未来へのファンファーレ1
ふと気付くと、無限とも思える暗がりの中で、あたしは1人ポツンと立っていた。辺りを見渡しても、動くものは人っ子1人どころか、のら犬やのら猫、トンボや蝶、風にたなびく草花なんかも含めてなにも見当たらない。
その暗闇を、あたしはぐるりと見渡した。この風景は、ある意味あたしにとってはお馴染みの光景だ。
暗闇にはもうあたしを孤独へと追い込む力はなく、闇の奥では暖かな光が差し込んでいる。
あたしは鼻歌を歌いながら、これから先の幸福に心を踊らせる。
今日あたしは遂に『人』になる。
今の…人間とも幽霊とも言えない中途半端な存在から脱し、彼の隣を歩む資格を手に入れるのだ。
「凪……」
チリン--
その名を呟いたとたん、辺りに鈴の音が鳴り響いた。
「凪!」
自然とほころぶあたしの頬。しかし……
チリン--
「……凪?」
2度目の鈴の音が鳴り響くと、辺りの気配が変化し始めた。心に不安がわき起こる。
暗闇が、嵐の前の時の雲の流れのように急激に動いていく。その流れは、次の瞬間一気に加速し、そして……唐突に闇が弾けて強い光が射し込んだ。
「凪……」
その突然の変化に、唖然とその名を口にするが、しかし呼びかけに、再びあの鈴の音が鳴り響くことはなかったのだった……。
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