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三十八話 ニュースがすごい

 



 お風呂に入りご飯を食べる。


 そういえば由衣に連絡するの忘れてた。


『帰宅しました』


 送信。


 するとすぐに電話がかかってきた。


(…なんかやらかしたっけ?)


 急に由衣から電話が来る時はだいたい説教が始まる。恐る恐るコールに出る。


「どうしたの?」


『どうしたもこうしたもないわよっ!杏奈と何があったの!?』


 どうやら今日橋本杏奈に会ったのはもう知っているようだ。特に何かあったことはないが…


「話しかけられた以外には特に何もなかったぞ?」


 そういうがなぎは重要なことを忘れている。


 -----いや


 気にも止めていない。軽くあしらったことを。


「…そんなわけないでしょ。杏奈芸能界を辞めて探索者になるって言ってるのよ?何かないとこの決断にはならないでしょ」


 そう言われてもなぁ。本当に心当たりがない。

 今日は真琴と探索して武器見てただけだし。


「あんたと会ったことは話してくれたけど内容までは言ってくれなかったのよ。あんたが話しなさい」


「本当に何もなかったけど…。武器見てたら話しかけられて少し冗談とか会話をして……そのあとは別れたな」


 ストーカー紛いをされたとは言わない方がいいだろう。2人は親友みたいだし。


 だがどうやら由衣は勘違いしたようだ。


「え?本当にそれだけ…!? まさか惚れちゃったとか?」


 それはないだろ。脳みそお花畑か。


「はぁ。もう話したし切るぞ。まぁ説得とか色々がんばれ」


「え、ええ。おやすみなさい」


「おやすみ」



 ふぅ。もう寝るか。



 寝室の電気を消す。




 ◇◇◇◇◇◇◇



 翌朝テレビをつけると橋本杏奈のニュースがやっていた。ツブヤイターで芸能界を去ることを報告したらしい。

 大ニュースみたいだ。

 人気急上昇の美少女だからな。最近女優もやっていて益々その人気は増え続けている。

 悲しいお知らせみたいになっているが一部では


「探索者として知り合えるかも!」「結婚できんじゃね」「手が届く杏奈ちゃん」


 とか沸騰していた。


『続けてのニュースです。モデルでもありタレントとしても活動している奥崎由衣さんが橋本杏奈さんと同じように事務所を辞め探索者として活動することを発表しました。』



「あいつ…説得に失敗したのかと思いきや逆に説得されたのか…」


 何というアホだ。

 てかこの2人事務所一緒だよな?

 稀代の2人がいなくなって社長さん頭はげてそう。


 トレンドが橋本杏奈が1位で由衣が2位なんだが。

 ハンストは3位になっている。


 なんか悔しい。負けた気分。


 他のトレンドも見てみるとクリスマス・イブや探索者特殊部隊などが上がっている。


「そうか、今日の夕方からクリスマス・イブだ」


 イブの日に橋本杏奈と由衣の事務所退会の発表。さらに夕方からハンストの記者会見。


(今年のイブは濃いなぁ)


 探索者特殊部隊が気になり調べてみると、どうやらユニークスキル持ちの中でも特出したスキル持ちで構成された部隊のようだ。

 チームAからDまであるようだ。


(絶対に負けないぞ)


 夕方まで時間があるので今日はのんびり過ごそうと思う。




 ◇◇◇◇◇◇◇



 15時前になるとインターホンが鳴った。

 門に向かうと


「奥崎なぎ様でよろしいでしょうか?」


 と尋ねられた。

 50代ぐらいの執事だ。

 生まれて初めて見た。


「はい。奥崎なぎです」


「私、ハンストまでの運転手を勤めます。御子神と申します。お見知り置きを」


(言葉遣いが丁寧すぎてなんかなぁ。というか執事じゃなくて運転手だったよ)


「よろしくお願いします」



「私服で構いませんので準備が出来次第お伝えください」


「携帯と財布持ったし…あとは特にいらないか」


 玄関を施錠し


「もう大丈夫です」


 と伝える。


「わかりました。こちらにお乗りください」


 と言われドアを開けてくれる。

 さながらVIPになった気分だ。

 車もリムジンだし、ちょっと緊張する。


 乗り心地は最高だ。

 まだ動いてないけどもうわかる。



「出発します。着くまでは寛いでいて構いません。ハンスト渋谷支部に着きましたら正装に着替えていただきます。着替えましたらハンストの社長自ら3人へメッセージがあります。その後会見という流れになります」


「わかりました」


 特にすることもないし…。

 寝るか。





 ◇◇◇◇◇◇◇



「なぎ様…つきました。起きてください」


「ん…ん……?」


「もう着きましたよ」


「はい…。おはようございます?」


 まだ頭がうまく回らない。

 快眠だった。



「寝ぼけてないで行きますよ」


 そう言われたので車を降りてついていく。

 ここは見たところ地下駐車場だ。


 エレベーターに乗り一階を選択している。



 一階につきでると



(……まじか)



 言葉を失うほど広いエントランスだった。

 眠気も嫌でも覚める光景が広がっていた。


 床は大理石だろうか。とても綺麗で整備がいき届いている。

 所々に座れる場所がありそれも全て柔らかそうな素材でできている。


 受付に向かい何か手続きをした後4階に向かう。


(すごすぎて頭おかしくなりそう)


「ここで採寸師が待っているのでサイズを測り着替えてお待ち下さい」


「わかりました」


 中に入るとスーツを着た女性がいた。


「奥崎様ですね。サイズを測らせていただきますが何か不都合はございますか?」


 女性に触られるの嫌です。なんてちょっと言えないし…。発作もこの前起きなかったからチャレンジだ。


「特にありません」


「わかりました」



 上から順々にサイズを測っていき靴のサイズなんかもとられた。色々な場所を触られたが発作は起きることはなかった。

 考えられるのはステータスの上昇かスキルだ。

 女性恐怖症も状態異常に入っているのかもしれない。


 今体全てのサイズを測ったのは憶測でしかないが探索者用の服なんかもこの測ったもので調整してくれるのだろう。



「奥崎様、こちらのスーツに着替えていただいてもよろしいですか?」


「わかりました」


 女性が部屋の外へ行ったので着替える。

 ネクタイを最後につけ外にいる女性を呼ぶ。


「終わりました。どうですか?」


「とても似合っていますよ。記者会見楽しみですね」


 そう微笑まれ照れてしまう。


(…やっぱ大人の女性っていいな。余裕あってお姉さんっぽい)


 エントランスでちらほら見たがかなり容姿の整っている人が多かった。さらにはハンストで働いているのだ。とても優秀なんだろう。


 しばらく女性と世間話をした後運転手の御子神さんに呼ばれた。


 今から社長室に向かうようだ。

 残りのメンバーも向かっているそう。


 女性にお礼を言い、エレベーターに乗る。

 御子神さんが20階を選択する。

 表に出てこないハンストの社長にも興味はあるが残り2人のメンバーも気になる。

 1人は昨日のヤンキーかな?でも強そうには見えなかったしなぁ。



 20階に着くとそのフロアの奥に向かう。


 社長室と書いてある扉が見え、ノックをして入る。


「失礼します。奥崎なぎ様をお連れしました」


 そう言うと御子神さんは社長の後ろに待機した。


「おう。なぎ、ハンストへようこそ」


 普通の言葉に思うが勘違いしてはいけない。筋トレ…ベンチプレスしながらそう言っているのだ。この社長と思しき人は。



読んでいただきありがとうございます。


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よろしくお願いします。

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