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殺人の至宝と星座  作者: 早乙女なな
1/3

一、夕食の席にて

イギリスのとある高級ホテル。

私はそこで夕食をとっていた。


まるでレストランのようだが、立派なホテルだ。昔からイギリスには来てみたかったし、このホテルも観光ガイドに載っていたからというだけのことだった。

特に理由はない。


ズラっと二人くらいが座れる丸テーブルが並べられており、床にはワインレッド色のカーペットが全体に敷かれている。


その場の雰囲気に合わせてか、静かなジャズも流れている。

二十歳になったばかりの私はとても場違いに見える。


それにしても、先程から目に入って仕方ない男がいる。

髪は銀髪(いわゆる白髪だろうか)で、昭和の日本でよく流行った七三分けに見える。


目の色はよく見えない。

ただ、私よりもだいぶ年上だということはわかった。


なんて美しい人だろうと思った。

ずっと日本の男ばかりを見てきたから、イギリス人の顔をきちんと見るのは初めてだった。

それでも、もっと若い人に目が行ってもいいのにと自分の精神を不思議に思った。


ふと、男と目が合った。

男は笑っている。不気味な笑みではなく、優しい笑みだ。


私はその笑顔に目が離せなくなった。


はっと我に返り、慌てて目線をテーブルに戻す。

気が散って仕方ない。

もう料理を注文してしまおう。


「すみません」

ボーイを呼んで、料理を注文した。さっさと食べて、早く部屋に戻ろう。


しばらくすると、ボーイが私の席に何かを運んで来た。

それは、頼んだ覚えのないワインだった。

「こちら、赤ワインになります」


ボーイは当たり前のように私のテーブルにワインを置いて言った。

いやいや、頼んでないし。

「頼んでないわ」


私がボーイに向かって言うと、ボーイは


「あちらのお客様からです」


と言って、私の席の向かい側を指した。

まさかと思い、私は先程の男を見た。


すると男は、今度はしっかりと私の方を見て、手にワインを持っている。

私の方に持って来たワインと同じものだ。


男が乾杯をするような素振りでグラスを動かしたので、私もそれに習って男の方を見てグラスを動かした。


そして、まだ慣れないお酒を喉に無理やり流し込んだ。

もう、早く部屋に戻りたいという気持ちはなくなっていた。


それから男の方を見ると、男のいる席に料理が運ばれているのが見えた。

もう、私と目を合わせるような素振りは見せない。


私が諦めて男から目線を離したと同時に、注文した料理が運ばれて来た。

もう、時間切れのようだ。

私は料理に目を落として、とにかく食事に集中しようとした。


あれほど奇妙な乾杯は、今まで経験したことがなかったが、イギリスではああいうのは普通なのだろうか。


ほとんどの人が席を立つ中、私はまだ余韻に浸っていた。

こんなことは生まれて初めてだった。

日本人以外の人と交流を持ったことはないし、ましてや恋人を持ったこともない。


そんな私に、赤の他人がワインをご馳走様したのだ。

どんどん会場の人は減り、これはそろそろ自分も部屋に戻らなければと感じた。


私は部屋に戻ると、翌日の支度を始めた。

特に予定は組んでいないが、朝の支度くらいは済ませておかないと、ゆっくり朝のティータイムを楽しめない。


しかし、準備にもなかなか力が入らない。

慣れないお酒を身体に入れてしまったせいか、ふわふわしてしまって仕方ない。


あの一杯でこれほどまでになってしまうのだから、サラリーマンの人達が羽目を外してしまうのも納得がいった。


私は翌日の準備に集中するべく、ラジオをつけた。ラジオからは、イギリス出身のバンドの陽気な歌声が聞こえた。


今の気分にぴったりだ。

集中力がないのは、ワインのせいだと思う。



多分。

こんにちは、早乙女ななです!

今回は、『小説家になろうラジオ』内のコーナー

「タイトルは面白そう」にて読まれたタイトルとあらすじを元に作成しました!元々この作品には星座の要素を入れ込む予定はなかったのですが、テーマが星座だったので、急遽星座を作品内に登場させようと決めました。これからどのように星座が関わっていくのか、お楽しみに(楽しみにしてくれる人がいることを願います……笑笑)!

なろラジリスナーの皆さんに読んでもらいたいなぁ。

もちろんリスナー以外の方も大歓迎です!

それではまた別の作品か、ここでお会いしましょう!

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