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六十三話 覚えていろ

 




「もしかしなくても触るのは…」


「「無理」」


「近寄るのは…」


「「無理」」


「…視界に入るのは…」


「「無理」」


 こ…こいつら。


「何もできねえじゃん。諦めろ」


「…諦めろって言ったなぎが諦めろ。42レベまで頑張った。あとは任せた。そういう約束」


「そう言われてもな……。走るしか方法ないぞ?」


「…たぶん私の作ったバッグの中入れます。千尋ちゃんと私が入ってなぎ君に40階まで運んでもらうのはどうでしょうか」


「しょうがない。それで連れて行ってやる」


 そう言うと2人ともぱぁっと笑顔が咲いた。普段能面の千尋も嬉しそうだ。


「やったね!千尋ちゃん!」


「…いい仕事した」


「あくまでアイシャの頼みだからなー。別に千尋はおまけみたいなもんだし。なんなら森の中に捨て「やったら呪う」………冗談だ」


 ガチで呪い殺されそう。触らぬ幼女に祟りなしだ。


 その後も他愛のない話をし続けた。途中シャッター音が何回か聞こえて気になったが害はなさそうなので無視した。


 1時間の休憩が終わり気合いを入れてスタジオで待つが…



「はーい、3人ともお疲れ様ー」


「お疲れ様です」


「…ん」


 2人はそう返事をすると衣装部屋に消えて行った。


「え?どゆこと?」


「ごめんね、奧崎君がガッチガチだから撮る方法変えたのよ。さっきまでシャッター音聞こえてたでしょ?休憩中の普段通りな感じを撮らせてもらったの。おかげでいい写真撮れたわ!!」


 写真を確認してはだらしない顔をしているカメラマンさん。…良い写真が撮れたならいいか。


「今日はもう終わりなんですか?」


「ええ。帰っても大丈夫よ」


「わかりました。ありがとうございました」


 今着ているこの服はつばめさんから許可を貰っているのでこのまま持ち帰る。

 来た時に着ていた服を衣装部屋に取り行く。


 ガチャ


「「…え?」」


 ドアを開けると下着姿のアイシャと千尋がいた。


 すぐさまアイシャへと眼球をロックオンする。


(やべぇ。超スタイルいいじゃん!白い肌も最高。紫…なんというか色っぽすぎるな。谷間なんて深すぎて深淵の領域だ。あそこはさぞ気持ちがいいのだろう。胸の間とか下らへんは蒸れるのだろうか。いい匂いしそう…ちょっと舐めたいですねはい。一億払えば……あるいは。というか赤面した姿もグッジョブ!よりアイシャの良さを引き立てております。アイシャのお母様。産んでくれてありがとう。そして巡り合わせてくれた運命に感謝します)


 目を目一杯開き脳内に保存する。


「…ねぇ」


「なんだ千尋。俺は今忙しい。あとにしてくれ」


「…」


 千尋がアイシャの前に立ち毛布で裸体を覆う。


「ああ!俺の楽園が…」


 完全に隠れてしまったが…脳内には保存できた。認知症になって自分の名前は忘れてもこの記憶は忘れないぜ。


「…リハーサルしよう」


「ん?なんの?」


「…常識の」


「もう身についてるので結構です」


「…着替えてるのを見てしまったら?」


「ガン見する」


「…女性の裸を見てしまったら?」


「目を目一杯開き隅々まで観察をして脳内に保存する」


「…わたしは?」


「ん?そういえば千尋も下着姿だな。隠さなくていいのか?恥ずかしくないか?」


 そう聞くとプルプルし始めてドスドス近寄ってくる。


(絶壁だと思ってたが…ほんの少しだけあるな。合法ロリに変わりはないが)



「…いっぺん死ね」


 ◯ぃぃぃぃんっ!!!!!



 うおぉぉぉぉ……!!!!!痛いっ!痛すぎる!


 息子を蹴られてうずくまる。


(やべ…なんか臓器が浮き上がっ…下っ腹らへんとタマタマもやばっ……いてぇ…)


 立とうとするが全然立てない。

 意識が朦朧とする中で見たのは、顔を真っ赤にする千尋だった。







「うぅ…」



 まだいてぇ…。

 どのくらいたっただろうか。時間を確認すると午後3時ほどだった。

 2時間ほど寝てたみたいだ。


「…あのぺったんおちび……」



 良いことを思いついた。

 うへへへへへ…っ!



 股間を抑えながら自室に向かう。

 エレベーターでハンストの職員と何度もすれ違う。そのたびにおしっこ漏れそうなの?みたいな顔されたが…仕方ない。ほんとに痛い。


「きゅい?」


「おぉ……お前は優しいな。暴力的な娘には育つなよ」


「きゅい!」


 やっぱり言葉は伝わってそう。どうにか意思疎通がしたいが……それよりもう少しで24階だ。


 エレベーターが開くと………千尋がいた。



「そこどけ絶壁暴力ちび」


「…もいっかいいく?」


 そう言い蹴り上げる動作を……。


「勘弁してくれ。今でも超痛いんだ……ふふ」


 これからこいつにする仕打ちを考えると怒りなどどこ吹く風だ。覚えてろよ。



 横を通り自室に入ろうとすると


「…ごめん。そんな痛いの知らなかった」


 健気にも謝ってきた。

 …ふむ。


「気にすんな。これからは絶対にしないように」


「…うん」



 部屋に入り……



「ばかめ。謝って許されると思うなよ……っ!俺は心が広いわけじゃないからな。絶対にやりかえす!!」



「きゅい?」


「ん?お腹すいたか?」


 炎纒を出してあげる。


 がっついているの見てると和むな。


「おまえ可愛いなぁ。目もだいぶ開いたな。見えてるか?」


「きゅい!」


 食べるのをやめて返事してくれるとか……かわたん。


「そういえば自己紹介してない気がするな……奧崎なぎだ。パパって呼びなさい」


「きゅい!きゅい、きゅい!」


 エマも自己紹介してくれてるんだろう。可愛い。


 これ文字教えたら読めるようになるんじゃないか?


 そうと決まれば本屋に行こう。

 ……もうちょい痛みがひいてから。





読んでいただきありがとうございます。


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