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四十四話 素手でできた

 


 カンッカンッ!


 部屋がいくつもありどの部屋からも音が聞こえる。職人たちが大勢いる。


(この中から選ぶのか)


「…うるさい」


「我慢しろ。お前は武器の発注済んだのか?」


「…杖頼んだ」


「どこで?」


「…あそこ」


 そう言って指さしたのは一番手前。


「……お前動くのめんどかっただけだろ」


「…うん。でも当たり」


「俺も探す」


 そうだな。直感で行くか。気分だ。


 歩きながら中を覗き進む。


 奥へ奥へと向かい、一つの部屋で立ち止まる。

 特に理由はないが足を止めた。


「ここにする」


 中へ入ると


「よう。若造。なぜここへきた」


 そう話す50代ぐらいの無精髭がいた。


「なんとなくです」


「…なんとなくか」


「刀を作って欲しいんです、刃渡りは求めません」


「お前…ここが刀専門って知っててきたのか?」


「え!?専門なんですか?それは嬉しい限りです!」


「…お前さんちと勘がいいようじゃの。お前さんの刀儂が作ってやる」


「ありがとうございます!お名前聞いてもいいですか?」


「岡崎 刀介じゃ。お前さんは奥崎なぎだろう?」


「はい、そうです。刀介さんよろしくお願いしますね。出来上がったら連絡して欲しいんですが」


「生憎と儂は携帯をもっとらん。明日の夕方以降にこい」


 今の時代で持ってないって偏屈か。


「わかりました。明日の夕方以降に来ますね。よろしくお願いします」




「用事も済んだな。どうするか…」


 そういや食い物ないな。近くのスーパー行くか。


「ロリッ娘、おりてくれ」


「…妹?」


「のーだ。今からスーパーに買い出し行くからおりてくれ。このままじゃ行けない」


「…認めるまで離さない」


(こいつ…しょうがない)


 部屋に戻り縮地を使う。

 7mまで一瞬で移動しロリッ娘の魔の手から抜け出す。


「…あ」


「甘いぞロリッ娘、じゃあな」


 階段で一階まで降りる。追ってくる可能性もあるからステータス頼みで爆走だ。


 外に出る時にマスクと帽子を被りスーパーを目指す。スーパーは徒歩4分ほど。何度でもいう。立地神。



 スーパーで一週間分の食料を買い100円ショップで食器を買う。


 そういえば忘れていたが今日はクリスマスだ。

 まぁ彼女いないから関係ないけどね。虚しくぼっちで飯食うわ。



 他に必要なものもないので帰るが…。


「…おい、そこ通せ」


「…いや。さっき逃げたからもう逃がさない」


「まじで通せ。食材が腐る」


(生モノもあるんだ。人目もあるから本当通してくれ)


「…なら妹認める」


「あーはいはい、わかったから通せ」


 もう適当に流すしかない。


「…ほんと?」


「ああ。まじだ。通るぞ」


「…うん」


 部屋に戻り冷蔵庫に入れていく。



 特にすることもなくなった。

 武器は明日だし…買い物もした。


「これダンジョン行く以外になんもなくね?」


 そう結論付けリュックに携帯食料と水を入れ家を出る。


(真琴に会えるといいな)


 渋谷ダンジョンに入り一階層を適当にぶらぶらする。この草原が超気持ちいいのだ。

 長めにぶらぶらし二階層に降りる。

 二階層も草原だった。少し木が多くなった程度。

 襲ってくるウルフをデコピンで倒しながら進む。

 渋谷ダンジョンは探索者が多い。ここまででもかなりの人とすれ違っている。

 すれ違うたびに握手だったり写真を求められるが探索中を理由に全て断った。


(しょうがない。承諾してたら進めないし、俺探索者で芸能人ではないし)


 3階層に降りるとまた木が多くなった。

 相変わらず襲ってくるのはウルフだが、知能が高いのか木の影から襲ってきたり後ろからだったりとゴブリンとは大違い。


 俺はここで重大なことに気付いてしまった。

 はたして俺の適正階層は何階なんだろうと。

 魔王が1%の確率と言っていた。つまりはあいつより強いやつダンジョンにいないんじゃないか?危機を感じて召喚すると言っていた。召喚される奴よりダンジョンの魔物は弱いだろう。弱くなかったら召喚の意味がない。


「…まさかな。はは…。魔王より強いやつぐらいいるだろ。いなきゃだめだ」


 この渋谷ダンジョンに化け物がいることを願う。


 3階層に降りてからはずっと走っている。

 声をかけられるのも面倒だし人が多いことから魔物も宝も少ないだろうという結論に至った。


 4階層も草原フロアだ。ただ1つだけでかい木がある。

 気になり向かってみると木を斬ろうとしている人とギャラリーがいた。


 木は太い。厚さ5mはあるだろうか。


 ギャラリーから離れた位置で見ている女性に話しかける。

 …やっぱり男よりは女性でしょ。


「すみません」


「はい、なんです……え?」


 おぉ。硬直してしまった。


「あの木を切ろうとしてるみたいですが切ると何かあるんですか?」


「あ…えっと、切ると報酬が貰えます。経験値だったりアイテムだったり…。その…奥崎なぎさんですよね?」


 報酬か。ちょっとやってみたい。


「ご存じですか。ありがとうございます。あれやってみたいんですけどどうしたらいいですか?」


「…!!その…えっとあ、あそこに並びます!!」


「わかりました。教えていただきありがとうございます」



 そうして列に並ぶと


「うおっ奥崎なぎ!」 


 とみんな驚きだし


「スターの実力確かめてみようぜ!」


 と誰かが言い出し一番前に来た。


「いいんですか?順番譲ってもらっても」


「ああ。お前の実力がみんな見たいんだよ」


「わかりました…この木って剣で切らないとですか?」


 武器を今日は持ってきてないし。


「まぁ、みんなは切って報酬もらってるぞ」


「わかりました」


 スパッッ!!!!



(おっ、やっぱり手でも切れた)


 派生スキルの飛斬と居合を手でやってみたが成功したようだ。

 スキル説明にも斬撃を飛ばせるしか書いてなかったしできると思ってやってみた。


 常識に囚われてはいけない。


 ヤジが飛んでくる。


「まだかよ!ビビってんのか?」


「もう切りましたよ?」


「は?んなわけないだろ。何もしてねえじゃん」


 どうやらほとんどが見えなかったらしい。

 見えてても残像ぐらいか。


「切りましたよ。ほら」


 そう言い木をちょんっと押してみる。

 すると木は向こう側にゆっくりと倒れていった。


「「「「「「「は?」」」」」」」



 木の根本には報酬があった。宝箱だ。

 中を開けるとHP回復ポーション(小)が4つ入っていた。2つはアイシャとロリッ娘にあげてもう一つは売却。これは



「さっき教えてくれたお礼です。受け取ってください」


 先程教えてくれたお姉さんにプレゼント。

 俺はお姉さんの好感度上げには容赦しない。ロリには興味ないが世界中のお姉さんを味方につけるという壮大な夢がある。この夢を完遂するため第一歩の始まりだ。


「…!!!ああありがとう…ごございますっ!!」


 渡した後速やかにその場を去る。

 去り際


「よかったね!」「私もほしい〜」 「一生推します」


 とか聞こえた。

 第一回お姉さんを味方につけようプロジェクトは成功したようだ。

 …男ならこういうチヤホヤされたい気持ちわかるよね。共感してくれるのは真琴だけだろう。

 友達いないし。


 今夕方6時だが今日のうちに10階層に行きたい。




読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです、なぎの性格が見ていて凄く面白いです、僕はロリもいけます [気になる点] 投稿主さんはロリが嫌いなんですか? [一言] ロリもいいぞぉ
[一言] 最初から読んでみてとても面白かったので、 不定期でもいいので不投稿にはならないように 頑張ってください 私事ではありますがお願いしますm(_ _)m
[一言] 素晴らしき
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