三話 講習会で親戚を見た
翌朝。
ダンジョン探索者講習会は11時、1時、3時、5時と2時間おきにあるみたいだ。
もちろん行くのは11時のだ。
朝食を食べながらテレビを見る。
どのチャンネルでも探索者講習会のことが話題となっている。 アナウンサーが取材に行っている場所もあるみたいだ。
僕が今日行くのは家から一番近い川越市にある廃校になった学校だ。
かなりの人が来ると判断したのだろう。
まさか学校に行くとは…
少し憂鬱だ。
シャワーを浴び上下藍色の運動服に着替える。
明るい色だと魔物に気づかれやすそうだからね。
こういうことも考えるとか僕天才。
今日は私服じゃ無いのかって?
ダンジョンに入るんだから当たり前だろ。
帽子とマスクを着用し木刀と金属バットをリュックに突き刺し家を出る。
僕の家から川越までは4駅ほどだ。
かなり近い。
ダンジョンも1つ川越にあるというのも含めてここを講習会に選んだ。
駅をでて10分ほど歩くと学校が見えた。
大きな垂れ幕には『ダンジョン探索者講習会 会場』
と書いてある。
受付らしき場所に向かい番号札を渡される。
11時まであと5分ほどだ。
体育館に向かう。
そこにはびっしりと人が集まっていた。
教室に入れなかったものは皆ここに誘導されるみたいだ。
照明が消える。
壇上の横から一人男が現れスクリーンにダンジョン内で撮ったと思われる映像が流れる。
「えー、川越ダンジョン講習会へようこそ。今回の講習会担当を務めます奥崎です。よろしくお願いします」
……親戚だった。
たしかに自衛隊に一人いると聞いてはいたけど。
こんな形で会うなんてね。
「めっちゃ美形じゃない!?」
「タイプかもっ!」
とか数メートル離れた女性から聞こえてくる。
もう少し離れよう。
「ご静粛に!!」
ピタッと声が止んだ。
「それではダンジョンについて説明させて戴きます。ダンジョンは一週間前世界中に突如として出現しました。日本で確認されたダンジョンは全部で124個あります」
言い終えるとスクリーンにダンジョン内の小人、ゴブリン?との戦闘が映し出される。
「スクリーンに写っている魔物はゴブリンと言います。ダンジョン内にはこのように多くの魔物が存在しており、階層が下がって行くにつれて強力な魔物が出現します」
スクリーンが一度暗くなる。
「ここからが本題です。貴方達探索者に求めること、それは魔物の間引きです。間引かなければダンジョンから魔物が溢れ出します」
これには周囲の人間達がザワザワしている。
それもそうだろう。この情報はテレビ、ネットでも話されてなかったからね。
ある程度予想してた人間もちらほら見えるが。
「間引きが探索者の仕事ですがこれだけだとメリットがないですよね。そこで、ダンジョンから出た宝や魔物からドロップしたアイテムを探索者協会が買い取ります。もちろん売らなくても大丈夫です」
つまり冒険者ギルドのようなものか。
各地域に探索者協会の支部を作っているみたいだ。そこで売ることができるのだろう。
その後も探索者についてのルールなどを聞いた。
・15歳以上のスキル取得者。
・ダンジョン前で探索者カードの提出。
・前科のあるものはなれない。
・レベル10までは5階層まで。
・死亡した場合自己責任。
覚えとくものはこれぐらいだろうか。
四つめは経験と死ぬリスクを少しでも減らすためだろう。
説明会が終わった後は個人情報を記入し職員の方に渡した。
探索者カードを作るためみたいだ。
カードを作るのに時間がかかるみたいなので、一度外へでて昼食を取ることにした。
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