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第1話

ピピピピ、という目覚ましの音で目を覚ます。


ダンッ!


眠いので止める。


・・・また、ピピピピ、という音で意識が覚醒する。今は何時だろうか。


「・・・え?11時55分?」


おかしい。さすがにそこまで寝ていないはず・・・というか、確実に遅刻では・・・?


「あっ、そうか。明日15歳の誕生日だからって、とーっても早く寝て、日付変わる前に起きようって目覚ましかけたんだった・・・」


そう、私はあと5分後、明日の5月6日に15歳の誕生日を迎えるのである。


「15歳の誕生日って、光ったりするのかな?管理者的には特別何だろうけど・・・よくわからないなぁ・・・」


ピピピピ、と目覚ましが再びなる。12時である。


「何も変わらない?スキル数ルーレット」


「わ、本当に出た。えいっ!・・・7?多い方だし、よし。」


「あとは各スキルの星数だったよね・・・」


「最初は・・・5!幸先良いね。よしよし。」


「次は・・・うん?次も5?」


「3回目・・・また5?流石におかしくない・・・?」


「怖いんだけど・・・でも、回さないって選択肢はないし・・・4回目は・・・また5・・・どういうこと?こんなに当たるだなんて聞いてないけど・・・」


「もう、自棄だ!全部回す!5回目!・・・5!6回目!・・・5!7回目!・・・5!どうなってるのよ!」


ズキン、と頭が痛みだす。そしてめまいもしてきた。


「あぇ・・・?なに・・・これ・・・うっ・・・」


あまりに気持ち悪くて、吐き気がする。頭痛とめまい、吐き気が収まる。


「あぁ・・・()()()()()()()()()()()・・・何度繰り返しても、明日の夜には死ぬのに・・・それにしても、スキルは何回繰り返しても同じ数だし同じ星数、これってどうなってるんだろう・・・誕生日以前に、過去の回との違いがあれば、もしかしたら生き残れるかもしれないと思って希望を捨てずに何度も繰り返しているけど、もう疲れたよ・・・でも、調べなきゃ・・・」


そう、私は何度もこの2日間を繰り返している。正確には、スキル覚醒前の8日間も繰り返しているのかもしれないが、スキルを得る前は自覚がない。毎回今日までの内容が変わるけれど、私は必ず明日死ぬし、日本は滅びてしまう。何度やってもあの化け物が復活し、すべてを蹂躙して、意識が飛ぶ。そしてまた戻ってくる。原因はわかっている。スキルの時間遡行と完全記憶の影響だろう。時間遡行は寿命・病以外で死んだ場合、スキルレベル×1日過去に戻るスキルである。この戻る過去は多少異なった過去であり、生き残る可能性がある、というものなのだ。


だが、何度繰り返しても変わらない。どの世界線でもあの化け物は生まれるし、誰もかなわない。そして、日本、もしかしたら地球自体が滅びる未来に収束するのかもしれない。それを変えることができるのは、未来を知っている私だけ・・・と思っていたのだけれど、これはどういうことだろう?明らかに、今までとは全く違う世界だ。デストロイヤーなんてクランは知らないし、最強とされている人も異なる。今までの多くの世界の記憶と、この世界の記憶に異なる点が多すぎて、わからない。確か、今までの世界で最強とされていたのはえーすさんだったはず。決して黄泉という同年代の少女ではなかったはずだ。調べてみよう。


「あれ?存在しないわけじゃないし、上位ではあるのか。でも、同格以上とされている人が7人ほどいる?これならもしかして・・・えーすさん1人だけでは勝てなかったあの化け物にも、もしかすると勝てるのかも・・・?」


希望が、見えてきた。過去との相違点を探せば、他にも何か手がかりがあるかもしれない。ここまで変わったのは、初めてだ。今回でこの悪夢を終わらせたい。なので、ちょうどニュースでやっていた最強とされている黄泉という少女について調べてみよう。


「えっ?壊滅したクランランスコープのメンバーを復活させるために戦っている?ランスコープ壊滅してるの?何があったのよ・・・」


ランスコープは毎回必ず明日の昼間に来てくれて、あの化け物と戦い、えーすさんが来るまで持ちこたえる精鋭のはず。それが壊滅って・・・


「えっ?1年以上前?噓でしょう?根本的に異なる世界に来てしまったのかしら・・・?」


・・・そうだ、私としたことが、余りもの違いによる衝撃でステータスの確認を忘れていた。


「ステータス」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


Name)Touboku Ageha

Sex)♀

number)999999999999

Lv)501

Rank)12

Party)empty

Pro)C級30層

HP)1701

MP)1701

SP)1701

Atk)D

Vit)D

Tec)B+

M・Atk)C-

M・Vit)C-

M・Tec)A-

Agi)D

Stm)D

ECL)12

Luck)04

Skill)Kochounoyume{☆5時間遡行Lv10(M・Vit,M・Tec)

          ☆5完全記憶(Tec,M・Tec)  

          ☆5飛行(Tec,Agi)

          ☆5翼展開Lv10(Tec,Agi)

          ☆5幻術Lv10(Agi,Tec)}

   ☆5炎魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)

   ☆5霧魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)

【ランキング】

【マップ】


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「えっ?なに、これ・・・何このスキル、私知らない。え?でも、この世界の私は知っている?レベル500を超えると・・・どういうこと?そんな話、聞いたこともない。そもそも、私のレベルもおかしい。私は毎回レベル50で死んで・・・そういえば前回、10回目の世界、とか思っていたけれど・・・今回に限って、加算された?それとも合計値が500を超えたから、ミソロジースキルとやらが手に入って、ここまで変わった?でも、それなら前回レベル50になったときにこうなるはず・・・」


理解不能なステータスを見た私は、このよくわからないスキルについて、この世界での記憶を手繰り、理解しようとする。すると、記憶が間違っているのではないか、と考える点が存在した。


「・・・おかしくない?こうなると名前が変わるという記憶なのに、変わってない?どういうこと?間違っているのはどっち?それとも、私が異質?って、このスキルがプラスに働くことはあってもマイナスに働くことなんてないようだし、他のことと記憶をすり合わせよう・・・」


確か、あの化け物を呼び出したのは、ディルと名乗る赤目の狂信者だった。あの化け物はクトゥルフ神話の存在である、というのが3回ほど前の回で分かった。今まで毎回記憶を探って調べていたけれど、何もわからなかったディルについて、今回の記憶で何かわかることは・・・


「あれ?前の日曜の緊急ニュースで討伐されたダンジョン犯罪者、見た目も名前も一致してるのだけれど・・・え?解決してるってこと?・・・もしかしてこの世界線に来た時点で勝利なの?召喚させないことが正解だものね・・・今までどうやっても止めることができなかったけれど・・・実感がわかないわね。明後日まで生き残れたら、喜びましょう・・・」


で、あれば、私がすべきことはただ1つ。記憶と異なる、クランデストロイヤーについて調べてみることだけだ。


「えーっと、クランマスターは駆逐っていう人で、設立は・・・え?ランスコープより前なのね・・・最近の活躍は・・・ディルが幹部として所属していたダンジョン解放連盟とやらを壊滅?あの化け物級を複数討伐したってことかな・・・なら、もし別な要因で復活しても大丈夫なのかな・・・?」


どうしても不安がぬぐい切れない私は今日、クランデストロイヤーのクランハウスに訪れてみようと思う。覚醒者はとても多いというわけではないようだし、無下にはされないでしょう。もし駄目だったら・・・駄目だった時考えればよし!


「さて・・・他の回ではいてもたってもいられなくて眠気なんて感じなかったけれど、ここまで違うと、どうにかなりそうで・・・緊張感がなくなって眠い・・・わ・・・」


橙木が眠りにつく。


すると、窓がひとりでに空き、黒い忍び装束の人間が入ってくる。


「この少女が今回の目的か。睡眠ガスを注入してもなお、しぶとかったな・・・だが、眠ったのであれば、問題はあるまい。いつも通り、運ぶか」


そして忍び装束の人間は橙木アゲハを担ぎ上げ、闇夜に消えていった。


その数分後、橙木アゲハを担いだ忍び装束の人間は、絶賛逃亡中であった。


「ふざっけるなよ!?なんだこの気味の悪い奴らは!僕・・・いや、今回のターゲットを狙っているのか!?くそっ、誘拐ではなく殺害であればクリアできた仕事を、このような形で失敗になるなど、認めん!必ず連れ去って見せる!」


そう。アゲハはこの(前から魔力のある)世界線に何度か来たことがあった。しかし、本人すら気付かぬ5月6日の午前0時に、今回この忍び装束の人間が追われている気味の悪い存在、妖怪に呪い殺されてしまっているがゆえに記憶していないだけである。その数、ちょうど500。毎回累計されていたが、今回ついに覚醒者となったため格の違いにより呪いが効かず生き残っていたのである。ただ、このまま眠っていた場合死んでいたため、この忍び装束の人間に感謝すべきなのかもしれない。


死に物狂いで屋根を走りながら逃げていると、ふと、月明かりが遮られる。忍び装束の人間は、妖怪が上にいるのではないかと見上げたが、何もいない。


「どういうことだ?」


「こういうことさ、忍者君。」


そう後ろから声をかけられるとともに、肩にあった重さがなくなる。


振り向くとそこには、黒い翼をもった男性が橙木アゲハをお姫様抱っこしていた。


「何者だ!そして、そいつは僕の獲物だ。返せ!」


「はぁ・・・まったく。妖怪たちが騒がしいと巫女姫に言われて様子を見に来たが、このようなことになっているとは。これじゃあ毎回なんだかんだ巻き込まれるヴィドさんを揶揄えないな。・・・待てよ?この娘をいまからヴィドさんの寝室に放り込めば揶揄えるか?」


「無視をするな!」


「ん?あぁ、女の子を攫う犯罪者と話す言葉はない。が、何者かだけは言ってやろう。駆逐だ。捕まえろ、神器・縛る物(グレイプニール)


そう駆逐が言うとともに光り輝く鎖が忍び装束の人間を縛る。


「なっ!?クランデストロイヤーのクランマスターがなぜこのようなところに・・・」


「うちがある付近でこんなことして、ばれないと思ってる方がおかしいでしょ。あ、しゃべらないんだった。さ、君は連行だよ。」


「くっ!もはやここまふぇ!?」


忍び装束の人間が奥歯を噛もうとした瞬間、鎖が口を縛り、それを妨げる。


「お、優秀優秀。さて、このようなことをしたのだし、連行前に荷物検査を・・・その前に鑑定が先か。えーっと、名前は剣崎 美琴・・・性別、女・・・これ、私じゃなくってヴィドさんたたき起こすべきな案件だったか。」


そういうと駆逐は美琴を鎖でつなぎ、アゲハをお姫様抱っこしたまま飛び、クランハウスに帰っていった。

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