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8。名前が欲しいとお願いされました

黙々とイケメン二人に囲まれながら食事を終えた後。


食べ終わった食器は後で返しておくからと、一旦サイドテーブルの上に置いてくれた。



……なにげにコレ、上げ膳据え膳ってやつじゃなかろうか。


さっきから展開に追いつけないせいで、そんな風に思考が脱線しそうになるけれど。


うん。まずはちゃんとお礼を言わないと。



「あ、あの……助けていただいて、ありがとうございましたっ」


ベッドの上で深々と頭を下げる。


「あのまま森で夜になっていたら危なかったと思うので。本当に助かりました!」


夢だろうがなんだろうが、助けてもらったらちゃんとお礼を言うべきだ。

じゃないと自分が気持ち悪いから。


完全に自分の都合だがそこは気にしてはいけない。対外的にも良いことだから問題ないわ。



「どういたしまして」

「ほんと、オレ達に見つかって良かったよねー」

「それはもう。とっても感謝してます」


食事も出してもらったし、部屋で休ませてもらえたし。感謝しかない。

困っている時の一宿一飯の恩義は大きいのだ。


例え見た目と言動がアレだとしても、ちょっとぐらいセクハラっぽいアレやコレがあったとしても。

今だけは目をつぶりますとも!



それを聞いた赤猫お兄さんはまたニヤニヤと笑いだし、青猫お兄さんまで少し悪い顔でニッコリと笑った。


「そう? ーー感謝してくれてんなら、お礼も期待していいんだよな?」

「そうですね、少しくらい対価をもらっても良いですよね」



ーーあ、ヤバい。


ひょっとしてこれは言質をとられた感じですか?


どうせ夢だし踏み倒しても……と思えるなら、そもそもさっきお礼を言ったりしてない。


たとえ夢の中だとしても、避けられる修羅場はきっちり避けたいのだ。



でもどうしよう、完全手ぶらで出てきちゃったんだよね……お金とか持ってきてないし。


まさか身体を要求ーーはしないか。

お兄さん達、顔だけならイケメンだし。


きっとソッチ方面は困っていないと思う。


他にあげられるものって……うーん、タダ働きしますとか?

家事ならそこそこ得意だし。よし、これで行こう。



「すみません、生憎手持ちがなくって……しばらく無償労働するってことで手を打ってもらえませんか?」


一週間くらいかな? でも夢の中の一週間だから、現実の時間には関係ないよね。



「あー、確かにそれも助かるけどさ。もっと今すぐ貰えるものが欲しいんだよな」

「そうそう、もっと簡単にできることでいいんですよ」


……却下された。他に希望があるらしい。


「……なんだか逆に怪しく聞こえますけど。一応、ご希望があるなら聞かせてください」


応えるとは約束できませんけど、と逃げは打っておく。


「大丈夫! 本当に簡単だから!」

「ええ、すぐに終わりますしね」


二人はニンマリ笑って、声を揃える。



「「ーーオレ達に名前をつけてよ」」




……?


えっ、それだけ??

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