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闇より舞い落ちるひとひら  作者: レムウェル
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レクイエムは誰が為に6


「きゃ!」


 ちょっと何?!突然床がうねうねうねり始めて気持ち悪いよー!


『ミオちゃんこっち!』


「フェイ!」


 差し出されたフェイの手に素早く触れると、床から突き出してきたキショイ何本もの腕が、ミオたちを見失って明後日の方を掴んでは空を切っている……どうでも良いけど明後日の方ってどっち?


 視線を上げると他のみんなは腕に絡み付かれて闇の塊に引きずり込まれ、次の瞬間ミオの目の前からみんな消えちゃった。


「ありゃりゃ……みんな大丈夫かなぁ……」


頭を掻きながらこの私『新垣ミオ』はそう呟いた。


 凪っちと朱美さんは大丈夫だろうけど、アキさんまで捕まっちゃったから心配だなぁ。


『アキさんにはキアが付いてるから大丈夫!』


「それもそうだね」


 よくよく考えれば、ミオが心配したってどうにもならないしね。それならみんなが自力で脱出してくることを祈って、この場はジョーホーシューシューに精を出してた方がケンセツテキってもんでしょ。


 注意深く辺りに視線を走らせながら『アキ』さんの元へと歩み寄る。んで、キョロキョロしていたらあることに気付いた。


「あれ?あのキショイおにーさんが見当たらない」


 さっきはその機械の陰に居たんだけど。


『あの人なら、凪さん達と一緒に向こう側に行っちゃったよ?』


「向こう側?」


『あの人が従えている死霊達が住んでいる異空間だよ。多分みんなが苦しむ姿を近くで見たいんだと思う。罠に掛かった瞬間に、あの人の思考が少し漏れたんだ』


「陰険なおにーさんが考えそうなことだね。まぁどうせ凪っちと朱美さんが何とかしちゃうっしょ。ミオは少しでも凪っちたちの役に立たなくっちゃ」


 足手まといはゴメンなのだ。


 先ずは、一番眼に留まる場所にある、メタリックな金属性の筒の中身を確認するため、筒に付いてるガラス窓へと顔を寄せる。


「あ!これもアキさん!」


 でも生きてるようにはミオには視えない。


 多分この人が、朱美さんの言う『紫藤亜紀』さんなんだろう。


 入れ物自体が冷たいし、ミオの目にも青いぼやけた光が見えるから、中は相当冷たいんだろうな。映画や小説で、死体が腐んないように何かの液体で凍らせたりしてたのを見たことあるけど、多分あんな感じに保管してるんだ。


 今度は『アキ』さんの方に視線を移す。


「んでこっちが……クローンってやつ?」


 フェイはクローンの意味が分からないのか、ニコニコしながら首を傾げていた。


 う~ん……何か気になるんだよなぁ……ま、ホントのこと言うと、みおにも『クローン』って何なのかは正確には分かんないんだけどね。


 だけど、実はこの『アキ』さんを視た時から、何か違和感みたいなものを感じていたりしていたのだ。ミオは「ふぅ~」って大きく息を吐くと、いったん目を瞑って凪っちの言葉を頭の中で思い起こした。


(先ずは心を落ち着ける……)


 自分じゃ気付いてなかったけど結構激しくドキドキしていた心臓が落ち着いていくのを感じながら、閉じた瞼をゆっくりと開いていく。


(ぶれたピントをゆっくり隔世へと合わせていく……)


 以前は漠然としか使えなかった自分の能力が、凪っちのお陰でかなり自分の思い通りに使えるようになってきた。


(次は漠然と全体を眺めるように調節しながら……)


 次第に視界が、反転したネガを見ているように濃いセピア色に変化していく。


(そして何か気になる物を見つけたら……それを視ようと強く願う……)


 『アキ』さんが……と言うよりは、このガラス管全体に違和感を感じたんだよね……


(う~ん何だろうこの違和感……あ……そうか!生きてるはずのアキさんの肉体から精気を視ることが出来ないんだ!そっか……このガラス管が遮断してるんだ……)


『みおちゃん……その辺で止めとかない?』


 掴み取った情報に興奮していたミオの気分を冷ますように、突然フェイがそんなことを言ってくる。


「ええ~何でさ!もしかしたら何か重要なジョーホーが手に入るかもしんないじゃん!」


『上手く言えないけど……何かいやな予感がするんだよ……だってあれだけの死霊がいたのに今は全くその気配がないんだよ?ここでは多分人体実験なんかもしてたはずなのに、その気配も感じられないし……おかしいよ!』


 おかしいのは分かってる。だからこそ何か掴んでおきたいって訳なのだ。


「大丈夫! 何があっても驚きゃしないって。それに……」


 ミオは拳を握って胸元まで持ち上げ力を込めた。


「この謎をそのままスルーするなんてミオの誇りが許さない……この謎はきっとこの新垣ミオが暴いてみせる!」


 そして握っていた拳の人差し指を伸ばしてフェイに向かってピュッと突きつけ見得を切る。


「じっちゃんの名に掛けて!」


 決まった。


『ボク、ミオちゃんのお祖父さんに会ったことないんだけど……』


 困ったように頬を掻くフェイ。この子には、この決め台詞はまだ早かったみたいだ。因みにミオは、じっちゃんとやらに 会ったこともないってことはここだけの話。


「まぁそれは置いといて……このまま指をくわえて待ってるわけにはいかないよ!みんなそれぞれ頑張ってるんだしね」


『でも……』


「でもじゃない!ミオはやると言っやるのだ!」


 煮えきらないフェイの言葉を遮って、ミオはノリノリで瞳に意識を集中し、能力を最大限に引き出した。


 そして……そのことを激しく後悔することになっちゃったのだった……。




ブクマ&☆ポチよろしゅう。してくれたら泣いて喜びやす

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