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第6話

5層に入った4人は、集落と何度か戦闘をはさみながら歩を進める。


「職業持ちって言っても、あんまり強くないな。」


「まぁ、たかがゴブリンですからね。」


「そのゴブリンでさえ、ステータスを得る前の人にとっては脅威だというのだから、溢れないようにするということの必要性がよくわかるな。」


「そうですね。万が一あふれても被害が出ないダンジョンは存在しないでしょう。F級、つまりここからあふれる可能性があるのですから」


「にしても、1匹でも狩れば時間は減るんだし、みんな1層で狩り続ければいいんじゃないの?」


「最下層のBOSSを討伐しなければ次の級に入れない、という条件のせいでS級の1層に入るためにはA級を踏破しなければならないのですよ。」


「あぁ、そうか。それもそうだよね」


「まぁ、そんなことよりも得られる利益が大きいから人は潜るんですわよ。あふれるから~なんていう危険性よりも利益があれば人は群がるのですわ。管理者とやらは人間の強欲性をよくわかっていますわね。」


「そうですね。日本で起こったことはありませんが、他国ではダンジョンをマフィアなどが不法占拠して力を得て無法地帯と化した、なんて事例も起こっています」


「ひゃぁ~・・・怖いねぇ・・・」


「あなたが狙われているダンジョン解放連盟はそれを目的に動いている、と言われていますし、他人事ではありませんわよ?」


「ひぇっ」


「まぁ、目的に動いてる、というだけで、現在占拠できない理由は、この国には民間の覚醒者がいて、国の覚醒者が動く前に飛んできて消されるから、という理由ですね。」


「あぁ、なるほど。国軍だと手続きなどが必要だが、民間であればふらっと訪れたダンジョンに入ろうとしたら不当に占拠されていたので入るためにのした、なんて言い訳が通用するからな。うかつに占拠などできんか」


「じゃあ、ダンジョン解放連盟の人たちはどこであんな力を身につけているのでしょう・・・」


「2つほどあるといわれていますね。1つ目は、力を得てからその考えに賛同したもの。そして2つ目は、姿をごまかしてダンジョンに入っているものです。」


「あぁそうか、別にあそこに所属している人がみんな所属してからダンジョンに入ったわけじゃないもんね・・・」


「そもそも覆面で中が誰なのか把握されてない人もいる、とのことですから、油断は禁物ですね。」

「まぁ、ここに関しては気にする必要がありませんが」


「え?どうして?」


「ここには、常に覚醒者が複数いるのですよ。デストロイヤーには必ず何人か入れ替わりでいますし、鮮色病院の院長も看護婦長も覚醒者ですし、鮮色中学の学長も覚醒者だったはずです。それに、警察にも2名ほどいますからね」


「多くない?そんなに多いものなの?」


「この区にはこの国に20個しかないS級ダンジョンがあるから多いだけで、普通はこんなにいないぞ」


「いえ、どこのS級ダンジョンがあるところより多いですわよ。自称引退した覚醒者が3名住んでいる上に日本最大クランが存在していて、万が一を考えて国から覚醒者警官が派遣される、ということが去年起こったのですから」


「万が一を考えて派遣された覚醒者警官2人とデストロイヤーのクランマスターと院長と看護婦長が飲み友達な時点であまり意味はありませんがね」


「あ、そうなんだ・・・」


「ん?俺が父から聞いた話では、覚醒者警官を持て余してどうにかできるやつがいるこの区に厄介払いされたという話だったが・・・」


「私としてはそちらの方が納得できますね。私や中学の学長が宴会の後始末に苦労させられましたから。わざわざ区の外からも覚醒者を呼んでの大宴会でしたからね・・・」


「あぁ、3か月ほど前に『数日休みをいただきたく・・・』と言ってきたのはそれだったのね」


「えぇ。覚醒者の酔っ払いという厄介極まりない存在をあしらう数日は地獄でしたよ」


「放っておけばよかったんじゃないの?」


「うっかりで建物を消し飛ばす可能性がある方々ですから・・・」


「あぁ・・・」


「さて、BOSS部屋ですわよ!」


会話をしながらも戦闘をし、進み続けていた4人はBOSS部屋にたどり着いた。


「ここのBOSSは基本、E級のホフゴブリンが3匹いるだけですわ!イレギュラーだとD級のオークだったかしら?」


「そうですね、オークであれば私が見ていますので1人1匹狩りましょうか」


「はーい」「わかった」「わかりましたわ」


4人はBOSS部屋に入る。


「ぶもぉ!」


「オークですか。仕方ありませんね。魔力操作:闇魔法Lv5 ダークソード 複製圧縮=ダーク・チェインソード、剣術Lv3、鎖術Lv3すなわち光闇流剣鎖術Lv3、ジャッジメント・チェイン・カットver闇のみ」


元黒の放ったよくわからない技がオークを木っ端みじんに消し飛ばす。


「わ、すご・・・」


「これは、どういう技なんだ・・・?」


「さて、転移陣で1度戻り、5層に転移しまたBOSSに挑戦しましょうか」


「その前に、今の技を教えてくれませんか!?」


「俺もよくわからなかったので解説が欲しい」


「そうですわね。」


「あぁ、これはですね、例の宴会の時に一発芸を求められた鮮色中学の学長が自棄になって使った現役時代に生み出した中二病剣技を教わったのですよ。本人曰く、見栄えだけは良い無駄の多い技、とのことでしたが、純粋にかっこいいので使わせていただいています。本来は光と闇交互になっていてさらにかっこいいんですよ。」


「はぇぇ・・・」


「いや、習得法ではなくどういう原理でああなったのかが知りたいのだが・・・」


「あぁ、原理ですか。魔法のLv5、属性剣生成を複製圧縮して剣のような形にして、剣術Lv3の効果で勢いよく一番先の部分を振るうと一気に飛び、同時に鎖術Lv3の効果で勢いよく巻き取られるので、結果目の前にある者に絡みつき圧迫しはじけ飛ぶ、という現象が起こるのですよ。スキルを最低4つ、本来のやり方なら5つ使う技です。最大であれば、下位属性の数+3、ですから16個ですね」


「なるほど、難易度は高いな・・・」


「えぇ、難易度が高い上に消費魔力も多いのに普通にLv6~8の魔法を放てば済む相手までしか勝てないから無駄が多い、とのことでしたよ。まぁ、オーククラスであれば格が上がればボール系魔法でも勝てますからね・・・」


「でも、とってもかっこよかったですよ!」


「ですよね?なんで使わないのかわかりませんよ」


「そうだな。無駄の多いとか言わずにもっと使えばいいのにな。学園長というと、去年から来た学園長のはず・・・来た時に余興としてやってくれればよかったものを・・・光と闇が混ざった本来のものが見てみたいな」


「うーん。確かにきれいだけれど、そこまで盛り上がるような技かしら?」


「・・・まぁ、とりあえず次こそはお嬢様方がホフゴブリンと戦うために戻りましょう」


「はーい」


転移し、1度目と同じ道を通ったためホーンラビット以外との戦闘をせずに来ることができた4人は再びBOSS部屋にたどり着いた。


「さて、次こそはホフゴブリンのはずですわ!」


紫崎が扉を開ける。


「ぶもぉ!」


「またですの!?あまりないはずではなかったのかしら!?」


「ふむ・・・どうします?戦ってみますか?」


「さすがに早いと思いますわ。まだE級とすら戦ってないのですし・・・」


「そうだな、俺も早いと思う。」


「私もさすがに早いと思います。」


「では・・・」


元黒が折り畳み式の弓を取り出し、構え、矢を持たずに弦を引く。


「魔力操作:闇魔法Lv3 ダークアロー 増幅増幅圧縮=ダーク・マルチアロー、弓術Lv3、すなわち光闇流弓術アローレイン・劣」


元黒の手元に漆黒の矢ができ、放つと、空中で複数の矢となりオークを消し飛ばす。


「これも宴会芸の一環としてやっているのを教わったもので、本来は光と闇両方が降り注ぐのでかっこいいのですよ。普通にアロー系魔法を複数放つのよりは少し強化されていますが、ストーム系魔法で事足りる場合が多い上に魔力消費が大きいので無駄技と言っていましたがね」


「それ、シリーズものだったのね・・・」


「かっこいいです!」


「これも、本来のものが見てみたいな・・・」


「さて、もう一度行きましょうか。さすがに3連続はないはずです」


「でも、他の技も見てみたいのでオークでもいいですよ」


「俺も同意だ。」


「いい加減戦いたいですわ・・・いっそ次はオークでも挑んでみようかしら・・・」


再び速攻でBOSS部屋前にたどり着いた4人。



「次こそはホフゴブリンであってほしいですわ!」


そう言いながら紫崎が扉を開ける。


「「「ぎゃぎゃぎゃ」」」


「やりましたわ!私が真ん中行きますわね!」


「じゃ、僕が右いくね」


「俺が左だな」


「・・・まぁ、私が教わった技はあと2,3個しかありませんし、かっこいい技がネタ切れになるのは面白くありませんからいいんですけどね・・・あの人はもっといっぱい技使ってましたが、何個のスキルを持っているのでしょう・・・」


Side:紫崎


ようやくホフゴブリンですわ!魔法・・・一番レベルの高い水にしますわ!


「水魔法Lv7 ウォータージャベリン!」


ホフゴブリンは水の槍に貫けれて絶命した。


あら?思っていたより脆かったですわ・・・



Side:藍田


技見れなかったの残念だなぁ・・・マネしてみようかな?光と闇両方使えるし・・・


「魔力操作:光魔法Lv5 ライトソード+闇魔法Lv5 ダークソード=ライト・ダーク・ソード、剣術Lv4、スラッシュ・・・あれ?さらっと言ってた複製圧縮ってどうやるの?増幅ならともかく、大きさそのままで増やすのなんか、わからないや・・・このまま切っちゃえばいいか!えいや!」


あきらめた藍田による2色の斬撃がホフゴブリンを真っ二つにした。


あれ?思ってたより弱い?


Side:緑川


さて、かっこいい技をいくつも見たし、ここは大技を使ってみるか・・・


「草薙流剣術 八 八重桜」


振り下ろし、右上からの袈裟懸け、左から右に平行に切る、右下から左上への切り上げが瞬時に行われ、米の字にゴブリンが切れる。


・・・弱いな。


Side:元黒


ふむ、何ら問題なくE級モンスターに1対1で勝てましたし、E級ダンジョンに挑んでも問題はなさそうですね。ここで辛勝であれば、次に挑むのは早いということですし。まぁ、スキル的にここで躓くということは考えていませんでしたが、本人の性格的な問題がある可能性もありますしね。100までは上がりやすいですし、そろそろ60レベルを超えるあたりでしょうか。皆さん女性ですし、自衛ができる程度に強くなって置いて損はありませんからね。


各自が討伐し終え、時間も18時を超えたので、解散することになった。ちなみに兎肉は合計で18個ほど得ることができ、ほとんど戦っていないからと辞退した元黒を除く3人で分割し、緑川は妹に肉を食わせることができると喜んでいた。また、レアドロップの兎の尻尾は1つ手に入れることができ、すでにそれを超えるアクセサリ―を持っているため辞退した元黒以外の3人で話し合い、藍田が持つことになった。

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