三十四話 一年で変わるものは少ない
翌日朝の登校時間、たしか9時ぐらいだった気がする。
その時間に学校へ向かう。
俺の通っていた学校は私立で川越にある。
私服姿で向かう。
川越についてからダンジョンのあった方とは逆に進み10分ぐらいで着く。
校門に着くと懐かしさを感じた。
それもそうだ。ここに来るのは1年振りだ。
「あれ奥崎先輩じゃない?」「奥崎なぎだ」「かっこいい〜」「え、やば」
という声が聞こえてくる。
どうやら部活をしていた面々のようだ。
何人かついてくる。
職員室につきノックをしてから入る。
扉はすぐに閉めた。鍵も勝手ながらかけた。
「すみません、2年の奥崎なぎです。◯◯先生はいますか?」
この先生は1年の時の担任だった人だ。
生憎と2年では1度も登校してないため先生を知らない。
「奥崎か?」
そう声を出したのはゴリラ。ではなくムキムキマッチョの担任だった人だ。
「お久しぶりです。元気そうですね。筋肉が輝いてますよ」
「そ、そうか?ってこういうやり取りも久々だな。今日はどうしたんだ?あれだけ連れ出そうとしてもこなかったお前が」
そう。俺はこの先生に何度も連れ出されそうになったことがある。
「学校に行けば筋肉つくぞ?」
「一緒に筋トレしないか?」
「プロテインは俺が用意してやる」
「筋肉は男のファッションだぞ?」
ってな。
もう筋トレのことしか誘われなかった。学校一切関係ない。そういう先生なのだ。
「今日は退学手続きをしにきました」
「ん?まじか。退学しちまうのか。今もいいが…もうちょい筋肉つけてからにしないか?」
(でた。筋肉説得。まず学校は勉強するとこだぞゴリラ)
「もう決めましたのですみませんが退学手続きをお願いします」
「そうか…わかった。男の決めたことだ。書類持ってくるから待ってろ」
先生も変わらず元気そうでよかった。
渡された書類に必要事項を書く。
「奥崎、学校やめてどうするんだ?高校ぐらい出てないと就職も限られてくるぞ」
心配して言ってくれたのだろう。
相変わらずいい先生みたいだ。
「そうですね…。明日の夕方にわかると思いますよ」
「どうして夕方なんだ?何かあるのか?」
「秘密で。 今までお世話になりました。ありがとうございました」
「気にするな。先生としてはダメダメなんだからよ。元気でやれよ」
「はい。 失礼しました」
そう言いドアを開ける。
バタンっ!
すぐに閉めました。
めちゃくちゃ人がいる。
窓から出よう。
職員室の窓を開けて
「先生あとのことは任せました」
「お、おいっ。ちょっとま」
言い終わるより先に窓から飛び降りる。
職員室は二階なためステータスがなくても降りれただろう。
今では楽勝だ。
駅に向かう。
海外で噂されていることがある。どうやらダンジョンの入り口が大きければ大きいほど深層まである。というものだ。
川越ダンジョンはそこまで大きくなかった。3mほどだ。
日本で大きい場所は新宿、渋谷、北海道、大阪だ。
この4つは10m越えということだ。
(午後はやることもないし渋谷ダンジョン行くか)
そう決めて渋谷を目指す。武器などは持ってきてないが浅い階層ならどうとでもなるだろ。
由衣に渋谷ダンジョンに行くことを連絡する。
暇なのでオークションを見ていたのだが…。
なんとマジックバッグがオークションにかけられていた。説明欄には2m×2mと書いてある。
想像していた物より容量は小さいがあることは知った。お値段20億。
(買えるわけないだろ)
見つけるしかなさそうだ。
推測だが浅い階層でも出るだろう。
今の俺は人類最強並みだと思う。下層にも潜れるし運さえあれば出るはずだ。
そういえば火魔法のスキルスクロールがあった。
出品を押して火魔法とうち300万から出す。期限を1日に設定し完了だ。あとは買いたい人が値段を上げてってくれるはず。
1度電車を乗り換える。
まだ渋谷まであるのでスキルのことを考えよう。
チューバーのみかんがやっていたように使ってスキルレベルを上げる。これはいい発見だと思う。だが、レベルを上げていくとどんどん消費が重くなる。それならスキルポイントを使ってレベル7ぐらいまで上げた方がいいのでは?と思った。
もちろんレベルがこんなに上がらなかったらスキルポイントは温存を選んだと思う。
だが。
(13847もある。レベル7までで127だ。この前取得したスキル全てを7まで上げても6000も使わないだろう)
そう結論付け全てのスキルを7まで上げることに決めた。
そろそろ渋谷に着くので人目のないダンジョンであげようと思う。
『渋谷。渋谷。お出口は右側です』
改札を抜けて交差点だった場所に行く。
今は巨大な洞窟がある。
平日の川越ダンジョンは5人ほどしか見たことなかったが渋谷のダンジョン前には30人ほど見受けられる。
(これが都会とちょい都会の差か)
ダンジョン前に行くと
「俺ハンストとスポンサー契約してんだぜぇ?」
「友くんすごーい」「憧れる〜」
とか聞こえてきた。
(え。俺あんなチャラいやつと同僚になるの?やだなぁ…)
と思っていると
「なんだお前」
と言われた。
どうやらずっと見てしまっていたようだ。
「特になにもないですよ?すみません。急いでるので」
そう言ったのだが女性2人が
「あの人超イケてない?」「まじかっこいいんですけど」
とかいう所為で男の矛先が完全にこっち向いた。
「おいてめぇ、色目使ってんじゃねえよ」
(くっそめんどいな!構ってくんな!)
「すみませんでした。通ってもいいですか?」
穏便に終わることを願う。
興味を持った人たちが集まってきたしまじで通して。
「なんだその態度?ふざけてんのかぁ!?俺はハンストの契約者だぞ!」
「あぁーはいはい。天下のハンスト様に逆らい誠に申しわけございません。以後気を付けます。…通ってもいいですか?」
これだけ謝れば通してくれるよね?
「ぷっ!」「あいつおちょくるのうま」「喧嘩だぁ!」
とか聞こえる。
おちょくってるわけじゃないんだ。早くダンジョンに入りたいんだ。
「てめぇ…。なめやがって。その顔人前に出れねえ顔にしてやる!」
そう言って殴りかかってきたが
(遅いしでかいし隙だらけだし。なにも脅威を感じない。1度殴られるか。気が済むかもしれないし)
僕はヤンキーに顔を殴られる。
バキィッ
(変な音がなったな)
ヤンキーは手を押さえうずくまっている。
気は済んだと思いダンジョンに向かう。
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