六十四話 エマが世界一かわええ
本屋で小学1年生〜6年生までの国語ドリルを買う。算数とかはさすがに無理があると思い買わなかった。覚えたところで意味ないしな。
あとは簡単な歴史の本も買ったが…これは漢字が読めるようになってからだ。
竜に常識はいらないかもしれないが……もし……もし人化できるようになった時のためにもな。教えなきゃならんしな。
「よしっ!エマ、今から文字を覚えてもらおうと思う。文字っていうのはこういうもののことだ」
『あ』に指を指してそういう。
「これは『あ』だ」
「きゅ!」
「これは『い』だ」
「きゅ!」
「これは『う』だ」
「きゅ!」
「いいぞ〜その調子だ!」
「きゅい!」
「これは『え』だ」
「きゅ!」
「これは『お』だ」
「きゅ!」
「これは……………」
アからンまでを教えたあとちゃんと覚えてるかチェックをしようと思う。さすがに一回やっただけでは覚えられないだろう。俺なら無理。
「エマ、『あ』はどれだ?手で指してくれ」
この指示でエマが従えば完全に日本語がわかるということになる。…どうだ?
床に広げてある文字をエマは見つめる。
「きゅい!」
一声鳴くと『あ』の文字に近づいていき…ペシッ!っと両前足で叩いた。
「なにそれかわいい……」
…もう文字が読めるとかどうでもいい。この可愛いエマをずっと見ていたい。
「あってるぞ!すごいなエマ〜。うちの子天才!」
頭を撫でているとひっくり返ってお腹を見せてきた。お腹を優しく撫でると手でホールドしてきた。
「かわいい!まじでエマたんかわいい!」
少し持ち上げるとコアラ状態だ。
エマ愛が止まらない。止められない。止めるつもりもない。
その後も文字を当てていき平仮名はマスターした。明日からは濁点や漢字も教えていこうと思う。
夜、エマに魔力を与えているときに気づいた。目の色が碧眼ということに。アイシャと同じでとても綺麗な碧眼だ。目がちゃんと開くとくりくりしててかわいい。
背中にある二つの突起だったものも今は翼のようになっている…まだ小さいが。体毛は変わらず白で鱗になったりはしていない。体長も両手より大きくなった。成長が早くて何よりだ。
「明日から何日か今日みたいに勉強するか?」
「きゅいっ!!」
前足を上げて返事をする。
(この娘っ!可愛すぎる!!!!)
深呼吸をして心臓を落ち着かせる。
「よしっ!明日からのためにしっかり寝ような…!……おやすみ、エマ」
「きゅいぃ……」
(これが……推しが尊いってやつなのかもしれない)
娘だが。
翌日からはダンジョンに行くことなくエマの教育に専念した。教育というよりは文字、漢字、言葉を一方的に話す独り言だったが。それでもエマはちゃんと覚えてくれたようで『3回回って、きゅい!』もできるようになった。可愛い。
簡単な本ならエマは自分でページをめくって読むようになった。内容を理解してるか不明だが。一度アンパンマンを読んでいて読み終わると空を飛ぶ真似をしていた。いつか君は翼で飛べるようになる。可愛い。
外に出て目に入るもののほとんどを俺は教えた。エマは散歩気分だったのか、すごく気持ち良さそうだった。今度一階層の草原でピクニックするのもいいかもしれない。エマたん可愛い。
この数日間でエマはだいぶ成長したと思う。大きさはあまり変わらないがトカゲではなくなった。まだ飛べないが翼もあるし角もちょこっと生えてきている。角エマも可愛い。
そろそろエマのレベル上げをしようと思う。
そのためには攻撃手段がないといけないわけだが…。
「エマは何かスキル持ってる?」
スキルの説明もしたから理解してくれているはず。
「きゅい?」
わからないみたいだ。
「ステータスオープンって言える?」
これは無理があるかもしれないが…
「きゅい!きゅいぃ!」
でちゃったわ。エマの名前、種族、レベル、ストックが書いてある。
「このストックって何かわかる?」
エマは考える素振りをする。下を向いたり上を向いたりゴロゴロしたり。
(かわいい…)
しっかり激写して保存しておく。
その後も長い時間エマはストックという文字と睨めっこしていたが…
「きゅいっ!」
そう言うと同時に小さな石を放ってきた。
パシッ
手で受け止める。
「石を飛ばせるのか!すごいなぁ」
頭を撫でると嬉しそうに鳴く。
撫でている間に考える。さっきまでストックは46だったのが今石を飛ばしたことで45になっている。このストックは魔法使用回数と考えていいだろう。ただ、この石を飛ばしたのはスキルなのかがわからない。
「エマ、他に何かできる?」
「きゅい!」
そう言うと炎纒を一瞬だけ発動した。
すぐに消えたが。
もしかしなくてもこれは…今まで食べた魔物の魔石の能力もしくは魔法を使えるのでは?さっきの炎纒が一瞬で消えたのはよくわからないが…。
試してみる価値ありだ。
そうとわかればさっそくダンジョンに行ってみるか。まずはレベル上げだ。
準備をして家を出る。エマは頭の上だ。エマも気持ち良さそうだし俺も帽子感覚なので問題無い。
ハンビルを出ると若者からの目線が強いが気にしないでダンジョンに行く。
パシャパシャ!
めっちゃ写真撮られるが気にしない。変顔したりなんかたまにしかしない。おっと。小学生か?
変顔ダブルピース。
パシャ!
ダンジョンに入るが今日は一階だ。
エマが倒せなきゃレベル上がらないからな。
久々に一階層に来たけど……ここ遊園地だっけ?
めちゃくちゃ人いるんだけど。
これは魔物いないかもしれない。
「きゅい?」
「人が多すぎてな。これじゃ魔物はいないかも」
「きゅい!」
先を急かすように髪の毛を引っ張ってくる。
「やめて。はげる」
一度外に出てまたダンジョンに入る。今度は10階からだ。
11階に降りる。さっきよりは人数は減ったと思うが…普通にいる。視界に何人も入る。
まぁ……狩れるとは思うからここでやろう。
「今から熊を連れてくる。それにエマは攻撃するんだ。石を出してもいいし炎纒で触れてもいい」
「きゅ…きゅい!」
初めての狩りで少し緊張してるのだろうか。可愛い。
気配探知を発動するが…ほとんどの反応は複数人。確かここの熊は一匹狼だったはず。
「歩いて探すか…」
こうも人がいると探知は意味がない。レベルを上げれば魔物だけを探知することもできるのだろうか。
考えながら歩いていると前から近寄ってくる3人の男女がいた。15歳になったばかりだろうか。
「奧崎さんっすよね!?」「ずっと憧れてました!」「会えた…っ!」
…若者に尊敬されるのもちょっといいかも。俺もまだ若いが。というかこいつハーレムか?女の子2人も侍らして…なんとうらやまけしからん。
「俺たち!奧崎さんに憧れて探索者に最近なったんっす!」
「ありがとうございます」
「聞きたいことがいっぱいあるんすけど!」
「「私たちもです」」
いっぱいは困る。何よりめんどい。
「1人1個だけでお願いします。遊びにきたわけじゃないので」
「はい!まず俺からいいっすか!?レベル教えて欲しいっす!」
「すみません、個人情報は言えません」
「やっぱそういうこと言われてるんすね!かっけぇ……」
いや。スポンサー契約とかしてなくても個人情報は言わないだろ。
「なら持ってるスキルをなんでもいいので一つ教えて欲しいっす!」
これも個人情報だが……まぁいいか。
俺は足を動かして歩き始める。空中を。
普段の天歩は足場を作ってそこを蹴って移動したりだが、こうやって空中を歩くこともできる。
「きゅい!」
エマもご満悦だ。
「すすすすすげぇぇぇぇぇぇぇ!!」
目ん玉飛び出るんじゃないだろうか。それほど目が開いてる。女の子2人もスターを見るような目で見てくる。癖になりそう。
「なんていうスキルなんっすか!?」
「天歩っていいます。詳細は秘密で」
口元に指を当てて「シー」っという仕草をする。
どう?このシークレット感。謎多き男はさぞモテることだろう。ふっふっふっ。
「「……尊い……」」
女の子ウケも良さそうだ。
「つ…次っ!わたしからいいですか!?」
「どうぞ」
「かかかか彼女はいますか!?」
なぎは女の子から100のダイレクトアタックを受けた。
「い…いないよ……」
「キャー!!いないって!」
「チャンスある!」
何やら女の子同士で話しているが俺は心にダメージを負い、絶賛空中でエマを撫で続けている。
「エマは可愛いなぁ。もう一生彼女できなくてもエマがいれば幸せだ」
「つ…次!私から!……どんな女性がタイプですか!?」
どんな女性か…。あげたらキリがないけどドン引きされるの嫌だし2、3個あげよう。……ソワソワして発言待ってるし。
「ぐいぐい系でスタイル良くて……綺麗で優しい人かな?…でも好きになったらその人がどんな人でも全て愛せるかもしれないですね」
恋愛したことないからわからないけど。
「ぐいぐい系!?」
「チャンスあるよ!」
何やら嫌な予感が。
「わわたしなんてどうですか!?ヴァージンですっ!」
ぐいぐい系とは言ったけど今告るの?早くない?
それより処◯か。俺、童◯だし最初はやっぱ処◯がいいよなぁ。
…最近エマがいて出来てなかったから急にムラムラしてきた。エマ離れてくれないし本当にどうしよ。
というか目前のこの子どうしよ……。
読んでいただきありがとうございます。
もし、この作品が面白いと思ったら下にある評価を押していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。




