七十一話 会話
そう…あれは……ダンジョンで竜装を始めて見せたときだ。
「エマー、今からパパも竜になるからな」
なんの気なしでただ見せようと思った。エマにもこの姿の俺を見て欲しかったからな。
竜装を発動し体が完全に竜になったとき……
『パパっ!!かっこいい…っ!!』
なんて声が聞こえた。
『!?!?……エマ…っ!話せるのか!?』
『ふぇ…?エマの言葉わかるの…?』
エマは徐々に涙を流し始めた。
「わかるぞ…!…エマの言葉わかるぞ!」
抱きついてくるエマの頭を撫でる。
「……うぇ…っ!……パパぁ……っ…!」
…超可愛い。
なんか俺も涙が…。
だが一つ心の中で言ってもいいか?
………
(俺が竜になる感じ?エマ美少女ならないの?)
ヒューー
俺のその疑問に風が虚しく通り過ぎていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そうなのだ。エマと俺は会話ができるようになった。
…俺が竜化してないとできないけど。だがまだ諦めるのは早い。俺ができることはエマもできたんだ。人間の姿だってなれるはずなんだ…!!!
そう信じさせてくれ…。
俺は砂漠を進む。
温度計を取り出すと56度だった。超暑い。
だが状態異常耐性があるため俺にとっては27度ぐらいだ。
ここは今までの階層と環境が異なるためか魔物の数が少ない。俺にとってはありがたいことだが…一般の探索者はきついだろう。まずマジックポーチがないと進めないと思う。ここの情報もツブヤイターで流したが否定的な言葉が多かった。
「これじゃ進めねえじゃん」「マジックバッグなんて買えないわ」「環境が変わるとかふざけんな」「むりげー」
などなど。
マジックポーチの相場は何十億だもんな。
アイシャが作ることはできるが…ぽんぽん作れるものでもないだろう。値段も超高いだろうし。これもアイシャとは話し合わないといけない。
…魔物の反応だ。
真下から来る。俺は横に跳ぶ。
ガキンッ!
元いた場所に大きな口があった。
3mほどだろうか。見た目はサメだ。ただし口の中の歯は歯ではなく牙みたいなもんだが。
黒鬼を抜き飛斬を飛ばす。
サンドシャークはそれを潜って回避する。
(気配探知も覚えないとこの敵はきついな。これも帰ったらアップするか)
また真下から襲ってくるが…黒鬼を突き立てて終わりだ。
魔石をポーチの中に入れる。
エマが勝手に食べてくれるからありがたい。
72階の階段を目指して歩を進める。
72階までは前回エマと来た。ここからは未知だ。
気を引き締める。
まぁ…気を引き締めてもあまり変わらないけど。
出てくるのはサンドシャークだけだし日差しが強いだけの階層だし。…つまらないから走るか。
走っているとたまに岩がある。それを壊すと中にお宝があった。入っていたのはスキルスクロールだ。
メガネをかけてみると身体強化とでた。これはあたりだ。オークションに出せば1000万ほどで売れる。
その後も走って階段を探す。
「「「「グワァァァァ!」」」」
20分ぐらい走っている間にサンドシャークがついてくる。ついてくるというか殺しに来てる。
まぁ追いつかれないんだけども。
73階の階段を見つけるまでにサンドシャークは30体ほどいた。この数字から魔物が少ないのがわかるだろう。階段に降りる前に全てを片付け魔石をポーチの中に入れる。
73階も変わらず砂漠だ。
はやく80階に行こう。
75階に来た。ここにくるまでは2時間ぐらいだ。
下層に行くにつれて階層の大きさがデカくなってる。75階を進んでいくが…魔物がいない。
「フィールドボスのエリアか?」
もう少し進むと遠くに木らしきものが見えた。
視界が暑さで歪んでいるためよくわからない。
近くで見るとそれはオアシスだった。
大きな木下に泉がある。綺麗な水だ。
だが…
「キュルルルルルルッ!!」
オアシスの前には巨大なサソリがいた。
「サンドシャークじゃないのか」
10階層ごとに魔物が変わっていたが…目の前にはサソリがいる。
「ダンジョンって未知だな」
鑑定メガネで見ると
デススコーピオン
Lv140
とでた。
相変わらずフィールドボスは強いな。
…倒すか。
身体強化を発動し黒鬼を抜く。
「キュルルルルルル!」
デススコーピオンは尻尾から緑色の液体を飛ばしてきた。それを横に跳んで避ける。
じゅうううう
黒鬼で受けなくてよかった。
距離を詰め尻尾をぶった斬ろうとするが…
ガキッ!
斬れなかった。
鋭い爪で薙ぎ払ってきたので避ける。
たぶん手で止めれたが…俺は刀の修行に来てるんだ。絶対に刀で倒す。
今度は斬鉄を使用した状態で尻尾に斬りかかる。
スパッ!!
簡単に斬れた。
「キュルルルルルルッ!?」
痛みで喚いてるのか怒りなのか。
爪で攻撃してくるが…斬鉄を使用した黒鬼に細切れにされて終わりだ。
頭部に飛斬を飛ばして戦闘終了。
「……。やっぱスキル使えば楽勝だな。もう気にしなくていいかも」
MPも無限ってぐらいあるし気にせずスキルは使うか。強敵相手にスキルなしで挑むほうがどうかしてた。
デススコーピオンを倒し殲滅になったことを確認して先を急いだ。
今79階を走っている。デススコーピオン以降出てくるのはサソリになった。
俺は今二体のデススコーピオンに追われながら考えている。
…フィールドボスを倒すのは良くないのではないか?
と。
俺と真琴でフィールドボスは倒してきたが…それだと独占にならないだろうか。さらには他の探索者は強敵を倒す経験などが不足しここぞって時に動けなかったりするのではないか。
本音を言えば…俺は面倒ごとが大嫌いだ。
召喚魔物が現れるたびに呼ばれたりするのは勘弁してほしい。だが、他の探索者がレベルを上げていけば俺は気ままにダンジョンに行くことができるようになる。これはウィンウィンの関係ではないだろうか。
そうと決まれば…こいつらからは逃げるのみだ。
俺が倒してもレベル上がるかわからないしな。
「「キュルルルルルル!!」」
「見逃してやるから追いかけてくんな」
そう言っても通じるはずはなくボス部屋にたどり着いた。開けている余裕がない。
すぐ後ろにはデススコーピオンがいる。
「……」
いいこと思いついた。
俺は縮地でデススコーピオンの尻尾を掴み…
遠心力を使って投げた。
「おらぁぁぁぁ!!」
50mぐらいだろうか。次はもう少し飛ばしたい。
もう一体の尻尾を掴みまた投げる。
「おらぁょぉぉぉ!!!」
おっ。前のやつより飛んだな。
「記録更新」
「「…キュルルルルルルッ!!!!」」
おおぉー。めっちゃ怒ってる。
追いつく前に扉の中に入った。
「よし!ボスは誰かなぁ…?」
いたのはデススコーピオンをちょっと小型にしたサソリだった。
もしかしてさっきの二体親?
魔物にそういうのがあるかは知らないが…ついそんなことを考えた。
「キュルルル!」
まぁ…こいつは倒さないと進めないから倒すんだけども。
「こんにちは。そして…さようなら」
俺はサソリの後ろにいた。黒鬼を鞘におさめる。
サソリは光となって消え魔石と宝箱が残った。
宝箱を開けると
サソリのネックレス
が入っていた。帰ったら鑑定してもらおう。
読んでいただきありがとうございます。
下にある評価を押していただけると嬉しいです。
ブクマ、感想も待ってます。




