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135。まったりランチのお味は

「ここって……まさかブックカフェ?」


シアンがまずはランチをと言って連れてきてくれたのは、元の世界と変わらぬブックカフェだった。


壁に並んだたくさんの本棚。壁に飾られた本。明るすぎない照明に、邪魔にならない程度に置かれた観葉植物。

手前には適度な間隔でカフェテーブルが並べられ、お客さん達が思い思いに本を読みながらお茶をしたり食事を楽しんだりしていた。



「こちらではそういう名称ではないのですがーーソフィーの世界にも同じような場所があるんですか?」

「ええ、雰囲気もそっくり! お気に入りのお店もあって、結構通ってたの。ーーこのお店もとても素敵ね」

「ふふ、気に入って頂けたようで良かったです。食事も評判がいいんですよ?」

「そうなの? すごく楽しみだわ」


そんな会話をしながら、予約していたという奥の席に通されてメニューを渡される。


パスタにハンバーグにグラタン。キッシュなんかもあって、料理はどれも元の世界と変わらないようなラインナップ。

メインを選ぶとワンプレートにサラダとスープがつくスタイルらしい。


結局私はフレンチトースト、シアンはサーモンとほうれん草のキッシュを選んだ。


料理が来る前にいそいそと本棚に向かい、気になる本を探して戻ればシアンに笑われてしまった。


「本当に本が好きですね」

「あっ……ごめんなさい。予行演習とは言え一応デートなのに、一人で本読んでちゃダメよね……」

「いいですよ。僕も何か探してきますから」


そうしてお互いに本を読み、たまに他愛ない話をしながら料理を待つ。

届いたプレートの感想を言ったり、お互いのお皿を交換したり。


なんともまったりした時間ーーとても落ち着くし私は普通に楽しいけど、これって予定していたデートとは違うような?

どう考えてもこれはシアンのやりたいことじゃなくて、私の好きそうなことに合わせてくれてるわよね?

困ったな、今日はシアンの好みを探ろうと思ってたのに。


出来立てのフレンチトーストを口に運びながら、前に座っているシアンを盗み見る。

足を組んで綺麗な姿勢で本を読む姿は、写真の隠し撮りとかしたら売れそうなくらい様になっていた。



うーん……なんで私こんなイケメンとデートしているんだっけ。

いや、イケメンと言っても猫だし、自分の飼い猫だけど。



あと薄々気づいてはいたが、さっきからカフェにいるお客の女の子達の視線が痛い。


面と向かってジロジロ見てくることはないが、こちらをちらっと見て『なんでこの二人が一緒に居るんだ』って顔をした後、シアンの首輪を見て納得したような笑みを浮かべるのが何とも言えず不愉快だ。


しまいには“あの子飼い猫をはべらして悦に浸ってるんじゃない?“という囁き声までばっちり聞こえてしまって、私は読んでいた本を閉じた。


シアンが無駄に美形なのも、私じゃ釣り合いが取れてないのも元から分かってるけどーーそれにしたって散々な言われようだわ。



こうなっては本とか読む気分じゃないし、折角の料理にも予約してくれたシアンにも悪いけど、一刻も早く食事を終えて店を出たい。


流石にデート中に相手の目の前でため息をつくわけにもいかないから、本を返す体で席を立つ。



硬くなった表情を見せないように横を向きながら本棚に向かおうとした次の瞬間、私はシアンに捕まえられ、あろうことか彼の()に座らされてしまった。

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