第1話
クランデストロイヤーの精鋭と四変王がダンジョン解放連盟と戦闘をしている同時刻、鮮色中学の学長室に訪問者が現れた。
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
「ようこそいらっしゃい。私が学長だ。」
「こ、こんにちは」
「ごきげんようですわ!」
「こんにちは」
「私が学長だ、なんて挨拶初めて聞きましたよ。それに彼女らはここの生徒なのだからそんなこと言われなくても知っているでしょうに。」
「元黒くん、辛辣過ぎない?ちょっとおちゃめなだけじゃないか。」
「一応学長なんて肩書を持っているんですから、もう少し威厳を持つということはできないのですか?」
「できなくはなくもないかもしれない」
「できていませんね」
「ま、何か話があってきたのだろう?」
「あ、そうです!光闇流の技を見せてほしくて!」
「ふむ、いいだろう。では、グラウンドに・・・」
「待ってください、そういえば、学長の名を聞いたことがない気がするんですが・・・光闇学長でいいのですか?」
「お、緑川君、いいところに気付いたね。軽い認識阻害をかけて学園の誰も気づけないようにしていたのだがね」
「なぜそのようなことを?」
「ふむ、それは私のステータスを見れば一瞬で理解できるのでね、見せようじゃないか。」
「よろしいんですの!?」
「お、おう。思ってたより食いつくね、紫崎君」
「当然ですわ!覚醒者のステータスなんて、そうそう見れるものではないですもの!」
「んじゃ、ステータス。」
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Name)Inabanosirousagi・Yamiyonokarasu・Kiyoubinnbou
Sex)♂
number)438437920743
Lv)500
Rank)14
Party)Dreams
Pro)S級50層
HP)640
MP)640
SP)640
Atk)D-
Vit)D-
Tec)A+
M・Atk)S+
M・Vit)S-
M・Tec)S+
Agi)A+
Stm)B+
ECL)40
Luck)13
Skill)因幡の白兎{☆5光魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
☆2偽装Lv5(Tec,Stm)
☆2跳躍Lv4(Tec,Agi)
兎耳展開Lv3(Tec,Agi)
話術Lv4(Tec,Agi)}
闇夜の烏{☆4闇魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
☆3気配遮断Lv7(Tec,Stm)
☆1空間把握(←空間察知から進化)(Vit,Agi)
翼展開Lv7(Tec,Agi)
飛行Lv7(Tec,Agi)}
器用貧乏{☆1剣術Lv7(Atk,Tec)
弓術Lv3(Atk,Tec)
鎖術Lv3(Atk,Tec)
槍術Lv3(Atk,Vit)
幻術Lv10(Agi,Tec)
☆5無属性魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
☆4魔力操作Lv10(M・Atk,M・Tec)
☆1魔力視Lv6(M・Atk,M・Tec)
火魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
水魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
風魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
土魔法Lv10(M・Atk,M・Tec)
虚無魔法Lv5(無・光・闇)
極光魔法Lv5(光・水・土・火)
深淵魔法Lv5(闇・火・風・土)
【ランキング】
【マップ】
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「これは・・・どういうことですの?三つのミソロジースキル?その名になっているのですの?」
「それに、このタップしても強化ステータスではなく属性しか出てこない魔法もよくわかりません・・・」
「申し訳ないが、ダンジョン解放連盟との戦いに赴かない理由がわからない」
「ふむ、このようになっていたのですね。それにしても、レベルと格があっていない気が・・・」
「さて、1つずつ疑問に答えていくとしようか。」
学長が4人の顔を見、話し始める。
「まず、紫崎君の疑問に答えよう。そもそも君たちはミソロジースキルについてどこまで知っているかな?」
「えぇと、レベルが500を超えると手に入るスキル、ですわよね?」
「確か、それに加えてスキルの条件もあるんじゃ?」
「そう、その通り。ミソロジースキルは、レベル500を超えたときに、特定のスキル群を所持していれば手に入るスキルで、1つあたり5個のスキルを内包しているにもかかわらずECLは倍の10扱いになる、その上内包スキルのレベルは下がらない便利なスキルさ」
そう学長は言うが、その顔はすこし影が差している。
「では、レベル500を超えてミソロジースキルを得た直後にダンジョン内で死亡し、レベルが下がった場合はどうなるかわかるかい?」
「それは・・・そんなこと、考えたことすらありませんでしたわ」
「俺も、レベル500が遠いからミソロジースキルのことなんか考えたことなかった」
「えと、失われる、とかですか?」
「お、惜しいね。正解は文字化けして内包スキルすら使えなくなるのさ」
「え!?そうなんですの?では、レベル500を超えてミソロジースキルを手に入れた後レベル500を下回ってしまったら、復帰など不可能ではありませんの?」
「そう思うだろう?ま、そのことについても話そうか。まず私がレベル500に至ったのは日本で13番目で、世界では20番目だった。これはランキング機能を用いて判断したんだけどね。」
学長はそう言った後、どこか遠い目をしながら話を続ける。
「当時、私を除く日本の覚醒者の内の6人は国家に与する者で、残りの6人は民間所属だった。で、私が民間7人目なわけだ。その6人っていうのが面倒でね。一人ダンジョン巡りをする黄泉さんと、四変王の6人だったのさ。いまでこそ四変王の何人かは警察所属になっているが、その当時はその5人でパーティーを組んでいた民間最強だったんだよ。」
深くため息をつき、再開する。
「で、ミソロジースキルについてよくわかっていないから検証しよう、という話になっていたときに私がレベル500を超えたわけだ。で、検証に最適な生意気なクソガキがちょうどいいタイミングで出現したから、『君の協力が必要なんだ。君だけが頼りなんだ』などと聞こえのいいことを言って協力要請もとい拉致したわけだね。煽てられた私はその5人の協力の元レベル509まで上げて、苦しまずに死ねる毒を飲んで、死んで復活したわけだ。で、文字化けが判明して震えあがったよ。もう私には戦闘ができないのか、とね。だが、5人のS級第1フロアボス周回パワーレベリング効果もあり、あっという間に再び500に到達し、1つ目のミソロジースキルが復活し、2つ目のミソロジースキルを得た。これがわかりテンションが不思議なほど上がった私は調子に乗り、『もう1回やったらどうなるのか試してみないか?』と持ち掛け、もう一度同じことを行い、3つ目のミソロジースキルを得た。」
再び遠い目をし、深く、深くため息をついた。そして話を再開する。
「問題は、3つ目のミソロジースキルを得た直後に起こった。頭が割れるように痛み、吐き気を催したのだ。結局、その後、転移魔方陣でダンジョン外に出ればすぐ収まったのだが、ダンジョンに1歩でも足を踏み入れると再び頭痛と吐き気が襲ってくるんだ。」
「・・・それで、どうしましたの?」
「結局ダンジョンに入ることはそれ以降していない。そして、私たちは、あの時の管理者の発言から察するに、ミソロジースキルは精神生命体に至るのに必要なスキルで、そのスキルはレベル1000になるとミソロジースキル2つ分になり、それは精神生命体の根幹を成すのだろう。そして、3つ以上体に入るようにできていないからバグが発生したのだろう、と結論付けた。つまり、ミソロジースキルを2つ得た状態でレベル1000になったら、私よりひどいことになりうる、ということだね。そのことは国や民間の覚醒者になったばかりの者に伝えられ、再発防止がなされているわけだ。まぁ、他国で非人道的な実験が行われていない可能性はあるかもしれないがね」
「なるほど、それでミソロジースキルが3つあり、ステータスの名前がこのようなことになっているのですわね」
「そうさ。だから私は学長と名乗るようにしている。そして、光闇というのは、名を失った私が、1つ目と2つ目のミソロジースキルの最初のスキル、光魔法と闇魔法からとったあだ名みたいなものさ。」
「そういうことでしたのね」
学長は軽く首を振り、軽いほほえみを浮かべ、紫崎の方を向いていた体を藍田に向ける。
「さて、次は藍田君のこの魔法についての疑問だね」
「は、はい、お願いします。」
学長はまじめな顔をし、説明を始める。
「まず、魔法にはいくつか種類があるんだが、知っているかい?」
「えっと、火・水・風・土の4つと光・闇・無ですか?」
「それ以外にも樹とか氷とか雷とかなかったか?」
「ほかにも、霧・毒・鉄がありますわね」
「そうだね。それらの13種はすべて基礎属性と呼ばれるものだ。」
「えっと、基礎ということは、他にもあるんですか?」
「うん。あるんだ。発展属性って呼ばれるものがね。今判明してるのは、虚無・混沌・極光・深淵・業火・聖水・暴風・大地・濃霧・猛毒・轟雷・溶鉄・大樹・永氷・死・生・邪・聖の18属性さ。いくつかは聞いたことがあるんじゃないかな?」
「あ、そういえば、虚無と混沌は学校で誰かが話していたような・・・」
「その2つは割と有名だからね。で、これらは複数の基礎属性をレベル10にすると生えてくるんだ。その後死んで基礎属性のレベルが下がったとしてもレベル2以降であればなくなることはない。これを魔法の進化と言ったりするね。どれがどの属性で構成されているかを口頭で説明するのは大変だから、元黒のスマホにメールで送ったよ。あとで見るといい。」
「わかりました」「わかりましたわ」「はーい」
「そして、この発展属性の魔法はスキルオーブもスキルルーレットもなしに手に入る魔法だから、ステータス値強化はされないのさ」
「そういうことだったんですね!」
その後、各自軽く水分補給を済ませた後、学長は緑川に体を向ける。
「さて、次は緑川君の、なぜ私がダンジョン解放連盟との戦いに挑まなかったか、その理由だが、この区の防衛のため、だよ。」
「というと、どういうことでしょうか?」
「覚醒者が全員出払ったら、デストロイヤーに恨みを持つ雑多な悪党共が押し寄せてきちゃうからね。その対策として、1人は覚醒者が残らなきゃ、ってなったときに、最善が私だった、ただそれだけのことさ。」
「なるほど、そういうことでしたか。ですが、覚醒者ではない相手であればどうとでもなる人材がいるのでは?元黒さんのような覚醒者一歩手前の人もいるわけですし・・・」
「うん?どうやら、よくわからないみたいだけど、今私が把握しているこの区の強者、レベル400以上は、私と元黒だけだよ?デストロイヤーとこの区所属警官、及びこの区にあるほかのクランのレベル400以上は万が一に備えてダンジョン解放連盟の本拠地がある区に潜伏してるからね。」
「えっ、そうだったのですか?」
「うん、まぁ、私がいれば覚醒者が来ない限りは万の大群であろうともどうにでもなるからねぇ」
「な、なるほど」
学長は自慢げに笑いながら、元黒の方を向く。
「さて、レベルとランクがあっていない、ということについてだがね。」
「はい。私のレベルが436でランクが10です。レベル84の間に4つも格の差があるのがどうしても腑に落ちなく・・・」
「ま、そうだろうね。まずランクだけど、個人差があるとはいえ、大体、1~30が1、31~80が2、81~130が3、131~180が4、181~230が5、231~280が6、281~330が7、331~380が8、381~430が9、431~480が10だから、レベル436でランク10なことに何ら異常はない。この法則で行くと、481~530が11だと思うかもしれんが、それは間違っている、というだけの話さ。」
「というと?」
「レベル500まではその通りなんだが、ミソロジースキルを手に入れると+1されるのさ。だから、レベル分の11にミソロジースキルの数である3を足して14、ってわけ。普通の覚醒者では、631~680の間になって初めて同じ格になるってわけ。ま、これの意味があるのは、格が13になるまでの話だけどね。大体1個の格の差はレベル差分で埋められちゃうから、覚醒者であればレベル530越えた相手では負けないけど、レベル550を超えた相手では負ける可能性があるかな?600超えたら勝てる気がしないよ」
「なるほど、そういうことですか」




