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第2話

・・・結論から言えば、その手が私に触れることはなかった




「この変質者どもめ!この娘は中学生だ!ちなみにおまえら、ロリの定義を知っているか?ローティーンの少女だ。そしてローティーンというのは13歳~15歳。つまり、この娘はロリなのだ!よって!イエスロリータノータッチの精神に反した貴様らはこの俺が成敗してくれる!」


青い背中が見える。


私とあの男たちの間にどこからともなく現れたあの人は、堂々としていて、とてもかっこよかった。


「なんだてめぇは!いきなり俺らの邪魔しやがって!」


「そうだ!だが、今すぐ去るなら見なかったことにしてやるぜ。へへへ。」


「断る!紳士の風上にも置けぬ者を紳士たる俺が見過ごすわけなかろう!」


「そうか、じゃあ、死ね。」


斬撃が彼に届き、あの時のように真っ二つになる。


それを見届けたあいつらは顔を見合わせ、よくわからないものを見たという表情をした。


「まったく、結局何だったんだあいつは。」


「さぁな。だが、続きをするとしようぜ。」


「そうだな。」


あいつらが私がいたところを再び見たときそこには、私の手を縛っていたはずのロープと切り裂かれたさらししかなかった。


「なに!?どういうことだ!」


「こういうことさ!」


その声にあいつらが後ろを振り向くと、いなくなった私を抱えたさっき真っ二つになったはずのしんがいた。


「なっ、てめぇ、いつの間に!それにてめぇはたった今切り捨てたはず!」


「あんなの俺に効くわけないだろバーカ。そしてよく見ろ。俺が警察の制服を着ていることをな!」


「なっ、マジだ、警察じゃないか!くそっ」


そう言い、奴らは逃げようとするが、出口はしんの後ろである。


「降参だ降参。おとなしくするさ」


「あ、ああ俺もだ。」


「そうか。手錠をかけるからこちらに来い。」


男たちがおとなしく近づいて来る。


「な、わけねーだろバーカ!」


そう言い、二人はしんの横を走り抜けようとしたが、瞬きをした瞬間に地に伏していた。


「ま、だろうな。予想ついてたさ。」


「くそがっ、そもそもてめえはいつから見てやがった!」


「え?最初から?」


「はぁ!?マークされてたってことか!くそがっ!」


「俺はただ単に父親が逮捕されて傷心中であろう少女が飛んでるのを見かけたから後ろをつけて・・・いや!そうだ。俺はこのダンジョンで行方不明者が異常にいるということを聞きつけ、正義のために来たのだ!これにて一件落着!」


そうしんさんは言うと、男たちに手錠をかけてベルトに紐で結び付け引きずりつつ、私をお姫様抱っこしたままダンジョンの出口へ向かった。


いや、まて。


「あの、しんさん」


「うん?なんだい?」


「この格好、はずかしぃ・・・」


「気にするな!君は薬の効果で力が入らないだろうからね!これは必要なことさ!」


「いや、あの・・・その、お姫様抱っこのことじゃなくて・・・いや、お姫様抱っこも恥ずかしいけど・・・」


「うん?」


「わたし、パンツしか今身につけてないの。」


「このまま外に出るのは、恥ずかしぃ」


「あ、あぁそうか!そうだったな!では俺の上着を貸そう。な?それでいいかい?一回下すよ?」


「ぅん。」


「えっ?いいの?」


「?」


「いや、なんでもない。」


そうしんさんは言うと上着を脱ぎ、私に渡してくれた。


「えへへ。しんさんの服ぅ」


「・・・あれ?おかしいな。」


「なにかいったぁ?しんさん?」


「いや、何でもないとも!さぁ行こうか!」


そう言って進もうとするので、私は手を広げ


「しんさぁん」


「ん?なんだい?」


「だっこしてぇ?たてないの。」


「あ、あぁそうだったね!うん!ところで、前はちゃんと閉めたほうがいいと思うな」


何を言っているのだろう。


「?しんさんにくっつけば見えないからだいじょーぶ」


「そ、そうかい。じゃ、じゃあ、持ちあげるよ?」


「うん!」


私は再びお姫様抱っこされる。そして、離さないという強い意志をもって腕を首に回す。


「えへへ、しんさんあったかい。」


「そ、そうかい?それはそうと、さっきから胸があたって・・・」


うん、あったかい。さっきよりも触れ合う布が1枚減って、私としんさんの間には2枚の布しかない。


「・・・でも、ちょっと熱いかも。」


「だ、だよね!じゃあちょっと間を開けようか!」


そうしんさんは言って距離を作ろうとするので私はおとなしく手を放し、


しんさんのシャツのボタンに手をかけた。


「ちょ、なにを」


「?あついから、布減らそう?間の布減れば、涼しくなるよ?」


「いやいや、さすがにまずいよ?いやまぁ、いますでに不味いが・・・」


「へんなしんさーん」


私はそう言い、ボタンを外していく。


「ちょ、やめなさいって。」


「やー」


「明らかに、おかしいよね?前会ったときこんなんじゃなかったし・・・さっき飲まされてた薬の影響か?エロい姿見たいからってぎりぎりまで待機してたのがよくなかったか・・・」


「しんさん何ぶつぶつ言ってるのー?」


「いや、なんでもないさ。役得だし自発的に行ってることだ。うん、問題はない」


ボタンを外し終えたので、私は再びしんさんの首に手を回し、くっつく。


やはり、間にしんさんの肌着1枚しかないというのは素晴らしい。


もっと少なければ、もっと素晴らしい?


「ねぇしんさん?」


「なんだい?」


「おろして?」


「あ、あぁ。さすがに正気に戻ったか?たたかれなかっただけよかったよ・・・」


しんさんは素直に私を下す。私が離れるの、寂しくないの?私はこんなにもさみしいのに。


私は飛行スキルを使って座り込んだままの姿勢で浮かび上がり、しんさんのシャツに手をかけ、


「脱いで?」


と首をかしげながら言う


「お、おう?わかった」


そういって脱いだシャツを受け取り、私はシャツの腕の部分を使って私の腰に巻く


しんさんのベルトのちょっと上に手を伸ばし、しんさんの肌着をつかみ、一気に上昇する


「ちょ、まって、何を、正気に戻ったんじゃ」


何か言っているが、気にせず、肌着としんさんの間にできた空間に入り込む。


それと同時にびりっという音とともにしんさんの肌着が破けるが気にしない。


「これで肌と肌で触れれるね♡」


首に手を回し肌と肌でくっつける。とても素晴らしい


「いや、これは、さすがにりゅーやちくわぶに殺されるんじゃ・・・」


「私と一緒にいるのにほかの人の話しないで?そんなことを言う口は」


そう言い、私は、しんさんの唇に自らの唇を重ね、舌を入れる。


「んん!ぷはぁ」


口を離すと、銀色の橋が私としんさんの間にかかる。


「えへへ。」


「はぁ、はぁ、いや、えへへじゃなくてね?君は薬の効果で、正気じゃないんだ。」


「?何言ってるの?私は、薬なんか飲む前から、ずーと、しんさんのことが、だーいすきだよ?」


「うっ・・・いや、だが、だからと言ってこんなことを」


「うるさい口はふさいじゃいまーす。」


再び唇同士を触れ合わせる。


ずっと


さっきよりも長く


しんさんが、少しつらそうな顔をして、鼻息が荒くなる。


しかたないので、離すことにした。


「ぷはぁ!」


「はぁ、はぁ、やばいって」


しんさんの息が荒い。ドキドキしちゃう。


「このダンジョンにしんが行ったんやな?」


「はい、出入履歴を確認してきました。」


「そうか、んじゃいくか?」


「まぁ、しんだし?きっと何事もなくいつも通り帰ってくるっしょ」


「それもそうやろがなぁ」


なにか声が聞こえる。()()()()しんについて話してる?


「はぁはぁ、やべ、もう出口、しかもこの声、りゅーとちくわぶ・・・」


「もー、さっきも言ったでしょ?私と一緒にいるときにほかの人の話しないで?」


またキスをしようとすると、しんは


「ちょ、まずいってぇ!」


と叫んだ。が、私を離さない(したとしても飛ぶ)し、了承ということであろう。


なので私は、またキスをした。


「んん!」


しんが何かを言っているが、まだ離さない。


「ん?今の声、しんとちゃうか?」


「お、そうかもしれないし!出入口付近にいるのかもしれないし、待ってる?」


「いや、勘やが、行ったほうがいい気がする。」


「じゃ、いくし!」


誰かが近づいて来る。でも、まだ離さない。


「んんん!」


しんがまた何か言っている


「おーいしん、さぼってダンジョンって・・・おいこらしんこら!ついに手を出しやがったな!」


「うわっ、キスしてるし!」


誰かが来て()()()()しんに話しかける。でも、しんは私とキスしてるから、何も言えない。


ふっと気が付くと、紫色の髪をした女性に抱きかかえられていて、目の前でこの間の金髪の男性がしんにビンタをしている。


「ぎゃー!俺なんも悪いことしてないのに!」


「大丈夫?しんに何された?どこから来たの?」


紫色の髪をした女性が優しく話しかけてくる


「私を襲おうとした男たちから助けてくれました。むしろ、私が、しんさんを脱がせて、キスを・・・わ、わた、俺は、俺は何をやっていた!?」


「あーこれは、最近出回ってるダンジョン産の淫乱薬の効果を受けてたっぽいし。私のスキルで解けたっぽいし。りゅーちょん!しん無罪!」


「え!?ちくわ、まじで!?」


「だから俺なんも悪いことしてないって言ったじゃん!」


「あの行動といつもの発言からして推定有罪だし!扱いが不満ならいつもの発言をうらむし!」


「うっ、何も言えねぇ。」


「それに、こーんなかわいい娘とキスできてたんだから、対価が足りないくらいだし!」


キスしていたという事実に、私の顔が真っ赤になる。ほかにも、私がした行動や発言を省みると・・・


「あ!いきなり気絶しちゃったし!」


「おいちくわぶ何してんだ!」


「よくわからないけど、何かあってしんが助けたんやろ?そのストレスから完全に開放されて、精神を高揚させる薬の効果が切れて、ほっとしたんやない?」


「あ、そっか、その後のほうが俺にとって強烈過ぎて忘れてた。そういえば襲われかけたんだったな」


「はぁ!?襲われかけたやと!?犯人はどこや!」


「え?俺のベルトに紐で・・・あれ?いない」


「ちょ、なにやっとんねん!探しに行くで!」


「お、おう」




後から聞いた話では、私がしんさんの上着をぬがしたあたりで紐がベルトから外れていたらしく、手錠の麻痺効果で動けずゴブリンに袋叩きにされている犯人たちが見つかったらしい。


あいつらは余罪があるということで読心スキルを持つ警官に調べられ、計15名の女性があの男たちの餌食になっていたことが分かった。ゴブリンに食われてしまえばよかったのに。


あの後が気が付くと、病室におり、しんさんと、りゅーやりゅーちょん呼ばれていた金髪の男性、ちくわ、ちくわぶと呼ばれていた紫色の髪の女性に囲まれていた。


「おはようだし!家に行ったら母親にほっておけと言われたけど、さすがにそんなことはできないからしんに自腹で病室の手配と診察代支払わせたけど、幸せな思いさせた代金ということで気にしなくていいし!」


「おいちくわ、それじゃ気にするやろが。言わなくていいねん。」


「ほんとに気にしてなくていいからな?元凶のあいつらに請求すればいいさ。」


「その手があったし!しん珍しくさえてるし!」


「あの、ここは・・・?」


「あ、鮮色病院だし!ゆっくり休んでくれし!」


「お前が一番騒がしいわ!」


「りゅーも騒がしいぞ!」


「っぷwしんに騒がしいって言われたらおしまいだし!」


「ふ、ふふふ。」


「あ、ようやく笑ったし!」


ガラッという音とともに扉が開き、白衣を着た人が入ってきた。


「お前らが優秀なので、誰も言わないのかもしれないが、とても騒がしく迷惑。病院内で騒ぐのはやめろください」


本当に心底迷惑そうな顔をしながら言っている。


「「「はい、ごめんなさい」」」


「さて、緑川 森羅さん、こんにちは。私はこの病院の院長である根っこです。体調は大丈夫ですか?」


「あ、はい、大丈夫です。」


「それは何より。ダンジョン産の薬品は魔力が高く、時には本来とは異なる効果を引き起こす場合がありますので、異常があれば言ってくださいね。」


「は、はい」


「おいおいねっこ、あんまり緑川ちゃんをビビらせんじゃないぜ」


「そうだし!そんなことが起こるようであれば私が抱きかかえたときにわかるし!」


「そーだそーだ!俺だってそんな兆候があればキスした時に気付く!」


「き、きす・・・そうだ、あのときは、ごめんなさい!」


「いや、気にしなくていいむしろごちそうさまでした君こそ吐き気がしたり俺を殴りたくなったりなんかしてないかい?なんて」


「い、いえ。その、薬の影響を受けてるときに言っていたことは、あの、全部事実というか・・・」


「お?しん、脈ありっぽいし?ついに春がきたし!」


「この変態がこんなかわいい娘に惚れられるとかありえないでしょう」


「てか、年齢的に犯罪やろ」


「外野が、うるさいわ!」


「その、それで・・・お返事は?」


「え?あ、いや、その・・・」


「おー?なんだし?告白でもしてるのかし?なーんて」


「・・・その、はい。屋敷で助けられた時、一目ぼれして・・・薬の影響があるときに、薬を飲む前から好きだった、と」


ガタッという音とともにしんさんが立ち上がり、わき目も降らず逃げて行ってしまった。


あれから数日後、私は無事退院した。

根っこさんは、「君の彼氏に対する貸り1つと相殺で代金は支払ってもらった」と言って、料金を受け取ってもらえなかった。


あの後結局りゅーさんとちくわさんは見舞いに来てくれたが、しんさんはどこかに行ってしまったということだった。へたれ。


無事退院できたが俺が金を稼がなければならないということを退院祝いを持ってきてくれたちくわさんに話したところ、冒険者クランを紹介してもらえるということになった。なんでも、しんさんやちくわさん、りゅーさん、根っこさんと同格の王と呼ばれる偉大な冒険者が率いるクランらしく、そこでパーティーを組み、冒険をすればいい、とのことだった。


そのクランの名はデストロイヤー、クランマスターの名は駆逐、というらしい。


俺は、ちくわさんに教えてもらった建物に近づくにつれ、冷や汗が出てきて、目の前に着いたときには、震えが止まらなかった。


デストロイヤーのクランハウスは、俺の住んでいるでかいだけの古臭い屋敷よりもさらに数倍大きく、立派だった。また、すぐ近くにはC~S級の4つのダンジョンがある鮮色ダンジョンがあり、そことつながる道はとても大きく、多くの人が行き来している。


本当にここのトップと話をしに行くの・・・?


わた、俺は覚悟を決め、建物の中に入った。そして、入ってすぐ目に入ってきたのは、広いエントランスと、5名ほどが並んだ受付カウンターだ。


右から順に、依頼者用、受注用、達成用、入クラン希望者用、幹部面談用とあった。


さて、俺は入クラン希望者用と幹部面談用のどちらに行くべきなのだろうか。ちくわさんからは「ちくわからのクランマスターへの紹介状」と書いてある手紙を渡されているが・・・


「よう嬢ちゃん。依頼かい?依頼なら一番左のカウンターだぜ」


いきなり話しかけられ、俺は傍目にもわかるほど驚いた。話しかけてきたのは同年代に見える男性だ。


「うおっ、そんなに驚かれるとさすがに傷つくぜ・・・」


「あ、すみません。その、とある方から紹介状を預かってきたのですが、入クラン希望でして、どちらのカウンターに行けばいいのかわからなくて・・・」


「ん?紹介状?誰にかわからんが・・・幹部用でいいんじゃないか?ところで、だれが嬢ちゃんみたいなかわいこちゃんに会う希望出されてるのか教えてくれるかい?えーすさんか?それともたらし神名かい?それとも俺かい?」


「えっと、駆逐さん、です」


「え?俺?心当たりないんだけど」


「え?・・・あなたが、駆逐さん、ですか?クランマスターの?」


「あー、まあ、幹部用カウンターに行ってそれ提出すればわかるさ。さぁ行った行った」


「は、はぁ。」


そういわれ疑問を抱えつつも幹部用カウンターに俺は向かった。


「いらっしゃいませ。ご用件は?」


「その、クランマスターの駆逐さんに・・・」


「え?クランマスターに?無理無理、あんたみたいな小娘が会いたいって言ってすぐ会えるような方じゃないのよ。あきらめなさい。まったく。またヴィド様に一目ぼれした小娘かと思ったら・・・」


「あの・・・」


「何?まだいたの?さっさと帰りなさい」


ここまで言われると、間違っている気がしてきた。


「す、すみません」


そう言い、私は隣のカウンターに行くことにした


「いらっしゃいませ。入クラン希望者の方ですね?誰かからの紹介状はお持ちでしょうか?」


どうやらこっちが正しかったようだ。


「は、はい。これを・・・」


「?承りました。・・・こ、これは!」


「えっと・・・何か問題が・・・?」


「い、いえ、なにも。では、案内いたしますのでついてきてください」


そう言い、カウンターを飛び越えこちら側に来る。見た目に反した身体能力に目を見開いていると隣のカウンターから


「え?なに?その小娘、入りたいって言ってんの?クランマスターに会いたいからって、そんなん通るわけないじゃん」


という声がかかった。それに対し、私が何と言えばいいのか悩んでいると、入クラン希望者用カウンター担当の受付嬢が、


「あなたはあほですか!さんざん人を見かけで判断するなと叩き込めれておいて、そんなことを言うだなんて!この方は正式なお客様です!」


と言った。それに先ほどの幹部用カウンターの受付嬢が目を白黒させているうちに入クラン希望者カウンターの受付嬢が「失礼しました。こちらです」というので、ついていくことにした。


扉の前まで案内され、「ここでお待ちください」と言われた。


こんこんっと扉を受付嬢が叩くと、「はーいどうぞー」という若い声が聞こえた。


「失礼します。ほかの王からの紹介客をお連れしました」


「え?あいつらから?紹介客?まぁいいか」


「こんにちは、緑川森羅と申します。ちくわさんから紹介され、紹介状を持ってきました」


「あー、ちくわさんから?ま、入クラン希望者かな?とりあえず紹介状みせてー」


「こちらです」


「お、さんきゅー」


暫定駆逐さんが手紙を読み終えた。震えている?


「あっはっは!なに?しんに惚れたの?随分と数奇な関係性だねぇ。四変王すべてとかかわるなんてそうそうないよ」


「四変王・・・?」


「あ、そっか、まだダンジョン初心者だもんね。知らなくて当然か。1年ほど前、ちくわぶ、しんさん、りゅー、根っこ、私の5人が称号をおしつk・・・譲り合ってできた、5人なのに4の名を冠する王たちの名さ。随分と大げさだけどねぇ」


「は、はぁ。」


「ま、事情は分かった。スキルも書いてあったし、入クラン試験は推薦で合格、ようこそ、わがクランデストロイヤーへ。こちらで同程度・同性のパーティーメンバーを用意する。安心して冒険するがいい。」


「ありがとうございます!ところで、スキルが書いてあった、とは?それに、明らかにほかの人の気配がこの部屋からするのですが・・・」


「あぁ、スキルは、根っこが勝手に鑑定したのが書いてあったのさ。そして、人の気配っていうのは」


「「「「「俺らのことかな?」」」」」


複数のクランマスターと同じ顔をした男性が天井裏・クローゼット・床などのいろいろなところから顔を出し戻っていく。


「俺は並列存在のスキルを持っていてね。こいつらも、入ってすぐ話しかけたのも俺さ」


並列存在。たしか、様々なスキルを極めたある種の極限ともいえるスキル。中学生でも授業で習う有名かつ高難易度取得スキルだ。


さすがは四変王、というやつなのだろうか。しんさんも何やっているのかわからなかったし、他の人たちもその力に拮抗しているようだった。

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