも五分の魂”と言う言葉がある位

君達人間の多くがみ嫌う虫にも等しく命があり

また、役目と呼ぶべき物があるのだ。


第一それらを作り出した想像主たる存在に対しその様な事を頼むとは……全く。


君達人間の利己主義的な考え方には、流石の私も……」


<――神の眼前に映し出されて居た

“若き願い人の男”……そんな彼の利己主義的な願いに

かれは不愉快な心持ちと成っていた。


だが――>


………


……



「そうすれば……彼女が危険な目に遭わずに済むのです」


<――そう言いつつ、うつむいた願い人の男は

笑顔の女性が写った写真を見つめ、不安そうな表情を浮かべた。


そんな彼の姿に――>


………


……



「い、一応詳しく聞いてみるとしよう……


……何故、君が虫達を消し去ろうとしているのかを」


………


……



「……彼女は今

世界各地を飛び回る善意之ボランティア医師団ドクターズの一員として働いていて

勿論、俺だってその活動の事は応援しています……だけど。


一週間後、彼女が向かう国には難病を媒介する虫が沢山居て

その病気は最悪の場合“死に至る”事も有るって聞いて……


……俺……俺ッ!! 」


<――遠き国へと旅立つ自らの伴侶の無事を願い

神の身からすれば“大それた”願いをした彼……だが。


そんな彼の願いは、彼の願った形とは“違う形で”叶えられる事と成る――>


………


……



「……成程。


側に居る事も叶わず、ましてや難病にかかる可能性の高い

遠い異国の地へと向かう彼女の身を案じての事だったのか。


正直、君の“生命を奪わんと願う”発言には驚いたが

君がそう願った理由はとても愛に溢れた物だったと理解した。


……よろしい。


君の願った形とは違うかも知れないが

我が全知全能の力をもって、君の願いを叶えよう――」


―――


――



「……番組の途中ですが、此処で臨時ニュースです。


アーリャル大陸で蔓延まんえんしていた

シニイタールと呼ばれる難病の媒介者として有名な昆虫の一部に

ある突然変異が起こった事が報告されました。


本日早朝、この情報を開示したアーリャル大陸

マルークオサマール共和国、国立研究所の声明は以下の通りです――


“この度、難病の原因であるウイルスを

死滅させる事の出来る抗体が発見されました。


……この抗体を持つ昆虫はまだ僅かですが、幸いな事に

この抗体を安価つ、人為的に複製する事に成功致しました。


更に……安定した量産体制を整えられる様、各国の政府と協力し

既に相当数のワクチン及び治療薬の生産も開始しており

近い将来、この難病は根絶出来る物と我々は信じています”


――臨時ニュースは以上です。


引き続き、番組をお楽しみ下さい……」



――


―――


「いやはや……少しばかりやり方が強引だったかもしれないが

それでも、私が生み出した全ての生命に対する責任として

その生命を無闇矢鱈むやみやたらに奪う事はしたくないのでね。


……しかし、今回の願いは少しばかり骨が折れた。


“願い人”たる君の愛する伴侶は、心身共に美しく

また、君の世界で使われる俗語……所謂

“悪い虫”が付いてしまいそうな程、素晴らしい魅力を持つ人間だ。


だが……数多くの者に対し善意をほどこす彼女の徳の高さを見れば

そもそも、彼女に悪い虫が付く事は無いと言えるだろう。


さて……良い具合にオチが“付いた”所で、私も次の“願い人”に対し

“善意のほどこし”をしなければ成らないね……」


===第六話・終===

次回は5月21日に掲載予定です。

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