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24。留守番犬とご主人様

「あーっと……ウチのが本当にスマン事をしたな」


申し訳なかった、この通りだ。



私は今、いい歳の大人二人から頭を深々と下げらていた。


一人は自主的に、もう一人は頭を無理やり押さえられてだが。


足元を見れば猫二匹からは首と腰にそれぞれ腕を回され、両サイドからぎゅうぎゅうに締め上げられている。


……ぱっと見はイケメン二人に抱きつかれているとも言える、リア充な絵面ではあるのだけど。

私のコレに関しては明かに違うので特に羞恥心が刺激されることもなく半ば放心しながら放置中だ。


だって実態としては、お気に入りのオモチャを取られそうになって焦って威嚇している猫二匹、ってだけだし。


それはそれで微笑ましい図かもしれないが艶っぽい何かはカケラもないし。


……年頃の乙女として異性に抱きつかれてのノーリアクションはどうなのかと思うが、深く考えると墓穴を掘るので考えない。



ああ、うん。言っていることが迷走してるのは自分でも理解はしているのよ?


でもだってしょうがないじゃない。こっちは絶賛混乱中なのよ!

ああ……まずは誰かこの状況を説明してくれないかしら?


ーーさっきは救世主現るって感じがしたにも関わらず、現場はカオスのままだった。




体感的には一時間、実際にはおそらく数分が経過した後。


おじ様(一応助けてくれたので呼び方も格上げだ)が頭を上げて場所を変えようと提案してくれた。


一旦店のドアにクローズのプレートを掛けてから奥の部屋に通され、今はお詫びも兼ねたお茶をご馳走になっている。


謎の美女は犬の不動産屋さんにキツく言い渡されて渋々椅子に座っているが、なんで触っちゃダメなのよう、とぶーぶー文句を言っていた。


……いやいや、ぬいぐるみでもあるまいし。普通に考えてダメでしょうよ。


この人大丈夫だろうか?



マゼンタもシアンも完全に警戒モードで、私と彼女の間に入って思いっきり威嚇している。

うん、今日も安心安定の猫っぽさね。


とりあえず二人に落ち着くよう声を掛け、少し下がってもらう。

まずはちゃんと話がしたい。


自分もお茶をコクリと飲み込んで喉を潤おし、ひとつ息を吐いてから一番聞きたかったことを質問した。



「ええと……それで。今更ではありますが、どちら様でしょうか?」


私以外は全員知り合いっぽい雰囲気だったから、彼女は不審者ではないのだろう。

行動は完全に不審者のそれだとしても。


「……彼女はここのオーナーだ」

「オーナーのマヤよぉ。よろしくねっ、可愛い飼い主さん! 会えて本当に嬉しいわ!」


満面の笑みで両手を持ってブンブンと振られる。


うん、とっても歓迎されてるーー逆にアヤしさ満点だ。


「さっきはごめんなさいねぇ? 貴女が聞いていたよりも可愛すぎて、つい理性が飛んじゃったのよ!」


ついでにヒトを危ないクスリか何かのように言わないでほしいのだけど。



「マヤ、さっきのはやり過ぎだ……普通に引かれる」

「だってだって! こんな可愛い飼い主仲間だなんて、テンション上がっちゃうじゃない!!」


飼い主仲間? それってつまりーー


「あの、つかぬ事を伺いますが。お二人の関係って……」


「……だから、不動産屋のオーナーと、その従業員だ」

「いやあね、他人行儀な言い方しなくてもいいじゃない。私達は飼い犬とそのご主人様よ!」


ああ、なるほど。

さっきは衝撃でスルーしてしまったけど、彼女の方が雇い主兼飼い主なのね。

おじ様の方は番犬ならぬお留守番犬だったのか。納得だわ。


さっきおじ様がマヤさんのことを後ろから抱きしめたように見えたから、私ったらつい変な勘違いをーー



「あ、その二人結婚してるから」




ーーなんですと?!

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