七話 勇者出現!?
「おお、無事だったか。なかなかでてこないから心配したぞ。カードを確認するから出してくれ」
さっきと同じ自衛隊の人にそういわれた。
たしかに日はもう沈みかけてる。
だいたい4時間ぐらい潜ってたのかな?
あっという間だった。
「確認した。あそこに綺麗な建物があるだろう。あれが川越支部だ。戦利品を持って行ってくるといい」
「はい!お疲れ様です!」
そういって僕は駆け出す。
扉を開け中に入る。
おぉー! 酒場はないけど冒険者ギルドみたい! あくまで僕の想像だけど。
受付らしきものが10個ほどあるが今は二つしかやってないみたい。
理由はたぶん人が来ないからだ。周りを見ても僕以外誰もいない。
受付に向かい
「買取お願いします!」
と言いバッグに入ってるゴブリンの魔石70個とギザギザシリーズ10個を出す。
「え? こんなに狩ってきたんですか!?」
「はい!楽しくなっちゃって気付いたらこれだけ集まってました」
「少々お待ち下さい」
といわれたが暇なので隣の受付の人に話しかける。
「すみません、受付の人もみんな自衛隊の人何ですか?」
「いいえ?違いますよ。私たちはバイトです」
あ。バイトか。
「やっぱりこのバイトは採用基準とかあるんですか?」
「受付は女性のみと書いてありましたね、その方が探索者の人たちもやる気出るんじゃないですか?」
微笑みながらそう言われる。
たしかに探索者講習会でも見た感じ7:3ぐらいで男の方が多かった。
なんか照れ臭いな。
「査定が終わりました。ゴブリンの魔石70個で700円。武器10個で5000円。計5700円になります」
まじか! 美味しすぎないか?1〜3階でこの値段でしょ。潜るの楽しみになってきた! 途中武器捨てなければよかったな。次からは持ち運びたい。
お金を受け取り挨拶をして支部を出る。
気分はルンルンだ。 人目も憚らずスキップしちゃうっ!
このあと、通行人の通報を受け警察に追われた。
「不審者がスキップしています! 絶対今から強盗するつもりよ!」
とかいわれてるのに気づきダッシュで逃げた。
自宅に着いたのは20時ごろ。
すぐさまお風呂に入る
と思った?
のんのんのんっ!
まずは今日の疲れを癒すためデーブイデーなのよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
事を終えお風呂に入りコンビニ弁当を食べ、今はリビングでスマホをいじっている。
ツブヤイターで情報収集だ。
トレンドを見ているとダンジョンに関わる事以外に『勇者現る』とあった。
「職業勇者がいるのか!?」
と思いトレンドを押したところ。
写ったのは上下藍色のジャージに帽子を深く被りマスクをしたふしん…じゃなかった。僕だった。
インタビューの動画が流れている。
『とても緊張していますよ。死ぬわけにはいかないですし。帰ったらあすかきら◯の限定生産版DVDも待ってますし僕は頑張りますよ!』
どうやらこれがテレビで流れたあと拡散されまくっているらしい。
なるほどね。これが原因でさっきおばちゃんに通報されたのか。なんと嘆かわしい。
ピロン
ラインの通知音だ。
そういえば今日朝から開いてないな。
母さんからだ。 どれどれ。
『みてこれ!なぎすっかり有名人じゃないの! 母さん嬉しいわ〜!お父さんにも見せるわね!』
うん、母さんはどうやら平常運転みたいだ。
父さんからもきてる。
『どうしてこんなバカ息子を持ってしまったんだ…。なぜこんなことに……』
どうやら羞恥の念に耐えてるみたいだ。
ちょっと悪いことしたかな。
『一つお前に確認したいことがある…』
音声録音で送られてきた。
なんだろ。
ダンジョンのことかな?
『あすかきら◯限定生産版DVDはどうだった?感想求む。父より』
うん。やっぱり僕の父さんだ。
『形が最高でした』
と音声録音で送ってみる。
最後は由衣だ。
僕は鈍感ではない。何がやばいかにも気付いている。
『あんた次あった時覚悟しなさいよ。そのDVDぶっこわしてやるんだからっ!』
やはりこいつは悪魔だった。
『そんなこと僕と父さん。全国のきら◯ファンが許しません!』
よし。これでいいだろう。
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