三十九話 神々の遊びと命名する
平静を装い
「ハンストの社長に会えて光栄です」
ガタンッッ!!
ベンチプレスを下ろすと座ってこちらに顔を合わせる。
「私も嬉しいよ。秀の子供がこんなに立派になるとは。いやぁ、早いものだ」
ちょっと眩しくて見えない。日の光が頭に当たって見えない。ちょっと移動してくれないですかね。
「父さんとは縁があると聞きました。それで誘っていただいたということも。本当にありがとうございます」
「ああ。秀とは高校、大学と一緒だったんだ。だが縁があるからと君を誘ったわけではないよ。君の力を欲して誘ったんだ」
ちょっと緊張感ある場面なんだよ。その頭の輝きをなくしてくれ頼む。
「…そんな大した能力はありませんがお役に立てるよう頑張ります。すみません、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、すまない。私は有多毛 拓だ。今後スポンサーとしてよろしく頼む」
ぶっっ………っ………こらえろっ!…こらえろ俺!
「…う、有多毛さん…ですね。よろしくお願いします」
何とかのりきったっ……っ!
「社長頭についておりません。これを」
そう言って御子神さんが出したのはズラ。どうみてもふさふさのズラだ。
(まじでやめてくれ……っ!)
顔を背けて笑いを堪える。
「おぉ!トレーニング中はどうも痒くてな。ありがとう」
(いつもつけてんのかよっ!)
「ん?どうしたんだなぎ?」
(お前のせいだよ!)
深呼吸をして社長の顔を見る。
「なんでも…ブッッッッッハハハハハッ!」
ついに堪えられず笑ってしまった。
社長の後ろで御子神さんが釣りしているのが悪い。返しをズラに引っ掛けて空中に浮かせて遊んでいる。なんだ?俺を試してるのか?
社長は気付いていないのか
俺からしたらあれは『側近の命がけの遊び』だ。
バレたらただじゃ済まないだろう。
『神々のハゲ遊び』と命名しよう。
「てってれ〜!!ドッキリでした!!!」
そう社長から言われた。
「すみません。頭一発叩いてもいいですか?」
「だめだ。これ以上ハゲたらどうする」
「もう全部ねえよ!…やべ」
つい心の中の本音が表に出てしまった。
「それが君の本当の姿だな。私と接する時もそのぐらいでいいぞ?」
怒られると思ったが器が広いみたいだ。
「わかりました。そうします。じゃあまず一発叩きますね」
もう遠慮はいらない。さっきまでの俺の緊張を返せ。普通の身体能力で叩く。
バチィン!
「ハゲたらどうする!!」
「もう無理ですよ。現実を受け止めてください」
「そんなこと言うなよ!」
なんか気さくでいい人なのか、もっと威厳たっぷりのおじさんを想像してたから期待外れというか。
疑問に思ったことを伝える。
「社長、あとの2人はどこですか?それと先程、力を欲してと言いましたがどこまで知っていますか?」
たぶんこの人は何かしらの方法で俺と残り2人の能力を調べているはず。
「ああ、もう2人は直にここへ来る。もう一回この流れで通すから知らないフリしてくれ。それと奥崎君の能力は名前しか知らない。知っているのも社長の私と数人の部下だけだ」
「そうですか。他言はしないでくださいね」
「ああ…おっと来たみたいだ」
「失礼します」
そういい2人の執事と2人の少女が入ってきた。
執事2人は御子神さんの隣へ行き少女たちは並べられた椅子に座る。
おれもそのうちの一つに座っている。
「やぁ、よくきたね」
そう言いながら社長はベンチプレスをしている。
だが、この2人表情に変化がない。強者のようだ。
1人はロリだ。黒髪ショートのロリがスーツを着ている。これがギャップ萌えというやつなのか。
背伸びしているようにしか見えないが。
表情に変化がないというかちょっと眠そう。
妹にこういう子が欲しかった人生でした。
もう1人は外国の人?ちょっとハーフっぽい金髪碧眼の美少女だ。
いつだったか俺にも洋物にハマっている時期があった…。というかこの子マシュマロぱいだ。スーツの上からでもわかるぞ…!さぞ柔いのだろうな。 …やばい。息子よ今ではない!堪えろ!
(南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀)
危ない…。
みないようにしようと思い社長を見る。
「君たちにはこれから記者会見に出てもらうが質疑応答はこちらでしよう。最後に1人ずつ一言言って終わりだ。何か質問はあるか?」
どうやら南無阿弥陀を唱えている時に釣りも終わってたみたいだ。金髪ちゃんが少し顔を緩めるだけに終わってさぞ社長も恥ずかしいことだろう。
「…なければ記者会見まで時間があるので親睦を深めよう。まずは自己紹介からだ」
そういうが2人とも少し困った表情をしている。
「お前がやれ」みたいな顔すんな…やるけども。
「えー、奥崎なぎ17歳です。誕生日は1月24日です。誕プレ待ってます。得意なことは刀剣術です。苦手なことは人付き合い?ですかね。好きな食べ物はみかん。嫌いな食べ物は特にありません。好きな歌手はA◯Aです。えー他には……これから同じハンストの探索者としてよろしくお願いします」
(ふぅ。こんなもんでいいだろ)
「お前長いわ」
社長にそう言われた。
「いやいや。最初って肝心ですよ?こうして気さくに自己紹介をすることで壁を無くそうと思ったんです」
「…まぁいいか。次はどうする?」
「私…がします。アイシャ・ルイスです。ロンドンから来ました。日本人の母とイギリス人の父から産まれました。日本語も英語も話せます。15歳です。よろしくお願いします…」
頭を下げて席についた。
「アイシャさんですね!美人なので自分より年上かと思いました!日本に来たのは初めてなんですか?」
「え…はい。その…初めてです」
「そうですか!今度東京を案内しますよ!好きなこととかってあります?」
「は…はい…。えっと…宝石が好きです…」
「そうなんですか!宝箱とかで見つけれるといいですね!俺も見つけたら……グエッ!」
社長に引っ張られた。
「お前人付き合い苦手なんじゃないのか?第一壁を壊そうとするな。お前の壁はなくとも相手はあるんだ。ズカズカ入るなあほ。そういうところも秀にそっくりだな。まったく」
(…いいところだったのに。はげめ)
「次いいぞ」
次はロリだ。
「…天上 千尋。…以上」
うん。この子はあかんやつだ。
「歳はいくつ?」
「…15」
「好きなことは?」
「…寝ること」
(おぉう。全て一言で終わらせやがった。くっそなんだこいつ)
社長が口を押さえて笑うのを我慢している。
めっちゃむかつく。
「一回振られたぐらいでよ。そんな落ち込むなって」
「…振られてないですし落ち込んでもないです」
「まぁまぁ。次いこう。お前たちがハンストと契約した理由を話してみろ」
それも言うのか。まぁいいか。
「俺は契約金が3000万の文字に惹かれたのと探索に使う刀が欲しかったからです。あとはまぁ『最強』を目指しているから?ですかね」
「…最強? それは無理。私が最強だから」
(おいおい。ここに食いついてくんのかよ。最強は譲れないぞまじで)
「…ロリっ娘、最強は俺だし次のやつも決まってるんだ、悪いな。防御最強なら…あぁこれも無理だなあいつがいるし。まぁ簡単な話無理ってことだ」
ちょっとムカついたので宣言してみる。
「…ロリっ娘じゃない…。貴方は私のスキルを知らない。絶対に勝てない」
「言ってくれんじゃないの…。今からやるか?」
「…望むところ」
「ちょっとまて。ここ社長室。社長室だからやめて!」
「…そ、そうですよ!…喧嘩は…だめです」
あら可愛い。
「アイシャさんに免じて許してやろう」
「…それはこっちのセリフ」
「よしっ!それで千尋はどうしてうちと契約するんだ?」
「…最強になりたいから。…ここを踏み台にする」
…めっちゃ酷いこと言ったぞこのロリ。
ハゲも呆然としている。
「よ、よしっ。最後はルイスだ」
「私は…お母さんとお父さんに楽させたいなって…」
(めっちゃいい娘っ!!!)
ハゲも涙を浮かべている。
「うんうん…!ルイスはハンストの癒しメンバーに決定!」
うん。俺もそれには賛成。
「ちょうどいい時間だ。各々最後に言う一言を考えとけ。10分後エントランスに向かう」
「エントランスでやるんですか?」
「ああ。記者が多くてな。あとはこの施設の中までは入れたくないんだ。探索者の武器、防具を作る施設やポーションの研究。魔物のドロップ品なんかも多く集めてるんだ。そういう訳でエントランスだ」
やはり売り上げ世界一の名は伊達じゃないらしい。やることはやってるみたいだ。
10分後、ズラを被った社長のあとに続きエントランスへ向かった。
読んでいただきありがとうございます。
もし、この作品が面白いと思ったら下にある評価を押していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。




