四十二話 由衣は人気です
由衣に電話し
「あーもしもし?」
『どうしたの?というか会見見てたわよ。貴方そんな強かったのね』
「まぁな。こっちこそ見たぞ。芸能界辞めるんだってな」
『杏奈が辞めるって言い出して説得しようとしたんだけど逆に説得されちゃった。まぁ芸能界入ったのって綺麗になりたかったからなのよね。化粧品とかたくさんもらえるし。ただ私のこと応援してくれてた人には申し訳ない気持ち…』
「そうか。探索者になって頑張ればいいだろ。聞きたいことがあるんだけど、ツブヤイターって今のままでいいと思うか?」
『…貴方のツブヤイター…えっちなのもあげてるわよね?そのアカウントは削除して新しいの作った方がいいわ』
「わかった。ありがとな」
『絶対に変なこと載せないでよ?自分の写真か日常のことかダンジョンのこと。探索者なんだからそういうこと呟きなさいよ?』
「心配性だな。わかってるよ。由衣はアカウントそのままなのか?」
『ええ。私はスタッフさんにやらせずに自分で操作してるし。プロフィールの事務所の名前とか消えるだけよ』
「なら1時間後の10時になんか写真アップしようぜ」
こういうのはやったことないので楽しみなのだ。
『ならこの前の約束した写真あげましょ。奥崎って名字が私と同じなのファンの人達が気づいてネットで憶測が飛んでるわよ』
そうだったのか。
全然知らなかった。
「なら従姉妹ってこと伝えなきゃな」
『…そうね。そうしましょ』
「風呂入るからまたな」
『またね』
よし。風呂入るか。
風呂にはミストもあり少し試したが気持ちよかった。
(ほんとこの物件最強)
私服に着替え
お湯を沸かしカップラーメンを作る。普段は健康と美容のために食べるのを控えているが食材もないのでそうは言ってられない。
テレビもあるのでつけてニュースを見る。
ちょうど俺たちの会見が流れていた。
バカ息子のお漏らしは生放送でもうさらされている。だけどさすがにニュースではカットされていた。海外だと流れてそうだけど。
カップラーメンを食べ終わり歯磨きをする。
ちょうど10時前なので今のアカウントのツイートを全て消し抹消する。
(さらば…俺の青春時代)
新しいアカウントを電話番号とメアドで作る。
アイコンを自分の変顔にして…。
よし完成。
由衣に電話をかけ
「アカウント作った。フォローしたから返してくれ」
『…なにこの顔。あんたこれでいいと思ってるの?』
「え。ダメ?」
『もっとかっこいいのにしなさいよ。私が送るわ』
通知が来て見てみると
サーモン食ってる写真だった。
「ナイス!これなら俺の好きなサーモンアピールできる!天才だ!」
アイコンを変えて
『フォローしたわ』
「おう。寝てる写真でいいんだよな?」
『うん…』
写真を挿入し、初ツイート!『この前遊んだ時の写真!!』
とうち、ハッシュタグで奥崎由衣、いとことうつ。
「完了。ハッシュタグには奥崎由衣といとこを入れた」
『私も奥崎なぎといとこを入れたわ。ツイートしたわ』
「俺もした」
(由衣ファンの反応が楽しみだなぁ。この写真の由衣可愛いからな)
しばらくはツイートを見ないで由衣と今日の話なんかをして暇を潰した。
1時間後、
「うおぉ…。ふぉ、フォロワー数が50万突破したんだが…」
『私も40万だったのが70万まで増えたわ…』
すごい。1時間でこんなに増えるものなのか。
ざっくり見た感じ海外の人もかなりの数いる。
コメント欄を覗くと
「本物のなぎ様!?」「従姉妹だったんだ」「寝てる姿可愛い」「由衣ちゃん幸せそう」「そこどけ」「俺とも寝てほしい」「すっぴんでこれかよ」「ちがう動画みた?ファンサも神!」
とかすごい反響だ。いいね数も30万を超えた。
由衣の方も同じぐらい盛り上がってる。
『…なぎ!ありがとね』
「ああ。これからも俺の写真ならいくらでもあげていいぞ。そのかわりこっちもたまにあげるが…」
『うん!おやすみ!』
「ああ、おやすみ」
通話を切る。
改めてみるとすごいな…。
これが芸能人の気持ちか。
ピンポーン
そんなことを考えているとインターホンがなった。見るが誰もいない。
ピンポピンポピンポーン
玄関を開けると
ロリッ娘がいた。
「なんだお前か。小さすぎてカメラに映ってなかったぞ」
「……由衣ちゃん」
「ん?」
「…由衣ちゃんといとこ…?」
「ああ。ツイート見たのか」
どうやらこいつも見たらしい。
というか由衣ちゃん?
「…もしかして由衣のファンか?」
「…うん」
「…サンキューな。由衣のことこれからも応援してやってくれ」
こいつは気に食わないが由衣のファンならお礼を言った方がいいと思った。
「…うん」
「用件はそれだけか?」
「…きて」
(きて?)
そう言うと1号室に入っていった。
手招きしてくる。
家の中に入りリビングへ行くとアイシャがいた。
「よっ!お呼ばれしたんで来たんだけど…なんで呼んだんだ?」
「…由衣ちゃんを褒める会…」
なんだその歪な会は。
「…もしかしなくてもアイシャもファンか?」
「…はいっ!」
「まじか。それで由衣ちゃんを褒める会に来た俺はなにをすればいいんだ?」
「…由衣ちゃんのエピソード話して」
(なるほど。こいつは都合よく俺を利用する気みたいだな。そうはいかんぞ)
「無理だ。プライバシーがある」
「…そこをなんとか」
「無理だ。だいたいさっきまで俺にイチャモンつけてたやつに教えたいとも思わない」
「…ならアイシャに教えて」
「お前魂胆が丸見えだ。後で聞くつもりだろ」
「…ばれた。不覚」
「…お願いします!一つだけでもいいです!」
「だめだ。アイシャだってプライバシーを勝手に教えられるの嫌だろ。諦めてくれ」
「…最強は譲るから」
「…まず俺は最強を疑ってない。現時点では人類最強だ。それは社長が知っている。あの人が証人だ。その提案にものらない。帰るぞ」
「…まって。由衣ちゃんはどんな人?」
(どんな人か…)
「優しくて人の事を想える笑顔がとびきり可愛い人だ。表では何でも簡単にこなすが裏では努力してる。お前たちファンのためにな。さっきも電話で応援してくれてる人に申し訳ないって言ってたぞ。お前らも由衣のファンなら思いやりを持て」
少し説教じみたことになったが…。
ちょっと気まずいので帰ることにする。
特に引き止めたりもされずに出た。
5号室の鍵をかけ電気を消す。
寝室には用意されているベッドがある。
埃も被っておらず新品だ。
ベッドにダイブし眠りにつく。
翌朝実家に帰る準備をする。
準備をしてエントランスに行くと
「おはようございます。お出かけですか?」
と声をかけられた。
そこにいたのは初日に運転手をしてくれた御子神さんだった。
「おはようございます。実家に荷物を取りに帰るんですよ。昨日なにも持ってこなかったので」
「わかりました。私が送らせていただきます」
「え?いいんですか?」
「はい。私の仕事はなぎ様の運転手ですので」
そ、そうだったのか。でも…
「社長のズラ釣ってましたよね?」
「はい、あれは社長自ら指示されたもので…。私も内心焦っておりました」
「そうだったんですか。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。もうなぎ様は有名人のようなのでどこか行く際は私に連絡をください」
そう言われたので連絡先を交換する。
(すごいな。駅使う場合は全部車移動。それもリムジン。VIPってすごいなぁ)
そう感嘆する。
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指摘があった部分を編集しました。




