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南北朝の騒乱と分割相続

林田隠岐守の生きた南北朝時代は激動の時代であった。日本史上有数の内乱の時代であった。南北朝時代に比べれば戦国時代の方が平和である。戦国時代は戦国大名の領内は一円支配が進んでおり、平和であった。南北朝時代が内乱の時代になった理由は、分割相続が廃れ、長子単独相続を強要しようとしたためである。


鎌倉時代までは武士も農民も分割相続が当たり前であった。相続では兄弟で所領(田畑)を分けた。これを「田分け」と言った。女性にも相続権があり、明治時代よりも進んでいた。ところが、鎌倉時代末期から分割相続で所領を分けると弱体化するという見解が出てきた。「田分けはたわけ」との迷言で分割相続を否定し、長子単独相続を押し付けようとした。これが兄弟間の争いを激化させた。「長男一人だけ特別扱いするのは不公平」「弟妹達の権利侵害になる」との発想は自然である。「田分け」をしなければ相続紛争が激化するだけである。


南北朝の騒乱が長引いた原因は皇国史観が語るような天皇への忠誠心では決してない。天皇は錦の御旗として利用しただけであり、争いの本質ではない。兄が北朝公認ならば、自分は南朝からお墨付きをもらった。そもそも南北朝の争いも大覚寺統の後醍醐天皇が持明院統を排除したことが原因である。


室町幕府の観応の擾乱も足利尊氏が息子の足利義詮の障害となる実力者の高師直や足利直義を排除した動きと見ることができる。足利尊氏は戦前の皇国史観では大悪人とされた。その反動から戦後は矛盾を抱えながら誠実に生きようとした人と描かれがちである。しかし、自分の考えを表に出さず、権謀術数が巧みな人物が正しいかもしれない。


分割相続が発展をもたらした例として茶道家元がある。千利休の茶道の流派は表千家・裏千家・武者小路千家に分かれる。これは千家三代目の元伯宗旦の息子三人が分割相続したためである。宗旦の三男・江岑宗左は不審菴表千家となった。四男・仙叟宗室は宗旦の隠居所を継ぎ、今日庵裏千家となった。次男・一翁宗守が官休庵武者小路千家を称した。茶道の理念的な祖は利休であるが、実質的な祖は宗旦と言ってよい。単独相続ではなく、分割相続によって茶道は発展した。


三千家の分立によって千家茶道は安定的な発展を遂げることになる。宗旦の代では乞食宗旦と言われながらも武家に出仕しなかった。権力者の気まぐれで滅ぼされた千利休の轍を踏まないためである。宗旦の子どもの代になると宗左が紀州徳川家に出仕したように大名家の茶道となっていった。


三千家の分立が発展の要因である。このお陰で茶道は明治維新の文明開化の荒波にも生き残ることができた。一家のみで統一を保っていたならば家元の権威は競争相手がいないために高くなるが、硬直化して廃れたかもしれない。どこかで途絶えた可能性もある。


相続の平等は持続可能な開発目標SDGs; Sustainable Development Goalsも目指している。SDGsは戦前の旧民法のような不平等な長子単独相続を否定し、全ての男性及び女性が相続財産に平等な権利を持つことを求めている。


ターゲット1.4「2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する」(総務省仮訳)。

By 2030, ensure that all men and women, in particular the poor and the vulnerable, have equal rights to economic resources, as well as access to basic services, ownership and control over land and other forms of property, inheritance, natural resources, appropriate new technology and financial services, including microfinance


ターゲット5.a「女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する」

Undertake reforms to give women equal rights to economic resources, as well as access to ownership and control over land and other forms of property, financial services, inheritance and natural resources, in accordance with national laws


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