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第6話

不意に現れた四変王の5人を見て、ロキは顔を歪める。


「ちっ。あいつらは負けたか。使えんな。」


そのロキの発言を聞き、駆逐は飄々とした態度のまま、自身はまだ決着がついていないことを告げる。


「あ、俺の相手のスレイブニル君はまだ生きてるよ?戦闘中だからね?」


「さっさと仕留めてしまえばいいんだし。」


「そうですよ。情けなど無用です。」


「せやな。どうせ見逃す気もないんやろうし、早めにとどめを刺すのが温情ってやつやろ。」


「ま、まぁ、相手してるのは駆逐だし駆逐が思うようにさせてやればいいんじゃないか?」


駆逐の発言を聞き残りの四変王の4人の内3人はあきれた表情でたしなめ、1人は自分がやった行為を思い返しフォローするような発言をする。


「しんさんみたいに拷問してるんじゃなくって、降伏勧告だよ?スレイブニル君とパズズ君はあの時のメンバーじゃないからね。」


しかしそのフォローをしたしんを後ろから刺すような駆逐の発言により3人の矛先はしんに向く。


「あぁ、そう言えばそうだったし」


「それなら仕方ありませんね」


「・・・なぁしん、拷問ってどういう」


「さて!ロキ君!黄泉ちゃんをこんな目に合わせて!許さないぞ!」


「誤魔化すなし」「誤魔化さないでください」「誤魔化してるんじゃないわ!」


「いてぇ!頭叩いてんじゃねぇよ!」


「流石の俺もあの樽を本来の使い方するとは思ってなかったから驚いたぜ」


「ちょっ、駆逐、それは」


「・・・あれ持ちだしたのかし?」「病院の地下室にしまってあったはずですが・・・」


禁忌扱いされ封印されていた樽を持ちだしたという駆逐の言葉に、病院勤務の2人が青筋を浮かべる。


「まぁ、これが終わったらお仕置きしてあげるし。」「馬鹿に付ける薬はないですが、太めの注射を打てば少しはマシに・・・」


「勘弁してくれって・・・」


和気藹々とした3人の会話であるが、馬鹿にされたと感じたロキの攻撃を駆逐とりゅーが対応しているのである。


「ふざけるな貴様等!どこまで私をコケにするつもりだ!」


そう言いながらロキが剣を振るう。


「コケにする?そんなつもりはないんだけど、ね!」


「いたって真面目に戦ってるで!暴風魔法Lv7 サイクロンジャベリン」


ロキの剣を駆逐が神器で弾き、それにより体のバランスが崩れたロキに対してりゅーが暴風の槍を飛ばす。


「くっ!なかなかやるではないか!ははは!見せてやろう!あいつすら知らぬ、私の血に宿りし先祖の力を!」


そういうとロキの体から炎が溢れる。


「ぬお!?」「あっぶな!」「わわ!なんだし!?」「危ないですね」「ん?この妖力は、天狗系・・・なるほど、ロキ、お前、飯綱天狗の先祖返りか」


しんの言葉を聞き、ロキは怪訝そうな表情をしながらも、余裕を持った表情で答える。


「ふむ?私の力の根源を見破るとは、それなりにやるようだな。だが、偉大なる天狗の」


しかし、それを遮るように駆逐、根っこ、ちくわ、りゅーの4人がしんを囲み、宣言する。


「妖怪の血が含まれていることを誇る者よ!聞くがいい!」


「このしんという男こそ。」


「片親が妖怪である半妖の一人だし!」


「そしてその片親とは!」


「日本人外連合こと大妖怪連合の連合長、ぬらりひょんや!」


それを聞いたロキは絶句するが、当の本人であるしんはへらへら笑っているだけである。


「よせやい、照れるぜ。」


これを好機と見たか、4人は囃し立てる。


「だから早くあの子と縁を結ぶが吉」


「なにも知らないのにあそこまでしんにぞっこんな娘はそうそういないし?」


「あの娘、頑張ってるぞ~?」


「まあ、それよりも外部の干渉を妨げるこーあんが大変そうやけど」


「うっ、それは・・・今は関係ないやん?」


そのコントのようなやり取りを見て、ロキは怒り出す。


「ふざけるな!そのような腑抜けた男が大妖怪の子など!私は認めん!」


「あぁそっか。君の理論ではしんの方が格上ってことになっちゃうもんね」


「なっ!?黄泉!貴様、どうやって・・・」


「私と根っこが治したし?」「別に無駄話しているわけではありませんよ」


「さて、もう貴方の攻撃の仕組みはわかった。観念しなさい。」


「くっ!」


完全復活した黄泉と四変王の5人を相手取るのは不可能と判断したのか、ロキは距離をとるが、黄泉が大鎌で切りかかり、ロキは攻撃をしのぐだけで精いっぱいになってしまう。


「ふざけるなぁ!」


そう言い、ロキが炎を先ほどより多く噴き出し、空に逃れた者たちすらも焼き尽くそうとする。




しかし、空間の裂け目ができるとともに青い炎が湧き出、ロキの炎を飲み込み、消える。


「まったく、我の前でこのような幼稚な妖炎なんぞ、舐めておるのかの?」


そう狐耳と尻尾の生えた金髪の幼女がつぶやくが、それを青年と少女が否定する。


「いや、俺は結構びっくりしたんだが・・・」


「そうですよ!金狐さんが非常識なだけですって!」


「む?そうかの?で、あれば我をほめたたえるのじゃ!」


「あぁ、すごいすごい。じゃ、アレ捕まえて?」


「むふっ!わかったのじゃ!」


青年、神名に褒められて機嫌がよくなった金狐が、炎を用いてロキを捕らえようとする。


「どうなっている!大妖怪が出張ってくるだなんて!撤退だ撤退!逃げさせてもらうよ!」


そういうとロキは風を用いて目に留まらぬ速さで逃げ去っていく。


「あっ・・・」


飛び去るロキを見た金狐ががっかりした表情をするが、しんが慰める。


「まぁまぁお嬢ちゃん、天狗より早い妖怪はいないんだ、仕方ないさ。だから神名さんも責めないでやってくれよ?あとその娘もハーレム要員かい?」


「勘弁してくれよしんさん。それに、やらなかったならともかく、やってできないことを責めるわけがないだろう?」


「ならいいか。」


「ふむ、無事使って窮地を脱したみたいだね」


「逃げられた・・・」


「まぁまぁ黄泉ちゃん、何時かまた機会が巡ってくるし!諦めずに頑張るしかないし!」


「その通り。それに、部下を一掃したし手の内も割れた。収穫。」


「それも、そうですね。」


そんな会話をしていると、上空に影が差し、何かが降ってくる。


「うおぉぉぉ!誰か受け止めてぇぇ!」


「ん?この声は・・・」


「相変わらずやなぁ」


「仕方ないし。私が・・・」


「だめ。私を腐れ根っことかいったお仕置きにちょうどいい。それに自分で着地できるはず。」


「ま、大丈夫っしょ」


「まぁ、しぶといし大丈夫」


「んー、まぁ、俺より付き合いの長い人らが大丈夫っていうなら大丈夫かな?」


「ほ、本当に大丈夫なんですか?切実な悲鳴に聞こえるのですが・・・」


「む・・・あ奴はあの時の・・・ひき肉になってしまえばいい」


「うっそだろぉぉぉ!?誰もうけとめてくれないのぉぉぉ!?」


「くっそ!これあんまり使いたくないんだけどなぁ!白面金毛九尾の狐よ!力の一端を返そう!だから止めて!」


「むむ!?であれば仕方あるまい。前払いじゃぞ!」


「わかったよ!封・解」


そういうと落ちて来る学長の懐から飛び出した札から金色の光の玉が金狐に向かって飛び、当たると金狐が輝きだした。


そして輝きが収まったころには、小学生低学年から小学生高学年程度まで成長した、金色の狐耳を持つ、尻尾が二本生えている幼女がいた。


「ちっ。この程度か。まぁ、仕方あるまい。契約は契約じゃ。ほれ」


そういうと尻尾を振るい、風を引き起こし、学長の落下速度を弱める。


無事勢いが殺され、残り1mほどしかない程度まで降ろされた後、ふっと力は消え、学長は落ちる。


「ぐえっ!痛ぇ・・・」


「おいおいこーあん、なまってるんじゃないか?」


「学長生活が長すぎて腑抜けたのかし?」


「・・・さすがにそこまで鈍っているのはどうかと思う」


「こーあん、訓練に参加するか?」


「ん?お前もしかして・・・」


「そうだ、こーあん。操糸術のこと聞いてなかったから死にかけた。」


「大丈夫か?」


「あわわ・・・そのまま落ちてたら大変なことになったんじゃ・・・」


「ぬ?お主、妙なことになっておるのぉ・・・」


その反応を聞き、学長が文句を言う。


「なまってるんじゃないわ!まともに心配するのが神名さんだけってどうなっとるんじゃい!そして操糸術なんか知らんわ!しんさんはよく見ればわかるだろう!そして白面、妙とはなんだ妙とは!」


「知らんって・・・」


「あ、呪われてるのか。え?誰に?」


「白面というでない!我には神名殿がつけてくれた金狐という名があるのじゃ!」


「いくつ術があると思ってるんだ!で、誰かっていうと、傀儡通したロキ。行動不能の呪いだ。・・・そして、名付けたってことはきっちり契約できたようで何よりです」


「む、それもそう・・・仕方ない、許してあげる」


「うげ、ロキかよ。んじゃ俺が解呪して・・・んん?なんだこれ、どうなってるんだ?」


「契約?そんなのした覚えは・・・」


「む?人が妖怪に名をつけ、妖怪が受け入れればそれは契約成立じゃよ?神名殿。それにしんとやら。その男にかかっている呪いは術者が死ぬか解除するまで解けない面倒な呪いじゃよ。代償が大きいだろうに・・・」


「えっ?・・・契約して問題ない・・・のか・・・?」


「傀儡に代償だけを肩代わりさせてるんだよ。トリガーはロキだからロキが死なないと解けないが。まぁ、今粕窪さんのパーティーが行ってくれてるからね。きっと大丈夫・・・それと契約に人間側の不利益はないから安心して?」


「そ、そうか」


そんな楽し気な雰囲気であったが、粕窪がロキを逃してしまい、阿鼻叫喚となるのはこの数時間後の話である・・・

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