足利義満は天神信仰を継承したい
足利義満は祖父尊氏の天神信仰を心から受け継ぎ、その信仰を大切にしていた。義満は祖父尊氏の足跡を追い、太宰府天満宮と北野天満宮の信仰を厳守した。義満は特に北野天満宮に対して深い信頼を寄せ、北野天満宮の祈祷を重視した。義満は北野天満宮を訪れる度に繁栄を祈った。義満は長男義持が生まれる時も他の神社での祈祷を一切させず、北野天満宮だけに祈祷させた。
明徳二年(一三九一年)の明徳の乱では北野天満宮を背後に布陣して勝利した。京は攻めやすく守りにくい地であったが、義満は迎撃戦に勝利した。勝利後に義満は北野天満宮に参拝した。義満の心は菅原道真公への感謝と尊敬に満ちていた。
「義満よ」
突如として、静寂を破る声が聞こえた。義満が振り返ると、そこには青白い光を放つような存在が立っていた。それは天神・菅原道真の霊であった。
「道真公…」
義満は驚きと畏怖の入り混じった声で呟いた。
「義満の信仰心に感謝する。繁栄と幸福を祈っている」
義満は謙虚に頭を下げた。
「この地の勝利は、全ては道真公の加護によるものです。感謝の意を表すと共に、これからも我が信仰を捧げます」
「汝の誠心誠意に報いる方法がある」
道真の霊は微笑みながら言った。
「どうかお教えください」
「我が霊が宿るこの地に、もう一つの聖域を築け。それが汝と子孫の繁栄をもたらすであろう」
義満の心に喜びと感激が芽生えた。義満は心から道真の指示に従おうとした。義満は北野天満宮と隣接する北山に目を付けた。応永四年(一三九七年)に西園寺家から北山弟を譲り受け、北山殿を造営した。北山殿の舎利殿は後の金閣である。
ある晩、北山殿の舎利殿にて義満は再び道真の霊を感じた。静かな夜の中、彼らは語り合った。
「義満よ、汝の信仰心がこの地に繁栄をもたらしていることを知っている。汝の信仰心は私に大きな喜びをもたらす。しかし、それだけではない。汝の心には将来を見越した大いなる使命が宿っている。」
「どのような使命でしょうか」
義満は驚きと期待に満ちた目で道真の霊を見つめた。
「汝の力で、この国を繁栄させ、人々に安寧をもたらす使命だ。ただし、そのためには誠実な心と公正な政治が必要だ」
「誓います、道真公。私は国家の繁栄と人々の幸福のため、全力を尽くします」
義満は真剣な表情で頷いた。
「よく言った。汝の使命はこの地に宿り、永遠に続くであろう」
道真の霊は満足げな微笑みを浮かべた。
「私の子孫の繁栄も願っています。どうか、我が子・義持にも神の祝福を与えてください」
「汝の子の義持にも、我が祝福があることだろう。しかし、信仰は決して怠ることなく、次代にも受け継がれねばならない」
「道真公、私はこれからもこの地を守り、信仰を守り続けます」
「汝の心が常に清らかであり、信仰心が揺るがぬ限り、我が祝福は永遠に続くであろう」
道真の霊は微笑みながら言った。




