第2話
数時間後
わいわいがやがやとしゃべりながら大男とその部下たちが部屋に入ってきて、大男が円卓にある4つの椅子の一つに座り、その後ろに部下たちが広がる。
その後、美佐が部下を引き連れ静かに入ってきて、円卓に座り、部下たちが綺麗に並ぶ。
太った男性が部下たちを引き連れて部屋に入ってきて、桐山の後ろに整列する。
時間が経ってもそろわない幹部たちにしびれを切らしたのか大男が桐山に尋ねる。
「おい、桐山、あいつはまだか?」
桐山はいつもどおりひょうひょうとした態度で
「あいつの命令違反なんぞ、いつものことだろう。気にするだけ無駄だ」
「そうよ、琳派。あんなの気にする必要はないわ」
そんな会話をしていると、円卓の中心に闇があふれ、男が現れる。琳派が目を爛々とさせながら話しかけた。
「おぉ!ヨルムンガンド様!あなた様がおいでくださったのですね!」
「おぉ、琳派か。久しいな。して、ヒュミルよ、我の呼びかけに答えぬとは、どういう了見だ?返答次第では・・・」
パチン、と指を鳴らす音とともに桐山が消え去り、円卓は二つに割れる。いや、本来のあるべき姿に戻ったのである。
「もういいわ。本部の場所も判明したし、こんなまどろっこしい幻影なんて不要よ。にしても、桐山が気付けたのに、その上の大幹部、遼河・ヨルムンガンド、あなたが気付けないとはね。耄碌したのかしら?」
「「「なっ!?」」」
「貴様、原初の覚醒者!いつの間にここに!そして、桐山をどこへやった!」
「えぇ、ニーズホッグよ。そして、いつ、と問われれば、そこの美咲・フェニヤが大天使から逃げるために転移宝珠を使った時から、ね。で、桐山は、あの世よ。」
「なっ!馬鹿な!では、会議中ずっといたというのか!私が、連れてきたせいで・・・」
「ヒュミルを・・・殺した、だと?」
「えぇ。彼はステータスを用いた大罪人。殺害が法律上認められているわ」
「許せん!食らうがいい、永氷魔法Lv10、エターナル・ゼロ!」
「打ち消せ、大鎌」
遼河の魔法と黄泉の大鎌が一瞬拮抗し、しかし内包エネルギーの差により残ったのは黄泉の大鎌のみである。
「うぉお!」「おらぁ!」
そう叫びながら琳派・スルトが炎を宿した拳で、新山・べリが氷を宿した拳で殴り掛かってくるが、黄泉は一言、
「大鎌よ、切れ」
とつぶやくと、大鎌を振るい、二人の腕を切り飛ばし、二人は地に伏す。
「覚醒したばかりでなければ、スルトの力は侮れなかったかもしれないわね」
「くそが!私の最高威力の魔法で、死ね!死魔法Lv7、デスジャベリン!」
美咲が魔法を放つが、黄泉がそちらを一瞥し、
「深淵魔法Lv10、アビスホール」
と唱えると、出現した闇に美咲が放ったはずの魔法は飲み込まれ、美咲は絶望した表情を浮かべ膝から崩れ落ちる。
「あぁあ!潰せ、巨槌!」
そう言い、遼河がどこからともなく取り出した大きなハンマーで黄泉をつぶそうとする。
「切り裂け、大鎌」
遼河のハンマーと黄泉の大鎌が拮抗し、余波で周りの解放連盟の構成員たちや新山、琳派、美咲が吹き飛ぶ。
そして、競り合いを制したのは、黄泉であった。
「いい戦いだったわ。でも、あなたは犯罪者。見逃すわけにはいかないの」
そう言い黄泉は唇を舐め、艶やかに、
「だから、死になさい。大鎌」
と言い、黄泉が大鎌を大きく横に振ると、そこに残っていたのは、黄泉と瓦礫だけであった。
「さて、ちくわさんに伝言は頼んだけれど、早めに戻って、本部の情報を伝えて、一気に攻め入る話をすれば、ヴィドさんごまかされてくれるかしら?最近はあまり独断行動していなかったし、大丈夫よね?」
黄泉はそうつぶやくと、クランデストロイヤーのクランハウスへと飛んで行った。
「知らない天井だ。」
オタクの性か、見知らぬ部屋で目覚めた藍田が思わず口からそう零す。
「あっはっは!目覚めてすぐネタに走れるなら大丈夫そうだし!元気そうで何よりだし!」
ベッドの横には、ちくわと黒髪の年齢不詳の男性がいた。
「えっと・・・これ、どういう状況です?」
「あぁ、それは俺、デストロイヤーのクランマスターである駆逐から話させてもらう。」
「うぇ!?デストロイヤーのクランマスター!?」
デストロイヤーと言えば、この国の民間最大最強クランである。そのクランマスターが目の前にいるというのだから、寝ている場合じゃない。
藍田は飛び起き、正座をして駆逐の方を向く。
「あはは、そんなかしこまらなくていいよ。ただ単に、君はダンジョン解放連盟に狙われる状況にあるから、本部を壊滅させるまでの間はうちの庇護下にいてもらう、っていうだけの話だからさ。」
「えっと、それはつまり、デストロイヤーに入れてもらえる、ということですか?」
「ん?そうだね。丁度人数も合うし・・・よし、君が希望するなら正式なクランメンバーとして迎え入れようじゃないか!」
「ありがとうございます!ところで、私はどのくらい寝ていたんでしょうか?今、何時ですか?」
「安心するし!逃げつかれて気絶してから5時間くらいしかたってないし!」
「そうですか。よかったです。その、あの時闇に潜っていった少女は、大丈夫でしたか?」
その質問にちくわと駆逐は豆鉄砲を食らった鳩のような顔をしてお互いに見合わせ、プッと吹き出し、笑い出した。
「ひー!ひー!黄泉ちゃんの心配をする、だなんて新鮮な反応過ぎて笑えるし!」
「あっはっは!いやぁ、でもそうか。名前は知られていてもメディア露出は少ないからな・・・顔を知られていなくても不思議じゃないか。今後・・・ダンジョン解放連盟の本部焼き討ち後は、テレビ出演でもしてもらおうかねぇ」
その会話を聞き、藍田はあの少女が日本最強と名高い黄泉であることを知り、外見が自身と変わらぬ年齢に見える少女であったことに驚いた。
「ま、とりあえず今日はここで休みなさい。親御さんには俺・・・よりちくわのほうがいいか。ちくわからさせておく。明日、パーティーメンバーを紹介するよ。」
「うぇ!?私がするのかし?黄泉ちゃんじゃだめかし?」
「黄泉さんはヴィドさんに説教されてるからね。ここ最近はずっということ聞いて、いい子になったという話をしている最中に起こった報告も何もない独断行動だから、珍しく激おこだよ。」
「あらら・・・冥福を祈るし・・・」
2017年4月23日日曜日
「おはよう、諸君。今日は、君らにパーティーを組んでもらおうと思って呼んだのさ。」
そういう駆逐の前には、緑川 森羅、紫崎 美咲、元黒 幕汰、そして藍田 千春がいた。
すると、緑川が口を開く。
「あの・・・一人を除き、全員クラスメートなのですが・・・」
そう、元黒以外の3人は、鮮色中学3年2組に所属している。
「あぁ。ちょうど同時期に入った新入り新米3人が同じクラスの同性、こんなのパーティーを組ませるしかないじゃないか。しかも自然と高レベルのお守りも付く。なんてすばらしい采配だろうか!」
「まぁ、私は構いませんわよ?」
「私も・・・というより、私が一番レベル低いし、一番迷惑かけちゃうかもだけど・・・」
「そんなの俺は気にしないぜ!」
「私も気にしませんわ。つい先日までは私もレベル1だったわけですし。」
「そ、そう?ありがと。ところで緑川さん、ちょっといい?」
「ん?なんだ?」
「新年度から話し方変わったけど、何かあったの?去年までは、ピリピリしててあんまり話しかけれなかったから私の勘違いだったら悪いんだけど。」
「あぁ、そのことか。そうか、紫崎は元の俺を知らないから気にならないだろうが、藍田は気になるよな。俺は、とある人に助けられてな。その、かっこいいと思って、マネしてるんだ!」
「な、なるほど?じゃぁ、私もちくわさんのマネした方がいいのかな?」
「いやいや藍田君、ちくわが増えるのは勘弁してくれ」
「え、何でですか駆逐さん」
「あれは1人でも十分面倒だからさ。あんなのに染まらずにまっとうに育ってくれたまえ。緑川君に関してはある意味手遅れだから何も言わんがね。それと紫崎君。」
「何ですの?」
「2週間くらい藍田君を君の屋敷で預かってくれないかい?」
「あら、構いませんが、どうしてですの?」
「や、屋敷!?」
「いやね。藍田君、ダンジョン解放連盟に狙われててさ。今月末にうちの覚醒者と四変王総出で本部がある本能寺の裏世界を焼き討ちするんだけど、それ終わるまで黒の手の届く範囲にいてほしいのさ。黒以上の敵はこの区にいないからね」
「そうですの。元黒、受け入れに問題はありますか?」
「・・・駄目教師以外の問題はありません、お嬢様」
「そう。では、受け入れることにしますわ。」
「よ、よろしくお願いします、紫崎さん、元黒さん」
「えぇ、よろしく」
「よし、話はまとまったし、解散!ダンジョンにでも行っておいで!」
4人、で話し合った結果、駅のG級小鬼ダンジョンに行くことになった。




