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119。騒動の夜が明けて

「ん……あれ、私……」

「気がついたか」


ボンヤリとした頭で声のした方を見ると、寝ていたベッドの傍に何故だかリュウおじ様が所在なさげに座っていた。




「あれ、おじ様……ええと、お久しぶりです?」

「言うほど久しぶりじゃないがーーまだ寝惚けてるか?」

「?」

「いや、いい。ーー起きられるか? 少し水分を摂った方がいい」

「? あ、じゃあ……」


妙に気を遣ってくるおじ様を不思議に思いながら、私は体を起こしてコップを受けとる。


中の果実水を飲み干して手を戻すと、服の袖口から自分の手首が見えてギョッとした。



「……思い出したか?」

「はい……」


肌に残った赤いロープの痕は、目を閉じる前に起きた事件を連想させるには充分だった。


「先に言うとな、まだ事後処理の真っ最中ではあるが人質は全員無事だ。犯人側にも死人は出ていない」



……つまり怪我人は出たんだろうと思うものの、予想はしていたことなので驚きはなかった。


あの場にマゼンタが来た時点で犯人が無傷で済まない気はしてたしーーあの不自然な眠気はクスリか魔道具によって強制的にもたらされたものな気がしている。

だとしたら私を眠らせたのはマゼンタで、その後私に見聞きさせたくないような事があったと考えるのが自然だ。


ただ、おそらくわざと曖昧な言い方を選んだおじ様に追求する気にはなれず「それなら良かったです」と言うに留めた。



「ーーあの。できたら事件のこと、もう少し詳しく聞きたいんですがーー」

「ああ、嬢ちゃんも今回は当事者だからな。他言しなければ聞く分には平気だろう」



おじ様から聞かされた話によれば、計画自体は女王様(エリザ)は事前に把握済みだったらしい。

誘拐犯側の動向も、モーリタリア共和国が裏で手を引いていることも、リンドバーク辺境伯の末娘ーーオルトさんの妹が捕まっていることも全て理解した上で、一網打尽にする機会を窺っていたという。


なんでも城にも今回の誘拐劇絡みのスパイが何人か入り込んでいて、そこから筒抜けだったそうだ。



「読心スキル持ちがいるところにスパイなんて馬鹿じゃないかと思うだろうがーー女王と深く関わったことがない人間は、実際そんな能力が存在してるかも半信半疑なんだよ」


そう言って微苦笑を浮かべるおじ様に読心スキルってそんなに珍しいのかと問えば、エリザ以外に持ってる人間は聞いたこともないと言う。

つくづく、あの女王様の能力はチートもいいとこだ。



ーーそれにしても。


「今の話だと、私は大分余計なことをしちゃったんですね……」


別に無理に脱走しようとしたりオルトさんと交渉しておじ様達にメッセージを届けてもらったりしなくても、あのまま大人しく捕まっていても助けが来たということなのだから。

むしろ私が動いたせいで、余計な怪我人が増えてしまった。



「嬢ちゃんは何も知らなかったんだろう? 最善の結果になるように考えて動いただけなんだ、誰に責められるもんじゃないさ。ーー頑張ったな、お疲れ様」


そう言っておじ様は私の頭をぽんぽん、と撫でてくれた。

寝落ちしてそのまま更新できませんでした、、、申し訳ない。

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