第1話 元黒幕汰の1日
執事元黒の一日は、午前4時に起床することから始まる。
主である美咲が目を覚ます3時間前に起床し、服装を整え、自らの朝食をすまし、午前5時から主の朝食の仕込みを始める。この屋敷にいる従者は執事である元黒と家庭教師である汎蔵 七海だけであるため、食事の支度は元黒が行うしかないのだ。
美咲の父と母は仕事で外国を飛び回っており、屋敷に帰宅することはない。
支度が終わった6時頃、七海が起きてくる。
「おはよ~元黒ちゃん。相変わらず大変だねぇ、こんな時間から。」
「この程度、なんら問題はない」
「そーお?私が同じことやれって言われたら、3日で寝坊しちゃう未来が見えるけどなぁ~元黒ちゃんはすごいねぇ~」
「この程度、できて当然だ。むしろ、できない貴様のほうがおかしいのではないか?」
「あ、ひっどーい。これでも優秀なんだぞ?」
「これでも、というあたり、そう見えない自覚があるようで何よりだ。」
「むむ。まぁいいや。おなかすいたから朝ごはんちょーだい。」
「いつも通りテーブルに並べてある。」
「はーい」
ちりん、と美咲が元黒を呼ぶ鈴が鳴る。
いつも起床する時間より早いな、と思った元黒であったが、その考えを横に置き、美咲の部屋に向かう。
コンコン
「入って」
「失礼します。」
声が震えている。何かあったのだろうか。
「涙の跡がありますが、どうか、なさいましたか?」
「少し昔の夢をみただけよ」
「っ!さようですか。申し訳ありません」
「謝らないで?あなたは何も悪くないのだから」
そう主は言うが、主が泣く夢は、あの時のことに決まっている。あれは、私の責任だ。そう元黒が考えていることを見抜いたかのように、美咲はいつも通りの行動をするように急かしてくる。
「それより、着替え」
「!はい、失礼します。」
元黒は美咲のベッドに上り、濡れタオルで美咲の顔をぬぐう。その後、パジャマの上着のボタンを外し、脱がせる。次に、腰に手をかけ、壊れやすい磁器を持ち上げるような優しい動作で美咲の腰を上げ、ズボンを脱がせる。その後、部屋のクローゼットから明るい紫色のワンピースを取り出し、美咲に被せ、首元のボタンを留め、美咲を持ち上げ、ベッドの横にある車いすに運ぶ。
「ん。ありがと」
「いえ、職務ですので」
そう言い元黒は車いすを押して洗面所にまで行き、水を注いだコップを口元に近づけ、口をゆすいだあと、うがい受けを差し出す。その後、歯ブラシを持ち、「歯を磨きますので口を開けてください」と声をかけ、美咲の歯を1本1本丁寧に磨く。歯磨きが終わり、また水を注いだコップを口元に近づけ、口をゆすいだあと、うがい受けを差し出す。
歯磨きの後、元黒は車いすを押し、食堂まで美咲を運ぶ。
食堂に着くと
「お?美咲ちゃんおはよー。今日は早いね~」
「おはようございます。七海先生。すこし、夢見がよくなくて早く目が覚めてしまいました」
「そうなの?安眠グッズ用意しようか?」
「いえ、大丈夫です。」
「ご歓談の合間ですが、失礼します」
そう料理の準備ができた元黒は言い、美咲を持ち上げ、椅子に座らせる。
その後1口サイズに加工されている料理を運び、一つ一つ美咲の指示の元、口元に運ぶ。
40分ほどかけ食事が終わり、元黒は皿をさげ、屋敷の掃除に向かう。美咲はこの場で七海の授業を受けるのである。ふと、今主が学んでいる範囲は中学の義務教育範囲であるため、やらなくてはならないが、来年以降はどうするのだろうか、と元黒の脳裏によぎったが、それを考えるのは自身の行うべきことではないと考え直し、掃除に戻った。
10時頃、掃除を切り上げた元黒は昼食の支度を始める。美咲は11時まで学習をした後、昼食をとり、また学習を再開するのである。
朝食同様昼食を終え、皿を下げた後が元黒の食事の時間だ。この日の昼食は主の朝食に使ったパンの余りとレタスの端切れ、ハムの端を使ったサンドイッチである。
その後、庭の手入れをし終えた15時頃、ちりん、と元黒を呼ぶ鈴が鳴る。紅茶の時間だ。
元黒は紅茶をいれたティーポットとスコーンを乗せた台車を押し食堂に向かう。
「失礼します」
そう声をかけ、ソーサーとカップを置き、お茶を注ぐ。ついでに七海にもお茶を注ぎ、スコーンを一皿置く。
お茶を1口美咲に飲ませ、一口大に切ったスコーンを食べさせる。
アフタヌーンティーが終わり、ソーサ―とカップ、スコーンのあった皿を回収した元黒はそれらをキッチンに片付け、掃除を再開する。
18時頃、風呂に湯を張り、夕食の準備をする。
19時、インターネットを使い美咲に不要な音楽や動画を視聴させていた七海をにらみつつ、配膳をし、夕食を終わらせる。
その後、20時頃に風呂に入れる。
まずワンピースのボタンを外し、脱がせる。その後、ブラのホックを外し、ブラを脱がせる。
「失礼します」と声をかけ、パンツを脱がせ、持ち上げ、風呂場の鏡の前にあるシャワーを浴びせる用の椅子に座らせる。
「ねぇ元黒」
「どうかなさいましたか、お嬢様」
「明日で、あれから1年になるのね。」
「っ!そう、なりますね」
「ねぇ、あなたはまだ責任を感じているみたいだけれど、私はあなたを恨んではいないわよ?」
「・・・これ以上何もしないでいると、風邪をひいてしまいます。シャワーを開始しますよ」
「もう・・・」
顔にお湯がかからないよう丁寧に髪にお湯をかけ、風邪をひかないよう軽く体にお湯をかけた後、シャンプーを手に出し、髪を洗い始める。
「あー、もっと左。」
「パーマ屋ではありません」
「むぅ」
頭を洗い終え、指示されたところを何度も洗わされた後、顔に行かないよう気を付けながら泡を流す。
次に、やわらかく破れにくいダンジョン産の絹を使ったタオルにボディーソープを付け、背中を丁寧に洗い始める。
「ねぇ」
「どうかなさいましたか」
「手でもいいのよ?」
「非効率的ですので」
「むぅ・・・もう顔色一つ変えないわね」
「執事ですから」
「1年で随分と様になったわよねぇ。最初はあんなに顔赤らめていたのに」
「・・・昔は昔です」
「キャッ、くすぐったいじゃない。いきなり前を洗い始めるのはやめてよね。」
「・・・その手には乗りませんよ?」
「むぅ・・・ちょっとくらい表情変えてくれたっていいじゃない。」
「・・・明日は、お嬢様の15歳の誕生日ですね。」
「そうねぇ。でも、ルーレットどうやって回しましょう?」
「回すという意思があればボタンを押す必要はないそうですよ」
「あら、そうなの?よかったわ。首から下は呪いで私の意志じゃ動かせないもの、どうやってルーレット回すか考えていたのよ?こう、舌を使って、とか」
「とても間抜けに見えますのでおやめください」
「・・・ねぇ、足を洗う時に私の正面に来ても全く顔色かえないのはさすがにどうかと思うわよ?」
「執事ですので」
その後、話題が尽きたのか黙った美咲を元黒は丁寧に細部まで洗い、お湯で泡を流し、丁寧に洗顔をした。
「失礼します」
そう言い元黒は美咲をお姫様抱っこのような形で抱え上げ、風呂に入れる。
「ねぇ、いつも思うのだけれど、私を数十分風呂に入れている間ずっと腕だけで支え続けるのってきつくないのかしら?」
「執事ですので」
「うーん・・・執事とは何ら関係がない気がするわ」
元黒は美咲を風呂から上げ、備え付けてある椅子に座らせ体を拭き、ブラとパンツを着せ、髪を乾かし、寝巻を着せ、「失礼します」と声をかけ、車いすに乗せ換える。
その後、寝る前の水分補給として無駄に美咲がこだわる葡萄ジュースをワイングラスに入れ飲ませ、歯磨きをし、美咲の自室に運ぶ。
美咲を抱き上げ、ベッドの真ん中に置き、毛布をかける。
「お休みなさいませ」
「おやすみ~」
23時過ぎ、2時間ほどですべての業務を終えた元黒は自らの夕食を取り、最寄りのA級ダンジョンである鮮色ダンジョンに向かう。
デストロイヤー所属の冒険者とすれ違いつつ、時折挨拶をされ返事をしながらも、止まることはなく駆け足で向かう。
そして到着し、入口の魔方陣からちょうどいい難易度の100層にまで飛び、
「俺だって男だ!必死に抑えてるのにからかうんじゃねぇよ小悪魔お嬢様が!」
と叫びながら100層のフロアボスを蹂躙する。
気持ちを発散し終えた元黒はボスのドロップ品を持ち、デストロイヤ―のクランハウスに行き常設依頼のクリア報酬を受け取り、紫崎家の屋敷に帰還する。
その後、1時頃に睡眠を開始した。
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Name)Kuromiya Reizi
Sex)♂
number)112987163818
Lv)436
Rank)10
Party)empty
Pro)S級50層
HP)1436
MP)1436
SP)1436
Atk)C-
Vit)B-
Tec)C-
M・Atk)C+
M・Vit)B+
M・Tec)D+
Agi)E+
Stm)D
ECL)10
Luck)31
Skill)☆4闇魔法Lv9(M・Atk,M・Tec)
☆3剣術Lv8(Atk,Tec)
☆3身体強化Lv8(Atk,Stm)
☆3衝撃耐性Lv7(Vit,M・Vit)
☆2斬撃耐性Lv6(Vit,M・Vit)
☆2光耐性Lv5(Vit,M・Vit)
☆2魔力操作Lv5(M・Atk,M・Tec)
☆1触手展開Lv6(Tec,Stm)
鎖術Lv6(Atk,Tec)
弓術Lv3(Atk,Tec)
睡眠耐性Lv2(Vit,M・Vit)
【ランキング】
【マップ】
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