足利高氏は六波羅探題を攻略したい
六波羅探題の軍勢は内野に布陣して迎撃の構えを見せていた。内野は、かつて平安京の中心となって栄えた大内裏があった場所である。既に大内裏が使われなくなって久しく、その跡地は静かな野原となっていた。太陽は空高く輝き、その光が軍勢の鎧兜に反射して眩しく輝いていた。風は穏やかで、一見すると平和な日常の風景の中で、武士達は迎撃の態勢を整えていた。
高氏は遠い昔の栄華と今の緊迫した状況とのギャップを感じつつ、自らの軍勢を勇気づけた。内野は北野天満宮と接しており、その神聖な空気が広がっていた。神聖な場所の力強さに勇気をもらいながら、尊氏は心の中で祈りを捧げた。
「天神よ、私達に力を貸してくれ。どうかお力添えを」
高氏は菅原道真の霊の導きに期待していた。
戦の火蓋が切って落とされる瞬間、北野天満宮から神職らが神楽の舞を奉納し始めた。神聖な舞踏が風を呼び起こし、戦場に神秘的な雰囲気が漂った。高氏は菅原道真の霊が導くかのような確信に心を打たれた。
高氏は一挙に攻勢を仕掛けた。戦場には神聖な気配が充満し、戦いの中で神秘的な力が働いているようだった。高氏の軍勢は神の導きを受け、勇猛果敢に敵勢に立ち向かった。武士達の刀が光り、弓矢が舞い、神聖な力と武士の勇気が交じり合い、激しい合戦が繰り広げられた。高氏は心の中で感謝の念を込めながら、菅原道真の霊の導きを強く感じ、神職達の祈りとともに敵勢を打ち破ることに成功した。
合戦の煙が晴れると、内野には勝利の余韻が広がった。内野には勝利の証となる武具や旗が散らばり、勇士達の歓喜の声が響いた。高氏は神聖な力と武士の勇気が交わった戦場を見渡し、内心で感謝の意を込めて頭を下げた。神聖な雰囲気はまだ戦場に残り、武士達はその場に立ち、勝利の栄冠を胸に刻んだ。
高氏は、神聖な舞と神楽が戦場にもたらした奇跡を心に刻んでいた。それはまるで神々が彼らの側に立ち、戦いを導いてくれたかのようだった。尊氏は神聖な力の存在を確信し、それが勝利に繋がったことを知り、内心で感慨深く思った。
六波羅探題は五月七日に攻略された。探題の内部では、高氏らの攻撃が激化し、絶望が広がった。
「ますます迫ってくる…」
「もはや逃げるしかない」
「はもはや守れぬ。逃げるのみだ」
「我らは生き延び、再び力を蓄えねばならぬ」
六波羅探題は北朝の帝と共に近江に逃れたが、そこで滅ぼされた。帝は囚われて都に護送された。これは佐々木道誉の軍勢とする立場と比叡山の軍勢とする立場がある。
戦いの後、内野の草原には再び穏やかな風景が戻り、北野天満宮の境内には感謝の祈りが捧げられた。高氏は軍勢と共に北野天満宮に感謝の意を表し、戦いで亡くなった仲間達への祈りを捧げた。その後も高氏は、この地を大切にし、道真への敬意を胸に抱きながら歴史の舞台に立つこととなった。




