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第5話

そのような会話をしていると、一陣の風が吹き、こーあんが現れる。


「これは、どういうことだい?不吉な気配を察知してきてみれば・・・」


「あ、こーあん、ちょうどいいところに。実はかくかくしかじかで」


「まるまるうまうま?ってわかるかいな。」


~~~少女説明中~~~


「ふむ、なるほど・・・つまり外見的特徴でもってシュブ=ニグラスと判断した、ということでいいのかい?」


「そういうことになる、のかな?」


「安直すぎるぞおい・・・見た目なんて記憶いじればどうとでもなるんだ、本来の姿が分からず対策もせずに挑むだなんて、死にに行くようなもんだぞ・・・」


「きっと勝てる」


「神を侮るなかれ。人知の及ばぬ領域に存在しているからこそ神は神なのだよ」


「むぅ・・・」


「さて、橙木君、ちょっといいかい?」


「うん?」


学長は橙木の頭に手を当てる。


「・・・うん、間違いなく記憶が操作されてるね・・・えーっと、ここのプロテクトを解除して、ここの上書を削除して補填して・・・うん?これは・・・」


「うん?どうしたの?」


「いや・・・その・・・ね。とてもよろしくない。これは、本当にとんでもないことをしでかしてくれたな灰原・・・」


「だーかーら、どうしたってのよ。相手がどんな存在であれ、勝てばいいのよ!」


「あー、そのことなんだけど、今回は手だし無用で頼みたい。」


「は?なんでよ」


「目覚めさせちゃいけないからさ。世界が終わるのは勘弁だよ。」


「はぁ?」


「うぇ?アザトース?嘘でしょ?」


「間違いない。正しい記憶では、眠っている間に、と攻撃し、目覚める瞬間に次の世界に移動している。」


敵が想定していた存在ではなく、その上目覚めさせたら世界が終わる、そのような内容を告げられた人々の反応は3つに分かれた。


1つ目は、恐慌状態に陥る者。自身の力ではどうしようもないと悟り、けれども死、いや存在の消滅への恐怖で正気を保っていられなかったのだ。速攻学長の手によって気絶させられた。


2つ目は、次の言葉を待つ者。何か方法があるはずだと信じ、静かに答えを待つ。


3つ目は・・・


「はぁ?こんなわけわかんねぇガキが言ってることが正しいっていうのか?馬鹿らしい。出てきたら俺がパパっと始末してやるよ!」


自らの力を過信し、学長のことを知らず、信用しない者。速攻学長の手によって気絶させられた。


「さて、とりあえず、私を信頼してくれてありがとう。では、今後の対応についてだが」


「信頼はしてないけど信用はしてる」


「ま、信頼したら駄目な人種っていうのはしってるし」


「信頼したら間違いなく調子に乗るもんな。」


「情報源としての信用はあっても任せるには頼りないからなぁ」


「もったいぶらずに早く言えよなー!」


散々な言われ用であるが、学長はそれをスルーし続ける。


「・・・今後の対応についてだが、送還するしかあるまい。」


「招来阻止はできないの?」


「できないな。正確に言えば、時間が足りなくてできない、だな。あと3日ほどあれば解除できなくもないが・・・」


「じゃぁ仕方ないか・・・」


「ま、そういうわけだから、魔力ちょうだい?」


ちくわが怪訝そうな表情を浮かべる。


「え?各自で練って渡せってことかし?」


「そーそー。」


「他人の魔力を操作する方法は見つかってないんじゃなかったっけ?」


「駆逐さん、うちの一族には秘術というものがありましてね」


「え?まだ未公開の術あったの?」


「あと3つほど」


「・・・そうか、これが終わったらキリキリ吐け」


「ちょ、根っこさん、酷くね?秘術よ?秘められた術」


「ま、いいわ。でも、その娘は魔力練れなかったはずよ?」


「あー・・・うん、大丈夫」


「だ、大丈夫なんですか?」


「うん。手だして?」


橙木は不思議そうな表情を浮かべながら手を差し出す。


その手に学長は、よくわからない石を乗せる。


「あの、これ、なんですか・・・?」


「うちの一族の秘宝の増幅器。」


「な、なぜそれを私に・・・?」


「ん?アザトースに君のスキルが結びついているからね。今アザトースが存在している場所を把握するために必要なことなのさ。間違ったところに送り返して目を覚まされたら終わりだからね。」


橙木に秘宝である増幅石を渡した学長は、正気を保っている人が紡いだ魔力を受け取り、橙木の魔力に調整し、送り続ける。


本来は自然回復で溢れた魔力を増幅し、術に使用する秘宝であるため、膨大な量の魔力に耐えられず、ひびが入り始める。


「ほ、本当にこれ大丈夫なんですか!?爆発したりしませんか!?」


「んー、まぁ、多分。」


「ちょ、多分って何ですか多分って!」


「いやぁ・・・数年前まではそんな膨大な魔力用意できなかったし、それの存在思い出したのがついこの間だからなぁ・・・耐久試験はしてないし、限界超えたらどうなるかなんてわからないよ」


「嫌ですよ私!防衛のための準備中に事故死なんて!」


「・・・まぁ、祈れ?」


「いや、祈れって・・・」


「どうにかしようとしている相手が人外なんだ、こっちも人外の手助けがなければどうにもならんさ。」


「え!?じゃあどうしようもなくないですか!?」


橙木の、ここにいる人について何も知らない反応に、学長は笑みを浮かべる。


「人外もいるよ?」


「うぇ!?マジすか!?」


「マジマジ。でも、これじゃ全然足りんなぁ・・・どうしようか」


「は?これで足りないの?」


「冗談と言ってくれし・・・」


「もう無理やで・・・」


「冗談でも何でもなく、10分の1くらいしか貯まってませんよ。」


「・・・複数回増幅させるのはダメなのかい?」


「先祖がやってみようとしたら駄目だったって事例があるんですよねぇ・・・」


「・・・じゃあ、どうするんだい?」


「祈る?」


この直後、19時になり、アザトースが招来され、その瞬間に何かが弾ける音がして、気付いたらまた戻っていた、というわけなんですよ。」


その橙木の言葉に、それまで黙って聞いていた駆逐が訪ねる。


「・・・対処方法、なくないか?」


「そうなんですよね。学長以外どうしようもない感出てましたが学長も無理でしたし。しかも招来された時点でアウトってどうなってるんですかね・・・」


「うーん・・・まぁ、とりあえずこーあんが弟子の修行終えたら今日中に話して対策を練るくらいしか変えれる点はないかな・・・」


「そうなりますね」


「にしても、黄泉さんっていう人外クラスがいてもどうにもならないって、どうすればいいんだろうね?」


その言葉に、橙木は返事をすることなく、駆逐の背後にいる紫髪の少女を見つめている。


「・・・あー、もしかして、このタイミング・・・?」


そーっと振り返った駆逐は、黄泉がいると認識する前に首を刎ねられる。


「・・・人外(神や大妖怪)になったつもりは、ない。」


「せめて弁明させてくれてもよくない?」


あれから数時間後、学長が弟子の修行を終え、学長室に転移してきたタイミングで巫女姫により攫われデストロイヤーのクランハウスの一室に来た時点で、橙木が疑問を口にする。


「なんで車椅子を?」


「うん?さっき言っていた世界線では違ったのかい?」


「はい。いたって普通に歩いていましたが・・・」


「ふむ?よくわからないが・・・丸7日あれば自身にかかったこの呪い程度なら解除できるが?」


「ならそうしなよ・・・」


「それがね、駆逐さん。」


「うん?」


「それやっちゃうと1週間くらい神頼みできなくなっちゃうんだわ。不吉な予感がしてたからやらなかったんだよね」


「・・・なるほど、橙木君が知っている世界線のこーあんはこの世界線のこーあんより危険に鈍感なのかな・・・?」


「ま、そうなるかな?」


「話の流れがよくわからないので、説明してもらっていいですか?」


説明に30分ほど費やし、19時30分になった。


「なるほどね。じゃ、その洞窟の場所教えてもらっていい?今から対処してくるから」


「えっ!?できるんですか!?前の世界線では解析に3日はかかるって言っていましたけど・・・」


「うん、かかるね」


「間に合わなくないですか?」


「幸運にも神頼みができるからね。神頼みと、神への貸しの取り立てを駆使すれば時間の操作程度容易いことさ。」


「そういうことですか・・・では、お話しします。」


「お、解決しそう?」


「あー、はい。解決しますので宴会に参加してきてくださいな。これは俺の仕事範疇なんで」


「じゃ、よろしく~」




その日の夜、23時。学長は洞窟の前に一人佇んでいた。


「さて、思いのほか触媒の準備に手間取ったが、どうにか間に合ったな。


『大いなる時の神よ 

 生きとし生けるモノ達に制限をかけし神よ

 感情に揺らぎて変わりし曖昧なる神よ

 我が用意せし供物と引き換えに

 この空間の時の流れを変え給え』


【スロゥ・ワールド】


さて、これで制限時間の問題は解決、と。次は解析と解除・・・うっわ、めんどくさ・・・んー・・・力ずくで消し飛ばして問題ないな・・・?うん、大丈夫そうだね。


『火の神よ 水の神よ 風の神よ 土の神よ

 世界の改変のしわ寄せを受け我に助けを求めた多くの属性を司りし神々よ

 今その貸しを返し力を轟かせよ』


【エレメント・ロア】」


学長が2つ目の神術を発動すると、招来のために用意されていた魔方陣に13本の光の柱が生じ、消し飛ばす。


この時を持って、アザトース招来事件は防がれたのである。


同時刻、クランデストロイヤー未成年者女子会にて。


「あふぅん・・・」


「え!?ちょっと、橙木ちゃん、大丈夫!?どうしたの?いきなり崩れ落ちて・・・」


「あー・・・なんか、だるくて・・・」


「えぇ・・・?」


「力が抜けましたぁ・・・」


「なにそれ・・・ちょっと!駆逐さん!」


「はいはぁ~い?どったのぉ~?」


「橙木ちゃんが!」


「うん?・・・鑑定・・・おや?レベルが1に戻っているし、ミソロジースキルが消えている?で、別な魔法系スキルに置き換わっているな・・・」


「ど、どういうこと・・・?」


「よくわからないけど、こーあんが解決して、なんか影響があったんじゃない?」


「まぁ、よくわからない間に手に入った力ですし、未練はありませんが・・・いっきにステータスが下がったことによるだるさだったんですね、これ・・・」


「ま、今からこーあんに聞いて来るさ。」


「いてら~」「よろしくお願いしますぅ・・・」




再び洞窟前


「やぁこーあん、解決したってことでいいのかい?」


「あ、駆逐さん。そーですそーです。解決しましたよ~」


「そっか。よかった。ところで、今回の件、どう思う?」


「んー・・・橙木君、あの娘が言っていたことは99%正確だと思いますよ」


「うん?じゃ、残りの1%は?」


「本人すら気付いていない間違った情報ですかね?」


「なんだい、それは。」


「彼女は一切時間遡行をしていないってことですよ。」


「・・・どういうことだい?そんなわけないだろう?時間遡行をしていなければ説明がつかない内容を話していたんだ。」


「根拠は2つあります。1つ目は、時空の揺らぎが存在しないこと。時間遡行をした存在がいれば一切の時空の揺らぎなし、という現状はあり得ません。2つ目が、神の存在を知らなかったこと。間違いなく私が切る切り札なのに知らなかった。つまりその世界線では私は雷神招来をせずに大妖怪を解放したんでしょう。管理者のスペック限界ってところですかね。」


「なるほど?よくわからないけど、時間遡行の痕跡がないってことでいいのかな?で、3つ目は?」


「まぁ、そんな認識でかまいません。3つ目は、たぶん今頃橙木ちゃんのステータスは初期化されてるでしょう?それが根拠です。」


「おや?よく知ってるね」


「当たっていたようですね。ここからは推測になりますが、いいですか?」


「うん、聞かせて。聞かないと酒がおいしく飲めないからね」


「じゃ、簡潔に言いますと、アザトースが目覚めると管理者・・・リズでしたっけ?それにとっても都合がよくないから、可能性の未来を橙木ちゃんにみせて、一時的にレベルとスキル付与して対処させたんですよ。世界崩壊になったら管理者が無事かどうかわかりませんしね。多分灰原はがっつり天罰喰らうんじゃないかな?」


※最後の学長の発言はあくまで推測でありすべてが事実というわけではありません

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