22。直接転移は疲れます
「とりあえず、この後は服屋に寄りましょうね。それとさっきの雑貨屋にももう一度行きましょうか」
日用品とかも入り用でしょうからと続けられ、力なく頷き返す。
部屋を一通り確認し、もうここを借りよう、とさっくり決まった後。
……そう言えば帰りってどうするんだろ? と考えていたら、なんとその場でさっさと転移されてしまった。
ーーいや、予想はしてたけど。
多分帰りも転移するんだろうなー、イヤだなーとは思ってたけど!
普通、行きも使った森の入り口の転位陣までは普通に歩いて移動すると思うじゃない!
心の準備くらいさせなさいよっ?! と、絶叫したかったのだが後の祭りで。
本日二度目の転移酔いに見舞われ、広場のベンチで倒れていたのだ。
……お約束の様に勧められた膝枕については、冷たい視線で拒否しておいた。
「ほんと、なんて事してくれるのよ……」
「えー、だって歩いて戻るの面倒じゃん」
「人間でも繰り返せば少しずつ慣れてきますから。転移酔いもマシになっていきますよ」
そんなことを言っている二人も、今回は少し怠そうな顔でベンチに座り込んでいた。
入り口部分に転位陣を使わないだけでも、それなりに術者に負担が掛かるらしい。
……まあシアンもマゼンタもぐったりしていたお陰でおんぶで連れて行かれず済んだから、まだマシだと思うしかない。
こんな街の中心部で晒し者になったら心理的なダメージがハンパないし。
「いや、結構あるあるな光景だからさ。そんな目立たないと思うよ?」
……あるあるなんだ。猫におぶわれて移動するのがよくあることって……。
あ、届け物屋の仕事で、その辺のフォローまで入っているとか? それだと確かにありそうね。
「さて、と。そろそろ動けそうですか?」
「う、んと。多分大丈夫」
はあ……魔法陣なしでの直接転移キツすぎる。
次やろうとしたら頬っぺた引っ叩いてでも止めよう。
うっかり体調悪い時とかに転位されたら、本気で吐きかねないもの。
ヨロヨロと身体を起こすと、さっと腕を取られて立たされた。
「で、腕に掴まるのと肩支えられるの、どっちがいい?」
「……自分一人で歩くって選択肢は?」
「ありませんね。どちらか選んでください」
じゃあ掴まる方でと答えると、両側から腕が差し出される。
シアンの方にだけ掴まると、マゼンタの方から「なんでだよ!」と抗議された。
「アンタが何の断りもなく、いきなり直接転移をやらかしたからよ」
「シアンも一緒に転移しただろ?!」
「ーー私を羽交い締めにして逃げられなくしたのは誰だったっけ?」
うっ……と言葉に詰まるマゼンタ。うん、自覚があるようで何よりだわ。




