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南北朝時代の林田隠岐守に転生して南朝で戦います  作者: 林田力
南北朝時代の林田隠岐守に転生して南朝で戦います
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足利高氏は自問自答したい

河内国千早城で楠木正成が挙兵し、畿内に不穏な空気が広がった。

「鎌倉幕府に立ち向かうのみ」

大和国吉野では護良親王が挙兵した。播磨国で挙兵した赤松円心は摂津国に侵攻した。鎌倉幕府は鎮圧に手を焼いた。

「状況が深刻だ。楠木正成、護良親王、赤松円心が同時に挙兵した。どうする?」

「倒幕勢力が拡大していく、このままでは幕府は持たないかもしれない」

「我々も何らかの対策を講じねばならん。足利高氏(後の尊氏)と名越高家に出陣を命じるしかない」

足利氏は北条氏から見ると最有力の外様御家人、名越氏は北条一門の中の最大野党である。必ずしも信頼できない彼らを出陣させなければならないほど幕府も後がなかった。


出陣した高氏は三河国八橋で宿営中に一人で自問自答していた。

「鎌倉幕府に抗うべきか、それとも従うべきか。鎌倉幕府への忠誠と、我が子孫の未来…」

謎の女性が静かに近づき、高氏に語りかけた。

「あなたの子孫に悪事がなければ七代に渡る繁栄を約束しましょう」

「誰だ、貴女は?」

高氏は驚きと興奮を感じつつ、女性の言葉に耳を傾けた。

「それは重要ではありません。約束は守られます」

謎の女性は微笑んで、姿を消した。高氏はその言葉を胸に刻みつつ、鎌倉幕府への謀反を考えるようになった。

「子孫への未来…我が家系の運命…」

高氏は自問自答を繰り返した。後に高氏は室町幕府を開き、子孫は室町幕府将軍として繁栄する。足利将軍は一五代まで続くが兄弟間の継承もある。世代間の継承は高氏の後は義詮、義満、義教、義政、義澄、義晴、義昭と七代になる。


畿内に進軍した高氏は幕府軍と合流せず、丹波国篠村八幡宮に向かい、鎌倉幕府を裏切ることを表明した。

「幕府にはもう忠誠を尽くす意味がない。今ここで、鎌倉幕府を裏切ることを表明する。ここから六波羅探題を攻撃する」

高氏は赤松円心や千種忠顕らと共に六波羅探題を攻めた。


高氏は源氏の名門である。鎌倉幕府の御家人中の御家人と言っていい存在である。その高氏の離反は大きな衝撃を与えた。六波羅探題は騒然となった。

「高氏が裏切ったと聞いたが本当か」

「源氏の名門が、こんな時に裏切るなんて…」


高氏は離反した時点で全国各地の武士に合力を呼び掛けた。そこには薩摩の島津貞久ら九州の武士達も含まれていた。

「今ここで合力を呼びかけるのは、鎌倉幕府滅亡後を見越してのことである。九州を我が勢力圏にし、新たな未来を切り開くためである」

高氏は高師直に説明した。合力を呼び掛けたと言っても遠く九州から六波羅探題攻撃に参戦することを期待するものではない。尊氏は鎌倉幕府滅亡後を見据え、九州を自己の勢力圏にしようとしていた。ここで蒔いた種は後に尊氏の九州落ちに際して実を結ぶことになる。


近江国の御家人の佐々木道誉も高氏に同調して幕府を裏切った。

「私も高氏に同調し、幕府を裏切る。我らは新たな未来を築くのだ」


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