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84。服くらい自分で脱げますから!

落ちていく時の胃の中身が逆流しそうな感覚が消えたのを感じ、そっと目を開けるとーー死んでいなかった。


地面に皆の足がついているのを見て大きく息を吐く。



よ、良かった……


「あー……し、死んだかと思った……」

「大丈夫ですよ、死なせませんから」


あの程度普通に落ちても全く問題ありませんと言われたけど、問題ありまくりだからね?!



「なになに、フィアってば高所恐怖症だったりした?」

「そんなことないわ、むしろ高いところは好きなくらいだけどーーでも高いところから落ちるのはまた別でしょ……」

「大した高さじゃないでしょう」

「普通三階の窓から飛び降りるなんてあり得ないのよ!」


この高さでも、打ち所が悪ければ普通に死ねる。人間は意外と脆いのだ。


窒息死を免れた次の日に墜落死とか、冗談でも笑えない。



改めて周囲を見回すと、足元には大きな魔法陣、目の前には見慣れた城門。

ーーいつの間にか城の前に転移していた。


つまり窓からの飛び降りの道連れにはされたが、地面に激突する直前に転移したらしい。

転移魔法陣って空中にも描けたのね……要らない知識が増えたわ。



「ええと……それで、なんでまたお城に?」

「女王陛下に謁見です。今後のことで相談があるもので」

「あ、もうローブはいいぜ! (あち)いだろーし脱いじまえよ」


言いながらマゼンタはさっさと元の格好に戻っていた。着替えるの早いわね。


感心して見ていたらいつの間にかシアンの手が頭に添えられ、パサりとフードを落とされた。

ついでのように、汗ばんでいたらしい額をローブの袖で拭われる。


「へっ? ……あ、ありがとう?」

「どういたしまして。ソフィー、なんなら全部僕が脱がせてあげましょうか?」


一応訊ねる(てい)はとっているが、シアンの手はすでにローブの留め具に掛けられていた。


あれ、これってーー抱きかかえられながら胸の中で服を脱がされている……?

そっ、それはちょっと世間体的にもマズいのではーー?


「シ、シアン! 降ろして、自分で脱ぐから!」

「へえ、ソフィー……意外と大胆なんですね?」

「そーゆー意味じゃない!」


だからイチイチそうやって揶揄わないでっ!


思いっきり睨みあげたら、まあ分かってますけどねと笑いながら、少し離れた地面に下ろされた。


はあ……とりあえず、色んな意味で無事で良かったわ。

ようやく自分の足で地面に立てるとつま先をつけてーーそのまま座り込んでしまった。


ーーえ?



「!! フィア、大丈夫か!?」

「え、ええ……なんとか」


別に足を捻ったとか、そういうのではない。

単純に落下の恐怖で腰を抜かしてしまっただけだ。


ーー腰って本当に抜けるんだ。イヤな初体験だわ、全く。


諦めて地面に座り込んだままローブを脱ぎ、シアンに手渡した。



「さて、返すものも纏まりましたし。女王のところまで行きましょうか」

「あ、そのローブってエリザに借りたものだったの?」

「正確には女王様経由で借りたものですね。なので、返す相手は違います」


ーー? エリザに頼んで別の人のものを貸してもらったってことよね。

そもそもこのローブ、何のために借りたのかしら? 結局説明してもらえていないのだけど……


「さて、さっさと女王の部屋まで移動しますか」


あの人結構時間にはシビアなんですよね、と言いながら、再度シアンに抱き上げられた。


「え、ええ? な、なんでまたーー?!」

「だって、歩けないのでしょう? このまま女王の前に転移します」

「ちょ、ちょっとだけ待って! すぐに動けるようになると思うから!」

「だーめ、諦めなフィア? 女王様、待たせるとめっちゃ機嫌悪くなるんだって」

「……それとも、このままお姫様抱っこで城内を移動したいですか?」


僕はそれでも構いませんけどね。ソフィーは僕のだって宣伝できますし、悪くないです。


そう言ってニヤリと笑われると、それ以上の反論はできずーー


私はエリザが待っているという場所まで、転移で連れて行かれることになった。



ーーこれ、城内で晒しあげられることはないにせよ。エリザには見られて、揶揄われることは確定だよね。

……どっちがマシだったのか、分からないわ。


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