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45。親切心100%?

「あ、ソフィア起きてるー! おっはよー!」



ーードアを開けた瞬間に、飼い猫にもの凄い勢いで飛びつかれて床に押し倒されました。



爽やかな朝、とは言い難いわね……。



これが本物の猫だったら頭の中にピンクのお花が咲き乱れるくらいの多幸感を味わって、もう今日一日頑張れるわっ! て感じでギューって抱きしめ返すところなのだけど……



「マゼンタ……さっさと退()いてくれるかしら?」


スンッとした顔で抑揚なく指示を出す。


前も言ったが、猫耳つきのお兄さんは対象外である。

コレに関してはイケメン無罪も認めない。



「ひっどッ! オレ体重掛けてないじゃん!」

「……そういう問題じゃないって分かって言ってる?」


体重をかけないように腕を突っ張っている事も、色々ぶつけない様にコケた時に後頭部と腰に手を回してくれたのも気付いてはいるが。


大事なことだから二回言おう。

そういう問題じゃあないのである。


「アンタね……前にも言ったかもだけど、スキンシップが過剰すぎんのよ。ちょっとは自重してくれない?」


ちょっとどころかゼロにしてくれたって良いのだけど……あ、でも転移の後は掴まらせては欲しいから完全にゼロは困るわ。

起きてる時にヤラレると本気で立てなくなるし。



……ああ、そういえば。

ひとつ確認しておかないとだった。


「ねえ、マゼンタ。私、どうしてこっちの家にいるのかしら」


立ち上がるのに手を貸してもらいながらジト目でマゼンタを見上げる。


「え、そりゃモチロン転移してだよ! 朝になってから動くより時間を有効に使えるだろ?」

「……そう。それで、どちらが考えてどちらが実行したのかしら?」


主犯も実行犯も有罪だが、どっちかと言えば主犯が問題だ。


「考えたのはオレ! 初日に気を失ってる間に転移した時は、ソフィアしんどくなさそうだったじゃん? だから今回も、寝ている間に転移させとけば身体がラクだろうって思って!」


なっ、イイコト気づいただろ? オレすごくね?! ってコイツ……全く悪いことしたって思ってないわね?


キラキラした目で真っ直ぐ見つめて、褒めて褒めてってするのやめてほしい。


悪意があってやるのはもってのほかだが、悪意がなくてもやって良いわけじゃないのだ。


ここはちゃんと釘を刺さないと。



ーーうっ、でもとっても怒りづらい……猫耳ピコピコさせながら見つめるなんてズルすぎるわよっ……!


褒めるでも叱るでもなく見つめていると、どうしたのって顔でコテッ、と首を傾げられた。

当然、頭についた猫耳もぐりん、っと動く。


くっ、なんて事……猫耳の破壊力が凄すぎるっ!

今すぐわしゃわしゃって撫で回して、あのビロードの様な手触りを堪能したい……!!


ああでもどうしよう。ここで圧に屈して褒めたら、次もきっと同じ事するわよね。


飼い主として、躾をするのは義務なのよ。しっかりしなさいソフィア……!



自分を叱咤して、マゼンタの方をキッと睨む。


「マゼンタ……夜中に女性の部屋に勝手に入るのは犯罪なのよ」


人間の男女で考えれば夜這いそのものだ。同意がないなら警察が呼ばれる。


「そもそも夜中じゃなくても、鍵のかかっている部屋に無断で入るのはしちゃいけない事なの」


何を当たり前な、って話だが。相手は猫だ。

ヒトの常識は持っていないものと思わなきゃ。


「えー、だってノックなんかしたらソフィア起きちゃうじゃん。寝てる間に転移しとこーとしてたのに、それじゃ意味ねえだろ?」


音を立てないようにピッキングの時だってめっちゃ気を遣ったんだぜ?! と不満そうな顔。

いや、だから問題は……ってもういいわ。


「はあ、もう……とにかく、夜中に女の人の部屋にノックもしないで入っちゃダメなの! これ絶対! 用事があったとしても、寝てそうだったらまた時間を改めなさい」

「……ちぇっ、分かったよ。気をつける」

「気をつけるじゃないの。もうヤらないって約束してっ」

「あーもー! わーったって! もうしない!!」


迷い子の感覚ってほんと分かんねーなあと文句を言いつつ、とりあえずごめんな? と謝ってくれた。

一応怒っていることは伝わったらしい。


よしよし。あんまり納得はしていなさそうだけど、約束して謝ってくれたなら一歩前進だ。

これからちょっとずつお互いの感覚の違いを理解してもらえれば良いわよね。




ーーあれ、そういえば。



私、昨日のハーブの件をまだ二人に謝ってなかったわ……

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