第2話
ただ平らな床と空気だけがある空間に、2人の女性が現れた。
「小娘ぇ!これはどういうことだ!」
「そんなことを気にする必要はない。貴女はここで死ぬのだから」
「はぁ?あんたみたいな小娘が?私を殺す、ですってぇ?ちょっと四変王だなんだともてはやされて、調子に乗ってるんじゃなぁい?」
「調子になど乗っていない。貴女が死ぬのは確定した未来。」
「はッ!随分と私も舐められたものね!私こそ、闇世界に知らぬものなしと言われた雅・マーラ様よ!」
「私は知らない。しかし、そのような存在を井の中の蛙と呼ぶことは知っている。」
「はん!井戸をのぞき込む羽虫ごときには、私に見えている空の青さのごとき大いなるお方の権能が見えていないのでしょうね!」
「・・・羽虫。それは、聞き捨てならない。」
「は!羽虫を羽虫と言って何が悪い!殺すと言って、何もしてこない口先だけの小物が!」
「・・・」
「ふぅ、効いたか?全く、私の権能、魅了にかかれば男女問わず私の虜。まぁ、それなりに持った方じゃないか?さて、ここから出る方法を教えなさい」
マーラの言葉を聞き、根っこはマーラの方へと歩みを進める。
「?私は教えろと言っただけで近づけなど」「貴女の命令を聞く必要はない。」
「な!?」
「どうせ死ぬのだから猶予をやろうと思ったが、貴女は思っていたより愚かだったようだ。」
「なんですって!?」
「わざわざこちらが相手を選んで転移させたのだから、貴女のもっとも得意な技が通用するわけがないでしょう?」
「っく!卑怯よ!そんな不公平な」「黙れ」
「数多の人々を魅了し、金を貢がせ、他者との縁を切らせ、自らの奴隷とする罪人よ。」
1歩、根っこがマーラに近づく。
「私の魅力に勝手に魅かれてきただけよ!私は悪くないわ!」
「魔法の痕跡が残っているんだ。それが通用するわけがないだろう。自らの傀儡とした人々とその人々を大切に思う人の関係性をもてあそび、破壊した咎人よ。」
また1歩、近づく。
「そ、それの何が悪いっていうのよ!」
「むしろ悪くない部分を教えてほしいくらいだ。無数の人質を取り、クランランスを特殊ダンジョンに呼び込み、あの忌まわしい事件の引き金を引いた悪女よ」
「クランランス・・・?」
「覚えてすらいないか。15か月ほど前の1月15日に、貴様らが崩壊させたクランだ!」
「ひ、ひぃ!あ、謝るわ。私だってしたくなかったのよ!ロキがやれって私を脅s」
「話にならん。貴様はその時笑っていたそうじゃないか。そんな言い訳が通用するわけないだろう」
「っく・・・」
「さて、冥途の土産に、1つだけ質問に答えてやろう」
「・・・私の魅了が効かなかったのは、なぜ?」
「あぁ、そのことか。私たちは幹部に魅了使いが存在することを知っていたがゆえに、魅了無効のアクセサリを用意しただけの話だ。では、死ぬがいい。大樹魔法Lv10 イグドラシル」
根っこが魔法を放った後には、大きな木が生えているだけであった。
「さて、決着はついた。黄泉ちゃんの手伝いでもしますか。」
ただ平らな床と空気だけがある空間に、2人の男性が現れた。
「あぁ!?ここはどこだ!出しやがれ!」
「そうするわけにはいかんのや。」
「んだと!?」
「あんたは俺が仕留めるってことだよ」
「あぁ?てめぇが?俺をか?なめすぎじゃねぇか!?えぇ!?」
「むしろ、できないと考えてる時点で、あんたが俺を舐めてるんだよ。」
「ざっけんな!」
フェンリルが勢いよく大地を蹴り、りゅーに殴り掛かるが、りゅーは「飛行」とつぶやき、空に避ける。
「くそが!卑怯だぞ、自分だけ飛びやがって!」
「ん?飛びたい?そうかい、じゃあ、暴風魔法Lv8 サイクロンストーム」
「うごぉ!?」
フェンリルの足元から暴風の嵐が出て、飛んでいるりゅーの高さを超え、軽く50メートルは吹き飛ぶ。
「おまけにこれでも食らうがいい!獄炎魔法Lv7 フレイムジャベリン!」
りゅーの手元から飛び出した炎の槍がフェンリルめがけて飛んでいく。
「うおぉぉ!氷魔法Lv4 アイスシールド!」
フェンリルは目の前に生み出した氷の盾を足蹴にしてりゅーの方へ跳び、炎の槍を回避する。
「っち、おとなしく受け取れや。」
「あぁ!?んなことするわけねぇだ、ろ!」
跳んだ勢いのまま殴りかかるが、容易くかわされ、その背中にりゅーが手を向ける。
「魔力操作:業火魔法Lv7 フレイムジャベリン+暴風魔法Lv7 サイクロンジャベリン 複製=フレイム・サイクロン・ジャベリン・レイン」
りゅーの手元に大量の轟轟と燃え盛る火炎の槍が生じ、フェンリルに向けて飛ぶ。
「ぐぁ!?」
全て当たり、フェンリルは勢いよく地面に叩きつけられる。
「がはっ、てめぇ!そもそも、てめぇらはどこのどいつなんだ!?こんなことをやられる心当たりはねぇぞ!」
「あぁ?なんだ、気付いていないのに戦っていたのか?俺らは国の指示でダンジョン関係刑務執行特殊法に基づきあんたらに刑を執行しに来た警官と警官擬きだよ。」
「んな!?俺らがなにしたってんだ!」
「ダンジョン内外における暴行・恐喝・強盗、並びにダンジョン外での殺人、そしてクランランスを壊滅させたこと、これだけで十分執行理由には事足りるだろう?」
「・・・あぁ?クランランスだぁ?ほかは覚えてるが、それは知らn」
知らない、そう言おうとしたフェンリルの顔をりゅーは蹴とばす。
「あぁ、だろうな。これに関しては、執行には関係ないんだった。単に、俺らの負うべき責任として、背負っているだけのことだったな。だが、知らないとは言わせねぇぞ。去年の1月15日、織部A級ダンジョンで人質を用い、1人を除くクランメンバー全員を呼び込み、あんたらが暴行し、呪いをかけて行動不能にした、あいつらのことを、知らないとは言わせない。」
「あぁ・・・?あぁ、はは!あの、何の関係のない者すら見捨てれない愚かな奴らのことか!ははははは!」
「笑うな!そして、それは愚かではなく、優しいというんだ!・・・刑務を執行する!死魔法Lv10、デス!」
「がはっ!?なんだ、これ、血が」
「即死魔法だ。苦しまずに逝けるだけマシだと思うがいい」
「くそ、が!」
フェンリルは血を勢いよく吐き、倒れた。
「さて、さっさと処理して黄泉ちゃんの手伝いしなくちゃやな。ま、もう終わってるかもしれんけど」
ただ平らな床と空気だけがある空間に、2人の男性が現れた。
「っふ!貴様は不運だな」
「はぁ?何言ってるんだ?」
「なぜなら!最強の剣士たる我、ランスロット様を足止めするための贄として見捨てられたからさ!」
「はぁ・・・なんの根拠があってそんなことを言っているんだ?」
「根拠も何も、我にかなう存在はいないのだから、我の相手はそうなる定めなのさ!」
「だめだ、話が通じない、その上にナルシストか。どうしようもないな」
「その通り!あきらめてその首を我に捧げれば苦しまs」
あまりにもアホらしいと感じ、あきれたしんがランスロットの話を遮り、飛び膝蹴りを顔面に食らわせる。
「グハッ!?貴様、我n」
次は拳が腹にめり込む。
「煩いぞ。顔面殴ったら騒がしくなるかと思って蹴りにしておいてやったが、それでも騒ぐのか」
「貴様ぁ!暴風魔法Lv5 サイクロンソード!」
ランスロットが暴風の剣を生み出し、切りかかる。しんは真っ二つになり、跡形もなく消え去る。
「っふ!我に逆らうからこうなr」
しんがランスロットの背後から現れ、どこからともなく取り出したバールのようなものでぶん殴る。
「ぐべふぁ!?どうなっている!確実に、切ったはず!」
「その感覚は、真実か?」
その言葉とともに、ランスロットの中から切ったときの感覚が消えうせ、視界が狭まる。
「は?」
「その記憶は本当に正確か?」
その言葉とともに「切った」という記憶が消えうせ、周りの色があやふやになる。
「な、何を言って・・・」
「そもそも、おまえは誰で、ここはどこだ?」
その言葉とともにランスロットから自らの名と、この場が何なのかの情報が消え去り、視界が暗闇に包まれる。
「我、は・・・だれだ?ここは・・・わからない。なんだ、これは。我に何をした!」
「それは本当に私の仕業か?」
その言葉とともに、唯一続いていた、目の前のしんが的であるという思考すら途絶える。
「これ、は、だれの、仕業で、なに、が、起こって・・・」
「ふぅ・・・スキル外能力・呪術・禁呪 忘却、幻術スキルの複合技、光闇流破壊術 禁 自我崩壊。案外あいつが悪ふざけで作った技も役立つじゃないか。ま、数分で元に戻るが、その間に・・・」
しんはそうつぶやき、空間魔法で収納していた大きな樽を出し、その中にランスロットを入れ、顔だけを出し、有名なおもちゃのような姿にする。その後、目隠しをする。
「さて・・・起こすか。」
唯一露出しているランスロットの頭部に水をかける。
「ぶはっ!?な、なんだこれは!ふん!な、外れないだと!?」
「あぁ、そうさ。それは俺らが悪ふざけで俺ら自身でも壊せないようにS級ダンジョンのドロップ品や魔法を使って作ったお仕置き樽だからな。俺らの間では暴走したやつを閉じ込めて落ち着くまで放置するのだが・・・製作理由がリアル黒ひげ樽という悪ふざけ故、剣が差し込めるようになっているんだ。・・・何が言いたいか、わかるか?」
「は、ははは・・・冗談もほどほどに・・・」
「冗談なんかじゃないさ。1本目、ダンジョン内における恐喝」
しんが下の方の穴に剣を差し込む
「痛い、やめろ!」
「2本目、ダンジョン内における暴行」
その声が聞こえないかのように少し上の方の穴に剣を差し込む。
「うぐ!やめろ!やめてくれ!」
「3本目、ダンジョン外における強盗殺人」
悲鳴を意に介さず、腹部あたりの穴に剣を差し込む。
「ぐはっ!や、やめ・・・」
「4本目、クランランスに対する暴行」
そう言い、心臓の部分の穴に剣を差し込む。
「ぐほぁ!」
ランスロットは吐血し、息絶えた。
「・・・さて、さっさと処分して黄泉ちゃんの手伝いしないとな。あ、樽汚したこと怒られるかな?持ち出し自体禁止されてるから・・・まぁ、おとなしく怒られるか。」




