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禁教令

レオ林田一家らの殉教は集まった人々に感銘を与え、逆に人々の信仰心を強くした。切支丹の信仰を守った彼らに対して、人々は敬意を表した。彼らの処刑は島原の人々が一斉に入信するきっかけとなった。

「切支丹の信仰を守るために亡くなったのだ。彼らは殉教者だ。彼らの死は決して無駄ではない」

「どうして信徒が弾圧されなければならないのだ?」

「信徒は何も悪いことはしていないではないか? なのに何故、こんな目に遭わなければならないんだ!?」

「切支丹を許さぬ幕府が憎い」

「酷い仕打ちじゃないか」


レオ林田一家らの殉教は非キリスト教徒も動揺させた。

「俺は切支丹ではないので、別にどうってことはないがな」

「俺だってキリスト教を広めようとは思わない。むしろ、嫌いな方だからな」

「それにしても、あれだけ迫害されてよくもまあ、我慢できるものだ。俺たちには真似できないな。やっぱり、人間は強い者に従うしかないのかな」

「そうかもしれない。でも、このままでいいのだろうか。何か対策を打たないと大変なことになるのではないかな……」


人々の反応に驚いた徳川家康は慶長一八年一二月一九日(一六一四年一月二八日)、金地院崇伝(以心崇伝)に「伴天連追放之文」(排吉利支丹文)を起草させた。「伴天連追放之文」は将軍秀忠の御前に献上され、一二月二三日に公布された。

***

天は父親であり、地は母親である。人間はその間に生まれた。天地人の全ては、この道理によっている。そもそも日本は神の国である。神と仏はその名前は異なっているがその目的とするところは同じであり、あたかも勘合符をぴったり合わせるようなものである。

ところが、切支丹が日本に来訪して商いを行って暴利を貪るだけではなく、欲を出して邪な宗教を広め、正しい宗教を惑わそうとしている。さらには国内の統治制度を改めて自分たちのものにしようとしている。これは大きな災いのもとでありどうして止めないでおけようか。

日本は神の国仏の国であり、これらを敬っている。これに対して伴天連の連中はこれまでの政令にも違反し、神道を疑い、仏教の道を馬鹿にし、義や善い行いまで否定している。人が死刑になったものを見ては、かえって喜び、走り回り、これを拝んでいる。これがこの宗教の正体である。

これが邪な宗教じゃなくて一体何であろう。本当に神や仏の敵である。急いでこれを禁止しないと後の世に必ず国家の災いになるであろう。わざわざ命令してこれを禁止しなければさらなる天の災いを被るであろう。

一刻も早くこの邪宗教を退け、我等が仏の御教えを盛んにしなければならない。世の中は既に末法の世であるが神様の道、仏の道を開いていくよき政令である。天下の人々はこのことをしっかりと認識すべきである。決して違反してはならない。

***

江戸幕府が禁教を強化した背景にはオランダ貿易の進展がある。オランダは慶長一四年(一六〇九年)に長崎・平戸に商館を開設していた。オランダはプロテスタントの国であり、カトリックのイスパニアやポルトガルと対立していた。オランダは元々イスパニアの支配から独立した国であった。

イスパニアやポルトガルは布教と貿易が一体となっていた。イスパニアとスペインの交易船には宣教師も乗っており、布教を許可した国のみと交易した。これに対してオランダは布教を求めず、貿易のみを希望しており、幕府に好都合であった。

家康はオランダ人のヤン・ヨーステンやイギリス人のウィリアム・アダムス(三浦按針)からヨーロッパの情勢を聞いていた。イギリスとイスパニアとの間で一五八八年にアルマダ海戦が起き、イギリス海軍がイスパニアの無敵艦隊を破ったことも知っていた。


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