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三十話 魔と炎

やばいかっこいい

 



 突き刺した手を引き抜く。


「危なかったなぁ。本当はダンジョンの壁壊すつもりなかったんだけどね。思った以上に進んでてびっくりしたよ」


 こう言い放つのは


 ルキフェル・イール



 この世界、地球に生まれた魔王だ。


 この世界に生まれたのは本当に運だった。

 僕の確率は1%もない。

 追い込んでくれた人間とこのダンジョンに少しばかり感謝をしよう。

 僕が死ねばまたいつか魔王は現れるけどそんなことは起きないと思うし。

 その理由はステータスにある。



 ルキフェル・イール

 職業 魔王

 Lv1500


 HP. 150000/150000

 MP. 150000/150000


 筋力 30000

 耐久 30000

 敏捷 30000

 器用 30000

 知力 30000


 ユニークスキル

『魔極』

 派生スキル

 瘴気Lv10

 威圧Lv10

 全属性魔法Lv10

 魔眼Lv10

 魔装Lv10


 スキル

 魔技Lv10

 天歩Lv10

 無詠唱Lv10

 全属性耐性Lv10

 全状態異常耐性Lv10

 身体強化Lv10

 気配探知Lv10

 魔力探知Lv10

 HP自動回復Lv10

 MP自動回復Lv10

 超再生Lv10

 称号

 魔王 破滅者 極めし者 覚醒者 


 スキルポイント0



 僕はこの世界に生まれた時からこのステータスだった。使い方も知っている。

 この世界のことだって詳しく知っている。

 だから…。


 …こういう風にイレギュラーがいなければ負けることはない。



「確かに心臓を突き刺したんだけど…」


 そう。目の前には先ほど殺したはずの人間が立っていた。



『敵を排除します』



「!?あぶないねぇ。今のはひやっとしたよ」


 炎の手刀を繰り出され僕はそれを避けた。

 全力で。


「どういうことだい?今のスピードはなんだい?」


『敵の生存を確認。排除します』



「通じないみたい…だねっ!」


 瘴気を纏わせた闇槍を10本発動する。

 瘴気はどんな状態異常にも属さないものだ。くらったらただじゃ済まないよ。


 だが、10本とも炎を纏った手で止められた。


「うーん。君の方が反則じゃないかな?」


 投げ返してくるのを全て避ける。


「これならどうだい?」


 魔獄を発動。

 これは僕を中心に瘴気の地獄を出現させるものだ。逃れることは不可能だよ。


 しかしどうだろう。


 確かに発動したが今は炎の地獄で覆われている。


「…炎獄かな?僕のを上塗りするなんてやるね」


 継続ダメージが入り続け回復が間に合わない。

 一度この空間から転移で22階層に移動する。


「!? ブハァッ!」


 転移した先で人間に殴られ吹き飛ばされた。

 ダンジョンの壁に激突する。


「調子に乗るなよ」


 身体強化をフルにかけ天歩で空中を跳ぶ。


 僕のこのコンボは相手を置き去りにする。

 反応はできないよ。


 頭上から殴り飛ばし下から蹴る。

 また天歩で移動し空中で蹴る殴るをし空中お手玉の完成だ。


 最後は渾身の力を込めて顔にエルボをくらわす。


 ドドドドドォォォォンッッ!!!!



 ふぅ。さすがに死んだよね?

 確認しようとするが。



 ドォォォンッ!


「かは…っ!」


 ドンッドンッドンッドンッ! バチイィィンッ!



 今度は僕が空中でお手玉された。状態異常つきで。全状態異常耐性があるのにも関わらず僕の身体は所々炭化している。


「まいったな。そんな知識僕にはないよ」


 超再生で身体を元に戻す。



『対象の生を確認。倒せないと判断し次フェーズへ移行します』



「次はなにを……っ!?」


 これはやばい!?まともにくらったら僕でも死ぬ!!



 顔が竜になりブレスをしようとしている。


 魔装と瘴気を発動し防御を最大限まで高める。

 衝撃に備えようとすると目の前に人間が現れた。


「な…んだと…っ!」


 ギリギリ身体を捻ることで上半身は回避した。だが、至近距離でのブレスをくらい下半身が消滅。さらにはダンジョンの下層フロアまでも。


「はははっ。まいったね。ちょっと強すぎない?僕魔王なんだけど」



 超再生で下半身を元に戻し相手に高速接近する。

 守ってたら勝てない。火力は僕より上だ。



 身体強化、魔装、瘴気を全身に纏い空間魔法を拳にこめ殴りまくる。


 空間魔法で殴った箇所はこことは違う空間に行く。神でも防げるかは怪しいものだ。


『雷纒を発動します』


「…!?消えグハァッ!?」


 胸を貫かれたがすぐさま超再生で回復。


 何度も何度も殴るが感触はなく僕の身体に穴が空く。


「ちぃっ!!」


 一度距離を取り回復する。

 僕の身体は魔力が尽きるか全てを消滅させないと永遠に復活する。

 ただその魔力も五万切っちゃったんだけどね。

 このダンジョンももう使い物にならなそうだし…。


「ごめん、逃してもらえない?」


 さっきされたように僕も命乞いをしてみる。


『不可能』


 そう言うと同時に攻撃を仕掛けてくる。

 全てを受け流すが属性ダメージが入る。


「まいったね。打つ手なし…だよ!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!


 ダンジョンの壁床全てで人間を閉じ込める。

 だが、


 どぉぉぉぉんっ!!!!


 パンチの構えで止まる人間がいた。


「…ははは。本当強いね」


 これは最早僕とも次元がちがう。逃げたほうがいいだろう。


『最終フェーズへ移行します』


「今度は何をするんだい?もう僕は付き合えないよ」


 莫大な魔力が人間を覆う。



 現れたのは…



「……竜……?」


 6mほどの竜だ。


 6mの竜なんて弱いのばっかりだけど…。


「君は違うよねぇ……」


 あの竜は僕の魔力を超えている。

 それも倍以上に。


「やんなっちゃうね。まさか竜王が出てくるなんて」


 この知識は持っている。



 神話の時代よりも前からいたとされる竜王種。

 神の力すら及ばない最強の生物だと。


「…ほんとどうなってるんだか。手を出した僕をボコボコにしてやりたいね」


 僕は天歩、身体強化、魔装を使いダンジョンからの脱出を試みる。

 が、目の前に竜王が立ちはだかり地面に叩きつけられた。


 ドォォォン!!!!


【覚悟はいいか?と問うたな。貴様に問おう。死ぬ覚悟はいいか?】


「…まだ生まれて間もないんだけどね。こればっかりは逃げれないからね。竜王の手で殺されるならいいかな?」



【一瞬で消滅させてやろう。】


 そう言うと炎が目前に迫っていた。

 ただの炎じゃない。見ただけで、僕の身体は崩壊し始めた。

 とても濃密な死の炎だ。



(…魔王なのになぁ……………)


 そう思ったのを最後に僕の意識は途絶えた。





読んでいただきありがとうございます。


もし、この作品が面白いと思ったら下にある評価をしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。



化け物同士の闘い好きすぎる。

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