斯波氏経を九州探題に任命したい
征西府が席巻する九州は室町幕府にとって頭の痛い問題であった。征西府が席巻する九州は、室町幕府にとって深刻な悩みの種であった。征西府は九州を支配し、その存在が室町幕府の統治に対する脅威となっていた。この状況に対処すべく、室町幕府は新たに斯波氏経を九州探題に任命した。
氏経は、九州での勢力拡大を図るために中国や四国の武士たちを糾合し、九州へ上陸することを計画した。しかし、武士たちはなかなか集まらず、計画は順調に進まなかった。結局、集まった武士は僅か二百騎にとどまり、士気や団結力に欠ける状況だった。
氏経の計画は、武士たちが戦意を喪失する一因ともなっていた。彼は軍船に遊女たちを乗せており、行軍が宴会のような雰囲気に包まれていた。武士たちは軍事的な使命感よりも娯楽や享楽を求める状態で、士気の高揚には程遠かった。
氏経の軍船は豊後に上陸したが、征西府の軍勢に敗北を喫した。この敗戦により、氏経は周防へと撤退を余儀なくされた。敗北は武士達の士気を一層低下させ、彼らの不満や不信感を募らせる結果となった。
室町幕府にとっては、氏経の派遣は九州における征西府の勢力を抑える一矢となるべきものであったが、結果的には逆に不満や混乱を招く結果となった。氏経の失敗は、九州での室町幕府の権威低下を象徴する出来事となり、難題が続くこととなった。
征西府との対立や氏経の失敗は、彼らが直面する政治的・軍事的な課題であり、その後の展開が九州の未来に大きな影響を与えることになるだろう。室町幕府は征西府の勢力拡大を抑えつつ、統治の安定を図るために新たな戦略を模索する必要があった。
続いて渋川義行が九州探題に任命された。彼は大胆な戦略を立て、征西府に立ち向かう覚悟を持って九州へと向かった。しかし、九州への上陸は容易なことではなかった。征西府は防戦に力を注ぎ、海岸線を厳重に守備していた。義行率いる軍団も、征西府の堅固な防御線によって九州への進撃ができず、足踏み状態が続いていた。義行と彼の家臣達は苦闘しながらも、九州に足を踏み入れることができないままであった。
義行は九州での戦況を慎重に分析し、新たな作戦を練る必要があると判断した。その間、彼は備後に拠点を置いて軍の再編や補給の準備に取り組んだ。九州での戦いは一筋縄ではいかないことを痛感しており、敢えて焦ることなく計画を練る姿勢を崩さなかった。
とはいえ、京からの遠征であるため、成果を上げずに戻ることは避けたいと考える義行の胸中には焦りやプレッシャーもあった。彼は自身の名誉や幕府の信頼をかけて九州での成功を目指していた。しかし、結局のところ、義行は九州での目立った成果を上げることなく、備後に引き返すこととなった。この失敗は彼自身や幕府にとって大きな挫折であり、九州問題の解決はますます難しさを増す結果となった。
この出来事は、南北朝時代の厳しい現実を示す一例であり、戦術や戦略の成功が必ずしも結果に結びつかないことを示すものでもある。義行の試みは、その後の幕府の戦略や対九州政策にも影響を及ぼし、彼の失敗から学びを得て次なる一手を考えることが求められた。
