56。自己紹介をして頂きました
「ま、無礼も失礼もお互い様じゃ。それにお主が考えていることくらい、貴族連中や他国の狸オヤジ共に比べれば可愛いものよの」
気楽に接するが良いぞ、と言われるがそんな無茶な。
「そーだよ、フィア! このバァちゃんに気遣いとかムダだから、普通でいいんだって!」
「向こうが相当に失礼ですからね、何を考えても気に病むことはありませんよ」
「……そこの猫どもは、多少は遠慮というモノを覚えるがよい」
女王様がこめかみをグリグリしながら苦言を呈した。
気持ちはとってもわかる。けど、見た目五歳児の仕草としては頭が痛いってジェスチャーには違和感があるわね。
「だってどうせバレてんじゃん?」
「だからといってイチイチ口に出すでないわっ、この空けが」
他にも礼儀や常識なんかも丸々欠けておるではないか、と続けるのに、心の中で激しく同意する。
「ふむ、飼い主の方とは気が合いそうじゃの」
「あ、ありがとうございます……?」
お礼を言うところなのか分からないけど、とりあえず言ってダメってことないわよね?
「良い良い、細かい事を気にしていてはわらわとは話せんじゃろ? 実は、迷い子と会って向こうの世界の事を色々聞き出すのは、わらわの趣味みたいなものでの。久々にこうして話せるのを楽しみにしておったのじゃ。この猫どものことは見習わんで良いが、普通に話してくれれば嬉しく思う」
そう言ってにっこり笑う女王様。うん、見た目だけなら文句なく天使。なんていい目の保養なのーーあっ。
今度はニヤリと笑われてしまった。
うう、考えるのをやめるとか無理があるわ。
ああでも、普通に話していいなら質問したいことが山ほどあるのだけど。
「もちろんじゃ。ああ、長くなりそうなら茶も用意させよう」
そう言って後ろを振り返れば、控えていたおば様ーーたぶんこちらが宰相様なのよね?ーーがメイドさん達を呼んでささっと場を整えてくれた。
テーブルと椅子が設置され、あっという間に紅茶が給仕される。
勧められるままに席に着いてお茶を飲めば、さすが城と言うべきかとても香り高く美味しいお茶だった。
「ほお、茶の味もしっかり分かるか。これは振る舞い甲斐があるの」
女王様は自分のお茶に口をつけてから、ご機嫌な様子で話出した。
「さて、そう言えばこちらからはまだ名乗っていなかったの。わらわはこの国女王で、エリザベス・ウッド・ブラッドレイじゃ。気安くエリザと呼ぶが良いぞ。隣が宰相のクロエ・ウッド・ブラッドレイ。わらわの娘じゃな」
……わぁお。何処から突っ込んで良いか分からないくらい、ツッコミどころ満載だ。どうしようこれ。
「お主の世界では女王と言えばエリザベエスと名なのじゃろ?」
先王の時代に来た迷い子達がそう伝えたらしいぞ、と女王様は面白そうに言い可愛らしく首を傾げているがーー。昔の迷い子さん達何してくれてんの。
まあ今は名前を気にしている場合じゃない。
「ええと、エリザベス女王陛……「エリザ、じゃ。様も要らんぞ。敬語も禁止じゃ」」
……サクッと先手打たれたし。
もういいわ。どうせ夢かも知れないもの、気にしたら負けよ。
普通にタメ口で話させてもらおう。
「じゃあエリザ。遠慮なく聞かせてもらうけど、貴女なんで子供の姿なの?」
遠慮なくとは言ったが、さすがにストレートに”何歳なの?”とは聞けない。
「わらわはそれでも良いが、連鎖的にクロエの歳がバレそうじゃからの……娘に怒られるのは勘弁じゃ」
確かに宰相様、ものすごいジト目……”絶対言うな”って圧を感じる。
「話すと長くなるから詳しいことは端折るがの。むかーし昔に、ちょーっと時空を司る神に喧嘩を売ってしまっての? まあ良いとこまでは行ったんじゃが結局負けてしまってのう……それからずっと、わらわには年を取らない呪いが掛かっておるのじゃよ」
ーーはい?
え、ごめん。情報過多な上に、ちょっと話が壮大過ぎてついていけないです。
誰でも良いから、迷い子でも分かるように噛み砕いて説明してください!




