六十二話 うまくいかないこともある
皆さんコロナウイルス気をつけてくださいねー!
ウォッシュウォッシュ!!
夜、エマにご飯をあげているとほんの少しだけだが目が開けかけているのに気付いた。
「エマっ!見えるか!?パパだぞ〜」
ちょっとパパっていうの恥ずかしい。
「きゅい!!」
かわ……かわい……かわたん。
体毛も増えてきているし成長が早い。
やっぱり魔物の王だからだろうか。幼少期に食べられたりしないよう成長が早いのかもしれない。
体長もほんの少し大きくなっている。
(…人化できるといいなぁ。エマと話したい)
腕を枕にして寝るエマを見ながらまぶたを閉じた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝、黒鬼を腰に、エマを肩に乗せ10階にいく。
他の階と変わらないが撮影場所があるという。
少し進むとアイシャが見えた。
「おはよう」
「きゅい!」
「おはようございます」
…!?エマが挨拶を……。
「きゅい?」
これでいいんだろ?みたいな感じで声を出した。
「あってるぞ!よくできました」
頭を撫でる。
毛も生えてきてつるぺたじゃなくなった。つるぺたはよくないからな。うん。大きく育つんだぞ。
「エマちゃん…人の言葉わかるんですか?」
アイシャも撫でながら聞いてくる。
「よくわからないが…竜だからじゃないか?人よりも頭がいいって聞くし」
エマは俺と周りの会話を聴いて覚えたのかもしれない。話すことは骨格的な問題で無理そうだが。
歩いていると1つの部屋についた。扉にはスタジオと書いてある。
中に入ると10人ほど人がおり一斉に振り向いた。
「…なんだ?」
「ふふ…っ。皆さんなぎ君の写真が撮りたいんですよ」
「そうなのか?聞いてからなら全然いいんだけど」
「…なにかと噂になってるので皆さん怖がってたりして話しかけづらいんです……私も未だに…緊張しますし…」
「そうだったのか。至って普通だけどな」
加えることがあれば最強の探索者ってことぐらいだ。
「え?」
「ん?なんだ?」
「…なんでもないです」
何か引っかかってるような反応だったけど、まぁいいか。その後、千尋も来て各々で別れた。
今、俺はメイク室にいる。
「……何もしなくていいかも」
そう言われてメイク室をでて衣装部屋に向かう。
ハンストが作った防具類や武器類を身につけていく。
黒を基調とした服だ。俺好みにデザインされている。布製は確かつばめさんの所しか作ってなかったはず。
(…ちゃんと仕事してて安心した)
この服欲しいから後で貰おうと思う。契約者は探索に関わるものは無償でもらえる。スポンサー契約して良かった点だ。
衣装部屋をでてスタジオに向かう。
スタッフらしき人から
「奧崎さん入りまーす」
そう言われた後に入る。
「「「「おぉ…」」」」
「じゅるっ」
感嘆の声が聞こえるが…約一名変な擬音が聞こえた。つばめさんは無視してセットされた場所に行く。
「今日はよろしくお願いします」
関係者の人やスタッフさん、カメラマンに挨拶をして撮影がスタートする。
最初は指示に従ってポーズを取ったりしていた。
コマネチとかなら全然やるんだが……女たらしがするようなキモい顔とか優しい顔でいるのは神経を使った。普段はできていることが緊張でガチガチになってしまった。
「んんー」
つばめさんや撮影スタッフの人は写真を見て納得していないようだ。
「一回休憩にしようか」
「すみません。表情とかぎこちなくて…」
さすがの俺でもこれだけ迷惑をかけると罪悪感が出てくる。
「いいよいいよ。初めてはみんなこんなもんよ。1時間後にまたきて」
そう言われるがどうしよう。
何もすることがない。
「お久しぶりです!奥崎さん!どうですかその服は!?」
つばめさんだ。
「はい。気に入りました。あとでこれ貰えるか聞きにいこうと思ってたんです」
「大丈夫ですよー!奧崎さん用に作ったものですから!それよりさっきのあのシオらしい感じはなんですかー?」
そこついてこないでほしい。気にしてるから。
「あまり慣れなくて…。『コマネチっ!』とかなら全然やるんですけど」
パシャッ
ん?なんかシャッター音が聞こえたな。
周りを見るが誰もいない。気のせいだったみたいだ。
「え。いいですね。コマネチ。美少年がやってるのもそそられますね」
「笑顔でそんなこと言わないでください」
まったく…。
「それぐらい力抜いてやればいいんですよ!」
バシィィン!
背中を叩かれた。
その衝撃でエマがビクッとする。
「あっ!ごめんねエマちゃん!」
「きゅい…」
あぶねーなって言ってるんだろう。
つばめさんと別れスマホをいじって時間を潰していると。
「なぎ君」
「おお、アイシャか。いい写真撮れてるか?」
「はい!バッチリですよ!…なぎ君はどうですか?」
「ちょっとな…。こういうのは難しい」
「ふむふむ……」
何か考えてからどっか行った。
なんだったんだ?
スマホに視線を戻すとすぐにアイシャが帰ってきた。
「なぎ君、一緒におしゃべりしましょう!」
そう言うと歩き出した。
「はやくっ!」
ついて行ったところはスタジオの真ん中だ。
千尋がいる。
「…おそい」
「ごめんね」
「きゅい!」
エマが挨拶をする。
すっかり挨拶は定着した。
「エマちゃんこんにちは」
「…はろー」
「ここで話すのか?」
スタジオの真ん中だが。
「今度行く30階からの話しましょう!」
「…それがいい」
どうしてここで話すのかわからないが…いいか。
「30階からは知っての通り芋虫だ。エマの目が開くまで行けないが…明後日ぐらいには行けると思う」
「…他には」
「35階がセーフティエリアだ。ここまで行けば一度休憩を取れるぞ」
「あの中を…5階層も……?」
「……無理」
2人ともガタガタ震えている。ここで朗報かわからないが…
「36階からは芋虫もいるが1m超えの蝶もいるぞ」
「蝶々さんなら…ちょっと大きいけど大丈夫…かな」
「…ストローみたいなので刺されて生きたまま体中の水分を吸われる………無理」
2人ともガタガタ震えている。ここで朗報かわからないが…
「38階もセーフティエリアだ」
「……」
「…巨乳」
おっとぉ!?
「さ…39階に入るとすぐに滝があるんだ。木に囲まれてて幻想的だったぞ。……ほら」
滝をバックにして真琴と撮った写真を見せる。
「すごい…」
「…隣だれ?」
すごいよな。ダンジョンは幻想的な場所が多い。最近ではダンジョン巡りみたいなものも探索者の間で流行ってるとか。
「こいつは…親友だな」
真琴がもっと強くなってると思うと自然と笑みが溢れる。
パシャッ!
ん?また誰か写真撮ってるのか?
周りを見るが誰もいない。
「かっこいいですね…」
(!?なんだと!!真琴次会ったらぶちのめす)
「…まともな人?」
いやいや。そこでどうして怪訝な表情するんだよ。まるで俺の周りは変人の集まりって言われてるみたいじゃん。やめて。
「まともだぞ。…そういえば千尋、こいつが『2番』だ」
そう言った瞬間に敵意剥き出しになった。
「…ない」
「そう言われてもな。今もダンジョン行ってるなら実力は120レベルぐらいだし」
この前で100弱のステータスだったからな。次会うのが楽しみだ。
「「え」」
2人の声が重なった。
驚くのも無理はないだろう。
今の最前線は俺と真琴を抜いたら橋本杏奈とか千尋だし。
「…パワーレベリングだめ」
そう結論づけたようだ。初期の頃は投資したがお金も返してもらってるし。きっかけを作っただけに過ぎない。
「そんなことしてないぞ。あいつの実力だ」
「…なんでそんな強いんですか?」
もっともな疑問だろう。だが、スキルとしか言えない。ダンジョンが現れる前は異性に求めるものの多くは性格や顔、年収などが上位に入っていたがダンジョン出現後はスキルもそこに含まれるようになった。それほどスキルの恩恵は強い。
「まぁ…スキルが強いとしか言えないな。2人ともチート級なんだし努力すれば追いつける……はず」
「…そいつ泣かす」
「うん。やめてあげて?ほんとに泣いちゃうから」
「話戻しますけど…40階のボスは……」
「蝶と芋虫だ」
満面の笑みでそう伝える。
「「はぁ……」」
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